265話 夜更けの攻防(※)
(ったく、どこ行きやがった、テルアのヤツ)
マサヤと魔物組は、現在森の中を捜索中だった。と、いうのも、フレンドメールを送っても、返事が来なかったからだ。まったく、と若干怒りながらも、テルアらしい、とも感じる。元々、自由気ままに過ごすことが多く、あの性格が団体行動に向いてないのはさすがに熟知している。だから、テルアは目立っても一匹狼気質と言える。元々、ソロメインで活動するのから、他人に合わせることをしようとしない。
ただし、それは合わせられないわけではなく、本人が納得する理由さえあればある程度足並みは揃えてくれる。
ギルドに属したりもしないのだから、ソロを満喫する気満々だ。
不思議なことに、それでも、テルアの周囲には人が集まる。
まぁ、類友の変人奇人ばかりが寄ってきている気がするが、誰も寄り付かないよりもましだろう。
基本的に、戦闘バカにテルアは好かれやすいのだ。追いかけ回されて逃げ足が速くなり、さらには勘も鋭くなるという、悲しい現実があったりもした。
現在も正にその状態になりつつあることを、マサヤは知らない。
知ってても助ける気は起きないだろうが。
「ぎぃっ!きぃっ!」
「!? 近くで誰かが戦闘してるみたいだぜ!!」
ヤマトが警告を発する。全員が臨戦態勢に入った。
こんな夜更けに、誰が戦っているのか。確かめるために、ハイドが先行する。すぐに戻ってきたハイドの報告に、チャップが呟きを漏らした。
「どうやら、私たちと無関係というわけではなさそうですね」
「? どういうことだ?」
「見てください」
指し示された方向を覗いたマサヤは瞠目した。
そこには、マサヤの見知らぬ鬼人と、ダークエルフの少年、白銀の毛皮の狼獣人が、プレイヤーたちと交戦中だったのだ。




