282話 イベント終了間際の賑わい
僕が寝て、起きるともう時刻はお昼過ぎになっていた。まぁ、ログアウトしたのが5時くらいだったから、こんなものだろうと納得する。お腹がすいたのでご飯を食べ、お風呂に浸かってゆっくりとした。
「ふぅ。とりあえず、今の順位の確認に行くかな」
それぐらいはしてもいいだろうと、僕は「ファンタジーライフ」にログインしたのだった。
「うわ。森の中まで殺気だってない、これ?」
森の中に入った僕は、肌がピリピリするのを感じた。
まだ、イベント終了まで半日あるのだが、あちらこちらで鬼狩りを行っているパーティーの声が聞こえる。どうやら、他の森の主も狙いまくられて全力戦闘しているようだ。
ふと、おかしなことに気づく。
「あれって、鬼人なんじゃ・・・」
鬼人なのに、イベント魔物と間違えてパーティーに狩られそうになっている。
「見て見ぬふりすると、後で寝覚め悪そうだなぁ」
僕は、そっと魔法を使った。眠りの魔法に鬼人たちも掛かるが、鬼人たちだけ浄化を使って回復させる。
その間に眠ったパーティーに鬼が群がって、あっという間に全滅させる。
その鬼たちが、今度は僕らにまで狙いを定めたので、水魔法で氷の彫像になってもらった。
「助けてもらい、感謝する」
「あ、ううん。プレイヤーに追いかけられて大変そうだったから、つい、手を出しちゃった」
「いや、本当に助かった。あいつら、俺たち見てぽいんとぉおおおお!とか、雄叫び上げながら襲いかかってくるし」
「さすがに疲れました。一度村まで戻ってはどうですか、長?」
一番年かさとおぼしき鬼人さんは少し考えると、やがて頷いた。
「そうだな。これだけの人数がいるんだ。今日で鬼たちもでなくなるし、村に戻るか」
そう判断を下した。そして。
「良ければ、君も一緒にどうだ? 危ないところを助けてもらった礼がしたい」
うーん、どうしよ。あ、でも村じゃないとランキング順位の確認できなかったかも。
「それじゃあ、お言葉に甘えます」
これだけ熾烈なポイント争いに参加するのも、多分疲れそうだし。昨日の疲れはまだ残ってるし。よし、とりあえず、少し様子見しよ。温羅さんの話だとそれなりに僕、ポイント持ってるみたいだし。
僕は三人のあとについていった。




