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261話 放電注意! 2

 有名な雷神風神の絵をモデルにしたであろう雷神様が、僕を見て、なんだか切羽詰まった表情になった。

 そのまま、勢いよく僕の方へと来る。

 勢いよく放電中の雷神様が自分の方へと駆けてくるのだ。

 危険を感じないはずがない。

 しかも、雷神様、相当急いだのかけっつまずいた。


 瞬間、辺りを昼かと思わせるほどの放電が起きる。もちろん、近くに寄ってたらその放電ですぐさま死に戻りしたんじゃないかと思った。般若の時よりも、放電量が数倍上がってるように見受けられる。その放電で、祭壇の注連縄が全部切れた。逃げても、祭壇付近に戻ってしまうようになっていたのだ。今は、もう大丈夫だと思うけどね。


 放電の威力を目に焼き付けた僕は、躊躇いなく走り出した。もう、イベ戦闘も終わってるから逃げられるはずだし。

 あれに抱きつかれたら一巻の終わりだ。けっつまずいただけでも、あの放電なのだ。相手が悪い。

 僕は、走る。

 だけど、僕の後を雷神様が追いかけてくる。

 こうして、僕らの鬼ごっこは再開されたのだった。



*  *  *  *  *  * 


 

 と、いうのが闘技場に戻るまでの流れだった。

 走ってる間に、あれに対抗できるのは多分温羅さんしかいないと考えた僕は、温羅さんに助けを求めたんだけども。

 その温羅さんをして、額に青筋を浮かべているという状況だった。


「おんしは何を考えとる!! 放電を、止めいっ!!」


 大太刀を容赦なく雷神様に降り下ろす温羅さん。うわぁ、さすが。惚れ惚れしてしまうほどの綺麗で無駄のない動きだ。僕にとってはまさに天の助けだった。

 温羅さんに一撃を食らった雷神さまはようやく自分が放電していることに気づいたのか、慌てて放電をやめる。

 良かった、これで危険が減った。

 全速力で追いかけてくるから、こちらも全速力で逃げていたのだ。でないと追いつかれてたよ。


「そもそも、なんで、おんしがおる? 風神はどうしちょんじゃ」

「その、風神のことで頼みがある。話だけでも聞いてくれぬか、鬼神殿」


 温羅さんに一撃を入れられてようやく冷静になれたのか、雷神様が低く渋い美声で喋り始めた。

 って、マジで渋いよ!! 雷神様のあまりの美声に鳥肌が立ちそうだ。僕は、慌てて自分の腕をさすった。これ、色気まで含んだら、完全にアウトな部類に入ると思うのは僕だけだろうか? 男女問わず、腰砕けにしてしまいそうな威力を秘めている。恐るべし、雷神様。

 と、話はそれたけど、ちゃんと雷神様と温羅さんの話は聞いていた。


 それによると。


 以前、雷神様と風神様は酔っぱらって、喧嘩となり、この島の近くで暴れてしまったことがあったらしい。

 そのせいで、迷惑を被った島の鬼人たちが、別の天上人に頼み、雷神様と風神様を島に封じてしまったらしい。

 ただ、その天上人も誤算だったのが、この島で昔に起きた戦争だった。

 あまりに暴力的かつ傲慢に過ぎた鬼神一族が始めた同士討ちのお陰で、島には大量の負の気が立ち込めて、とても住めたものではなく、その負の気の封印もこの島にはあった。

 その封印から漏れ出る負の気に雷神様もあてられてしまい、暴走してしまったとか。

 

 完全に僕は、とばっちりだったらしい。思わず半眼になってしまう。

「風神もおそらく、負の気のために暴走してしまうだろう。我らは対の存在だ。我一人だけの力では風神を正気に戻すことはできん。故に鬼神殿に力を貸してもらいたいのだ」

「そういうことけ。面倒な話じゃの。ところで、テルアを、追いかけたのはなんでじゃ」

「その者は、我を正気に戻した。と、いうことは風神を正気に戻すことも出来るはず。故に、力を借りたいと思ったが、何故か逃げられてしまい・・・」

「あれだけバチバチと放電しちょったら、当たり前じゃ!! むしろ、テルアの方が怖かったはずじゃ! 後ろから放電つきで強面に追いかけられりゃ、そりゃ、誰でも逃げよるわ!!」

 温羅さんの叱咤に、しゅんとなる雷神様。

「はぁ。まぁ、その件はもうえぇ。それで、どこに風神がおる?」

「我もどこに封印があるかはわからん。感じ取ろうとしているのだが、どうにも気配が微弱で掴めん。近くまでいけば、わかるとは思うのだが・・・」

「つまり、風神がどこにおるかわからん。わーに、探すのから手伝えとそういうことけ?」

 雷神様は目をそらしている。どうやら、探索から手伝ってほしいらしい。

 温羅さんが頬をひきつらせている。そして、はっと温羅さんの後ろに隠れている僕の存在に気づいた。

 しまった、逃げるの忘れてた。


「そうじゃ、テルアがおったけぇ! こうなればテルアも道連れじゃ。わーと一緒に風神探しじゃ!」


 無理矢理巻き込まれた!? え、ちょ、それは僕の手には余る! という僕の抗議は当然無視されて。

 と、いうより温羅さんに大太刀をちらつかされて、あえなく断念した。

 ここまでくると、さすがに逃げられない。

 こうして、僕は、何故か雷神様の風神様探しに付き合うことになったのだった。


次→ 9/11 19時 無理なら21時に投稿します。

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