263話 おかしい気が思いきりするんだけど・・・(´・ω・`)
眼前に迫る黒いぬめりがある腕をすり抜けるように避ける。背後から襲いかかろうとした黒い人形には、左手に持った本の角をお見舞いする。さらに、その隙を突いて上空から襲撃しようと飛びかかってきたのは、指鳴らしで紅蓮の玉を命中させる。
僕は、戦闘中だった。そう、僕一人が。と、いうのも温羅さんも雷神様も、この島の神様であり、力業で潰すこともできるけど、それをやるとこの島の負の気の封印も全てぶち壊してしまうかもしれない、とのことで。
現在、戦ってるのは僕一人だ。雷神様の話によると、ある程度取り巻きを倒さないと、対の風神様は出てこないらしい。
場所は、島の海岸沿いの森の中だ。雷神様が封じられていた祭壇によく似た祭壇があるけど、こっちの注連縄は、白かった。だけど、妙に数が多く、さらには雷神様の注連縄より、耐久性も向上しているようだ。
さらには、それらを邪魔するかのような黒い人形の登場。元々なんとかしたいのは雷神様であり、理不尽なものを感じずにはいられない。
ぶすくれながらも、隙を突いて氷の刃で注連縄を切断していく。
やがて、僕でも理解できるほどの異変が起きた。
雷神様と同じ般若の面を被った存在が出てきた。
僕は、誘き出すだけで良いと、言われていたために、ここから先は観戦モードだ。後ろに後退する。
温羅さんと雷神様が前に出て、般若と対峙した。
温羅さんは既に大太刀に手を掛けている。
「こりゃまた、ひどい変異の仕方じゃの。手加減できなさそうじゃけん」
え? でも、風神様を正気に戻すの引き受けたよね、温羅さん?
「テルア、すまんけど、わーの代わり務めてくれや」
いいっ!? 思いきり押し付けられた!! まるでスパルタじいちゃんとクレストのおじさんみたいな見事な放り投げっぷりだ。
だけど、慣れとは恐ろしい。この程度では僕は、動じなくなった。腹は立つけどね。
雷神様は風神様を説得しようとして、拒否されて落ち込んでいる。
意外に打たれ弱かったようだ。
戦闘の邪魔になると判断したのか、温羅さんが回収してくれた。ありがたい。
さて、どうやら風神様は雷神様に比べて大幅にパワーアップしているようだ。
雷神様は放電していたけど、スピードはまだ僕の方が早かった。対して、風神様はスピードも耐久力もおそらく、僕以上。そして、常に風の障壁が見えない鎧となって、相手の攻撃を防ぐようだった。
面倒な相手だが、決まりきった攻撃や防御パターンを駆使するなら、僕には勝てない。
風の鎧は、確かに強固で、自慢したくなるほどだ。
だが、冷気や熱気が完全に相手に伝わらないわけではない。
故に、僕は一瞬に懸ける。
僕は、魔力をその魔法一回に全力を注ぐ。相手が僕の懐に入ってくる
僕は、完成していた炎の剣を解き放つ。
圧倒的な熱量と破壊力を持つ炎の剣が、般若を貫いた。
次→ 9/13 19時か21時
 




