267話 混沌とした状況(※)
異世界人を狩っていると、実力の違いにすぐに逃げ出し、森に入られた。だが、酒呑は追撃殲滅すると決めていたので、夜の森の中へと躊躇いなく飛び込む。
後についてきたナーガとサイガも、夜間の森をまるで昼間と変わらぬかのように疾駆する。
すぐに異世界人に追い付き、彼らは殲滅した。
殲滅戦の終わりごろに、別れた魔物組に見つかったのだ。
「あー、んじゃ、しばらくナーガとサイガはそいつ・・・じゃない、その酒呑と一緒に行動するんだな?」
「明日は、イベントですが。二人ともよろしいのですか? 彼と共にいるということは、すなわち狙われるということですが」
チャップが口を挟む。その口出しにナーガもサイガも苦笑し、納得していることを告げる。
ならば最早何も言うことはないと、チャップも黙る。
「ところで、テルアはどこ行ったんだ? まだログアウトしてないだろ? 一緒じゃなかったのか?」
「いや。俺はサイガと一緒に異世界人狩りしてたから。テルアがどこにいったのかは知らない」
「俺もだ」
行方不明かよ、とマサヤは毒づくが、すぐに気を取り直した。どうせ、テルアのことだから、ひょっこり帰ってくるに決まっているのだ。ならば、後で問い詰めれば良いだろう。
そう判断したマサヤの判断はある意味で正しかった。
何故なら、テルアは新しく入手した武器を使いこなせるようにと、温羅と肉弾戦を半泣き状態でこなしていたのだった。
(イベント、か。明日は気を引き締めないと)
酒呑は、異世界人はけして油断できないと考えていた。故に、明日のイベントを心待ちにしているといっていい。
集団で襲いかかってくるなら、手間が省けるというものだ。鬼神温羅からの許可も出ている。
明日は思いきり暴れよう。
唇の端を上げながら、酒呑は明日のイベントに心を馳せるのだった。




