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284話 イベント最後の試練

「ほんともうさ、このイベント中、僕、温羅さんに無茶苦茶ばっかりさせられてる気がするんだけど」

「あははは! すまんな、テルア。わーも久々でな、ついついはしゃいで、迷惑かけてしまったんじゃ。それは、すまんかったのぅ。・・・・・・これで、最後じゃ」

 何故だろう。温羅さんの言葉が、とても重く感じられる。温羅さんの顔が見えないから、どんな顔をしてるのかはよくわからないけど。それでも、僕は何かを感じ取っていた。あるいはそれは、終わりの臭いを嗅ぎ取っていたのかもしれない。

 それ以降、目的地に着くまで、僕と温羅さんの間に会話はなかった。



「ここは、洞窟?」

 温羅さんに連れてこられたのは、岩窟洞だった。その大きさは、かなり広く、奥から冷たい風が流れてきている。

 その風に紛れそうだが、小さな声がずっと響いている。僕の心臓が踊り出す。なんだ、ここは。

 まるで・・・・・・。

「・・・死者の国ってこんな感じなのかな」

 ぶるりと身を震わせてしまう。得体の知れないものが、この場には満ちている。

「そうじゃのぅ。そう言われても仕方ないかもしれん。この先にあるのは、非業の死を遂げた者共が蠢き、巣食う場所じゃ。心せんと、すぐに死がその身を蝕む」

「こわっ!? ちょっと待って、温羅さん! なんで僕がそんな場所に行かなきゃいけないの!?」

「理由か? おんしが他の神の眷属じゃからじゃけぇ。わーが、なんでおんしばかり構っておったと思う、テルア?」

 理由を問われて、僕は答えに詰まる。そこまで深く考えたことはなかった。ただ、気に入られたからだとしか思わなかったのだ。


「おんしが、適任じゃった。わーを、封印し直すのにな」

「封印? どういうこと、温羅さん! 一体、何が・・・」

 温羅さんの歩みが止まった。そこは、下がかなり深い穴になっているようで、僕らは穴の上の方にいた。

 穴の下の光景を覗きこんだ僕は、束の間、息をするのを忘れて見惚れた。

「着いたのぅ。ここが、この島の中心に位置する場所・・・別名「黄泉への桜の間」」

 大きな桜の樹が、咲いていた。薄紅色の花弁を散らせ、その存在を誇示するかのように堂々と(そび)える大木に、僕は目が離せなくなったのだった。


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