259話 魔物発生装置?
祭壇前で、僕は敵魔物と対峙していた。だが、時間が経つにつれてどんどん状況は悪化していく。
何故なら、祭壇から同じような魔物が時間経過と共に次々に生み出されていく。
これには、僕も眉をひそめてしまう。
これは、光魔法か神聖魔法ぐらいしか、効き目が無さそうだ。
一応、どちらも使えるっちゃ、使えるけど、スキルLvが低いため、広範囲には効果を及ぼさな・・・・・・待てよ?
僕は、自分の装備している腕輪を見遣る。もしかすると、この腕輪なら、神聖魔法も威力と範囲が拡大されるんじゃないだろうか?
半信半疑で試してみたところ、僕は、自分の目を疑う結果になってしまった。
あり得ない。まさか、一発で敵の半数の魔物に、ダメージを半分以上与えられるとは、僕も予想外だった。
ただし、そのせいで、全部の敵魔物が完全に僕を標的認定しちゃってるけど!
攻撃やら魔法が、僕に集中する。鋼糸を使用して、適当な樹木の上へと跳ぶ。そのまま、上から神聖魔法を撃ち続けたら、最初に僕をここまで案内してきた温羅さんに化けた個体以外は全滅する。
だけど、その時僕は、黒い注連縄が不気味に光るのを目撃した。
そして、再び現れる、黒の人形のような魔物。どうやら、祭壇か注連縄を破壊しない限り、際限なく現れてしまうようだ。あの祭壇は、一種の魔物発生装置なのだろう。それなら、祭壇を叩き潰してしまえばいい。単純明快な答えを出した僕は、炎の矢を放った。
魔物にダメージを与えたものの、祭壇は無傷だ。破壊不可能なオブジェクトなんだろうか? いや、魔法攻撃ではなく、物理攻撃でないと意味がないのかもしれない。そう推測に至ったのは、祭壇の注連縄が不可解な力を放っているようだったからだ。
祭壇自体は多分直接攻撃でなければ壊せないだろうけど、注連縄はどうだろう?
ナイフを使って注連縄を狙ってみると、魔物がナイフから注連縄を守るように動いた。やはり、注連縄と祭壇さえなんとかすれば、魔物発生が止まるようだ。そして、注連縄は投げナイフ等の攻撃にも弱い、と。
優先順位と狙いやすさから、まずは注連縄、祭壇、魔物の順かな。
と、なると、魔物はひとまず、無視して、注連縄と祭壇に集中しよう。
行動方針が決まった僕は、すぐに行動に移した。樹上から地上に降り立つまでに、スキルを放つ。
「光刹斬」
剣スキルを放ち、注連縄をまずは一本切断する。すると、魔物たちが苦しむような動きを見せる。
その隙に、もう一本切断したが、危機察知に反応があり、すぐにその場から離れた。見えない空気の刃を放たれたようだ。魔法ではなく、これは、衝撃波だろう。だが、さっきまでは使用していなかったはず。つまり、そこから導き出されるのは注連縄を切断すると相手を苦しめることができるが、その分魔物が強化されるようだということ。
「注連縄は残り三本か」
とにかく、僕は、魔物の隙をつきながら注連縄を全て断ち切る。そして、祭壇を破壊する。途端、魔物たちが苦しみ、黒い粘性の水溜まりのようになった。
変化はそこからだった。
黒い水が集まり、一つの形を形成する。
「げっ」
それは、紫色の肌を持つ、般若だった。身長は凡そ二メートルほど。バチバチとその体から放電している。
逃げようかな。
ちらりとそんな考えがよぎったが。
イベント戦闘が発生しました! ※尚、この戦闘からは逃げられません。
こんなところで、イベント戦闘に巻き込まれるなんて、予想外すぎる!!
僕は、逃げられなくなったことにうんざりしながら、相手に効きそうなスキルがないか、探る羽目になったのだった。




