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270話 誘い

「よし、もうすぐだね!」

 笑顔を弾けさせているのは、 褐色の肌に、白く長い髪を頭の上で一つくくりにした、プレイヤーだった。


 胸の白い当て布を押し上げる豊かな双丘。首回り、足、腕、耳と装飾品を身に付けている。胸の当て布と同じ白のスカートには、ギリギリまでスリットが入っており、すらりと伸びた足に釘付けになるプレイヤーも多い。顔立ちも綺麗なために、彼女の笑顔を見た男性プレイヤーが騒いでいるぐらいだ。

 プレイヤー名は、レガ。格好通り、メイン職業にダンサーを選んでいる。サブは剣士だ。


 レガの側には、二人のプレイヤーがいた。

 黒髪に黒目のどこにでもいそうな、中肉中背の、全身黒ずくめの青年。明らかに強いと感じさせる威圧感がある。それもそのはず。彼はレア職の忍者に就くために、数々の初心者には難易度高めの条件をクリアーした、猛者だった。

 プレイヤー名は、アキラ。今回のイベントで、即席パーティーを組み、前衛を担当している。


 金髪碧眼の、可愛らしい顔立ちの少女は緑色のローブを着込み、魔女のような帽子を被り、杖を手にした少女は、見た目通りの魔法使いだ。サブに僧侶を選んでいる。

 プレイヤー名は、サクラ。このパーティーで唯一の後衛だった。三人はパーティー募集でたまたま知り合っただけだったが、それでも仲間割れせずにここまで来ていた。


「ちょっと待って、レガ。あたしたち三人だけじゃ、きついと思う。回復魔法も後衛も心もとない」

「そうだなぁ。せめて、もう一人くらい一緒に行った方がいいかもしれない。俺は忍者だから、斥候ができるけど、それ以外で前衛か後衛がもう一人欲しいなぁ」

 アキラもサクラの意見に同意する。

「欲を言えば、前衛も後衛もできれば助かるかな」

「それは、さすがに欲を出しすぎじゃ・・・いた」

 サクラが不意に立ち止まり、前方を凝視した。

「え?」

「前衛も、後衛もできるプレイヤー。あれ」

 サクラが前方を示した。そして、アキラとレガも気づく。

「あれって・・・まさか、エクストラバトルの!?」

 前方にいたのは、エクストラバトルで激闘を披露した主役二人だった。

 一方は鬼人、もう片方は赤髪のプレイヤーだ。なにやら話しているようだが。


「へぇ、いいかもしれない。誘ってみようか?」

「でも、断られる可能性の方が高いんじゃない?」

「みんなビビって声かけられない今のうちがチャンスだって! それじゃ、行ってみようぜ!!」

 二人に近づき、その話を聞いていたアキラはタイミングを見計らって声を掛けた。

「・・・・・・なら、俺たちとパーティーを組まないか?」



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