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306話 魔界を目指してゴー! 2

 ギルドの奥へと、案内(という名の連行)された僕たちは、いつも作戦会議室に使用しているという部屋に案内された。剣士ギルドらしく、様々な武器が部屋の壁に掛かっている。

「あぁ、それは使い勝手が悪い、レア武器の(たぐい)だ。レア武器だから売り飛ばせばかなり高値が付くんだが、せっかく入手したレア武器を売るのも抵抗があるってことで、ギルドで預かったりしている。剣が幾つもアイテム袋の中に入ってると、武器を持ち換えるときに不便だからな」

「へぇ、そうなんだ。ん?」

 会議室には他にも人がいた。その人物が僕を見た途端、ぎゃぎゃぎゃぎゃあ!!とすさまじい声なのか音なのかよくわからない、耳に優しくない音が流れた。

 さらに、僕を見た相手のステータスが僕の眼前に表示された。


名前 :ミキ・ナラム(人族)

メインジョブ:盗賊(基本職、Lv28) サブジョブ:剣士 (基本職、Lv22)

Lv :39

HP :663 

SP :352

力  :196 + 23

敏捷 :235 + 10

体力 :145 + 10

知力 :163 + 5

魔力 :112 + 0

器用 :172 + 0

運  :5


スキル 剣術Lv14 忍び足Lv12 鑑定Lv2

称号 武神の加護


 ・・・・・・レベルに反してかなりステータスとスキルLvが低いと感じるのは僕だけだろうか? まぁ、口に出したりはしないけど。と、いうか木彫りのお守り止めないと、うるさくて話もできない。

 僕は木彫りのお守りに手を添えた。途端、お守りは静かになる。静かになったが、しかし、今度はどんどん目玉の部分を増やして、かっと光を放った。途端、僕に鑑定を使ったプレイヤーが動きを封じられる。状態異常の麻痺にかかったみたいだ。

 マサヤは深く嘆息しているが、他の人たちは声も出せずに呆然とした。

 みんなの代表なのか、マサヤが僕に訊ねる。

「テルア、今、光放ったの何だ?」

「チャップにもらった木彫りのお守り。僕のことを遠くから覗こうとすると、カウンターで、覗いた相手に、その効力を跳ね返して、さらに相手の使用してる道具を壊しちゃうんだ。便利だよ、なかなか」

 僕はまだ目玉がギョロギョロ動いてる木彫りのお守りを見せた。


「あー、なるほど。遠くからじゃないけどテルアのステータスを鑑定しようとして、それをお前がお守りと称する不気味物体(笑)が跳ね返して、さらに状態異常に陥らせたと。・・・・・・そんな道具、聞いたことねぇんだが!?」

「チャップのオリジナルだもん、当然だよ。すごいでしょ」

 僕が少し胸を張ると、マサヤの拳骨が降ってきた。

「すごいでしょ、って何自慢気にしてるんだ、お前は!? そんな道具持ってるなんて、他のプレイヤーに知られたら闇討ちされるぞ!?」

「逆に返り討ちにするけど。僕を倒したいなら、プレイヤー千人は集まらないときついんじゃないかなぁ。僕単体を押さえても、魔物組は動き回れるだろうし」

「うがぁあああ! ムカつく! 冷静に分析した結果言ってるってわかるから、すげぇムカつく!」

「まぁ、まぁ、マサヤ。お茶でも飲んでちょっと落ち着いたら?」


 僕がお茶をアイテム袋から出すと、木彫りのお守りが動いて、お茶をはね飛ばした。麻痺状態のプレイヤーへと。


「ぐわぁあああ!! あ、熱い!?」

 火傷の状態異常にさらに掛かったプレイヤーに、慌てて浄化を掛ける。

「こら、ダメだって。今から話し合いするんだから」

 ふん、とそっぽを向く木彫りのお守りは、目を閉じてようやくおとなしくなった。気が済んだらしい。

「すいません! こいつ、いっつもこんな調子で! 本人に悪気はないんです、許してやってください!」

 マサヤが頭を下げる。だが、ここまでついてきた女性姿のプレイヤーも、カカシさんもスレイさんも、沈黙したままだ。やがて、口火を切ったのはカカシさんだった。

「・・・・・・とりあえず、カイシさん。アイテム袋と今している装備を一旦預からせてもらえないかな? 失礼は重々承知しているんだけど、あんなのを見せられたら、こっちも慎重にならざるを得ないから。彼の二の舞は全員ごめんだしね」

「はぁ、まぁ、わかりました」

 僕は、自分の装備を全てアイテム袋に詰め込み、それを円卓の上に放った。そのまま、円卓に設けられていた椅子に座る。

「とりあえず、話し合い、しましょうか。どんな内容なのか、知りませんけど」

 装備がなくなると心もとないなど、言うつもりはない。だけど、少しそれを思い知ってもらうために、小声で名乗りを上げて覇王の威圧を放つ。

 そのまま、唇の端をつり上げて、上目遣いに四人と順に視線を合わせる。

「楽しい時間になることを期待してます」

 その場の全員が息を飲む音が流れた。


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