表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
279/424

278話 苦戦

 これほどギリギリの戦いをしたのはいつ以来だろう。走馬灯とまではいかなくても、本気でゲームオーバーが脳裏にちらついて仕方ない。

「条件は対等なタイマン。魔法は使用禁止、スキルは拳術スキルなら使用できる、か。それでも、死にそうなんだけと・・・・・・」

 僕は相手から逃げる算段を模索し始めた。そもそも、これを拳のみで破壊するとか、どう考えても不可能に近い。何故なら、相手は鉄製だった。いや、皮膚が鉄の塊のように堅いのだ。多少ダメージを与えても、自動回復のスキルで、すぐにふり出しにもどってしまう。

 さすがにこれは厳しいと、魔法使用許可を頼んでみたが、温羅さんに却下された。知らないうちに、温羅さんに何か恨みでも買ったのかな、僕。

 ダメだ、思考を戦闘に切り替えないと。このままじゃ、じり貧だ。さて、

どうしたものか。


 ここは、小細工を労するしかないよね!

 僕は、それを取り出した。取り扱い要注意の危険物を手にして、特攻を仕掛ける。

 右右、左、斜め、次から次へと振るわれる鎌に似た腕の攻撃を避けて、距離を詰めて、僕は口とおぼしき場所に、危険物を放り込んだ。バゴン、と大きな音がし、鎌に似た腕が消失した。チャンスを逃さぬため、僕は攻撃の手を緩めなかった。回復量が多いこいつには、肉弾戦で挑むなら相手のダメージが蓄積するよう猛攻を仕掛けるしかないのだ。コンボが百を越えた辺りで、僕の体が淡く光る。


 スキル、限界突破が発動しました!!


 限界突破がどんなスキルかは知らないけど、今はありがたい。僕は、殴り、蹴り、自分の体を武器にして、相手に叩きつける。

 ようやく、相手が倒れた。

 それと共に、ドロップアイテムが地面に落ちる。

 僕もボロボロだ。あと少し戦いが長引けば、ここに転がっていたのは僕だっただろう。

「はぁ〜疲れた。もう、嫌だ。戦いたくない」

 僕はへなへなとその場で座り込んだ。HPは残り1割ちょい。レッドゾーンに突入している。

 回復魔法を唱えると、体に残った気だるさが一気になくなった。

 本当に、疲れた。

 そんな僕に、温羅さんは人の悪い笑みを向けてくる。


「テルア。本番はここからじゃけぇ」

「本番?」

「忘れとるみたいやの。このアイテムはな、揃えることで効果を発揮する。ほら、こんな風に・・・」

 温羅さんが、落ちていたドロップアイテムの側に次々に並べると、アイテムが宙に浮き上がっていく。


「なっ、なっ!?」

「こいつらはの、その昔海の向こうからやって来て、わーに喧嘩を売った奴らじゃ。じゃが、こいつらは妖怪でな。倒しても倒しても甦る。じゃけぇ、そいつらの体の一部や装飾品を使って、封印しとったんじゃ。全部揃えっと、封印は解けるんじゃけどな。あと、襲いかかってくんで気ぃつけろや」

「聞いてないよ、温羅さん!?」

 僕の悲鳴のような声は無視された。輪郭を取り、ぼやけていた体が再生を始める。僕の前に二人の巨漢の鬼が現れた。


「我が名は金閣」

「我が名は銀閣」

「「我らの封印を解きし者よ。汝に敬意を表し、我らが主たるに相応しいか、試させてもらう!!」」

 

 イベント戦闘が発生しました! ※尚、この戦闘からは逃げられません。


 ご丁寧に、ログで教えてくれなくていいよ、もう!!

 僕は半泣きになりながら、臨戦態勢に入ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ