271話 初のプレイヤーパーティー
「やった! 僕、誘ってもらえたよ、温羅さん!!」
隣にいる温羅さんに、僕は笑顔を向ける。眼前に立ってる三人組のことはよく知らないけど、誘ってもらえたのに断るなんて選択肢は僕にはない。
だって、初だよ、初!! プレイヤーに初めてパーティーに誘われたのだ。断る気さえ起きない。
「あー、いや。まぁ、そうじゃけども。こいつらと一緒でほんまに大丈夫け?」
「大丈夫、大丈夫!! ソロよりよっぽどいいんだし! あ、初めまして・・・じゃないけど、僕はテルア・カイシ。テルアって呼んで! 君たちは?」
「あ、えっと俺はアキラ。それで、後ろの美人の踊り子がレガ、魔法使いがサクラだ」
おっかなびっくりといった感じで面食らったように紹介してくれる。
「えっと、アキラ君に、レガさんとサクラさんだね。よろしく!」
僕はテンション高く、パーティーを組むことを了承したんだけども。
「本当に、いいの? 一緒に組んで。あなたの実力なら、一人でも色々やれるんじゃ・・・」
サクラさんが、心配してくれるけど、まぁ、大丈夫だろう。だって、いつもと同じ、みんなのサポートに回ればいいんだろうし。
「大丈夫。知らない人と組んだりするのもゲームの醍醐味だし。それに、補助をやるのなら、時間さえもらえればやってやれないことはないと思うし」
「あ、ちょっと待って!! あたしらが頼みたいのは、前衛なんだけど。うちのパーティー、前衛が足りないから」
「え? 前衛? 僕が?」
心底驚く僕に、逆に僕が驚いたことに驚く三人。
「前衛、嫌だった?」
サクラさんが問いかけてくる。嫌なわけではないけど、僕の職業はどちらかというとメインもサブも後衛向きだ。僕的にも、補助の方がやりやすいし。
「嫌なわけじゃないけど。あんまり前衛やったことないから、足引っ張らないかなって」
「え?」
「へ?」
「嘘だろ?」
いや、別に冗談とかじゃないんだけど。
困って僕が温羅さんを見上げると、温羅さんは、さらりと助言してくれた。
「こいつは、前衛とかこだわらせずに、好きに動くようにした方が互いにやりやすいとわーは思うがのぅ」
「あ、うん。そうだね。それが、一番やりやすいかも」
思わず僕は同意してしまう。三人はやや戸惑ったみたいだけど、やがてレガさんがぱん、と手を叩いた。
「いいんじゃない? 無理に足並み合わせようとすると、逆にやりにくいかも。やってみて、不都合が出たらその度に修正していけば?」
アキラ君と、サクラさんもその意見に賛成してくれた。
良かった〜。遊撃兵みたいな立場の方が僕としてもやりやすい。
「それじゃ、今回限りかもしれないけど、よろしくね、テルア君!」
「うん、よろしく!」
こうして、僕はプレイヤー同士の初パーティーを組んだのだった。
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