257話 お節介(※)
すいません、しばらく一日一回更新にします。詳細は活動報告でします。
マサヤは、じっと魔物組の表情を観察した。ハイド以外はわかりやすい。
「無様なツラだな、おい。どいつもこいつも、情けねぇ」
マサヤはぎっと睨む。この表情をマサヤはよく知ってる。苦しくてやるせない者特有の、悩みと迷いを抱えた表情。
バカか、と思う。あいつが、テルアがどれだけ非常識かつ理不尽な存在かを身に沁みて理解しているマサヤにとっては今さらなのだ。
本当に、今さら過ぎて、マサヤは怒鳴ってしまう。
「甘い覚悟だな。その程度の覚悟であいつについてけると、本気で思ってるのか、バカ野郎!!」
ギクリ、と身を強張らせる魔物組に腹が立って仕方がない。マサヤは魔物組を睨みながら、叱咤し続ける。
「あいつは、簡単に今の力をつけたのか!? 本当に、まったくなんの努力もせずにいたのか!? 違うだろ! 血へど吐きながら、歯ぁ食い縛って、耐えて耐えて、ようやく身につけたんだろうが!! その姿を一番近くで見てたのはお前らだろうが!! そのお前らが、この程度の困難でめげててどうする!? だから、バカ野郎ばかりだっつってんだよ!!」
マサヤは実際はテルアの努力をする姿は見ていない。だが、テルアの戦闘シーンをまったく見ていないわけではない。激戦だった。
「・・・・・・・・・・・・。」
「自分で自分が許せないほど、弱いのが嫌なら奮起しろ! 努力しろ! それしかねぇんだよ!!追いつくための努力さえ放棄するなら、お前らにテルアの側にいる資格はねぇっ」
マサヤの言葉に、魔物組は。全員が顔を上げた。鬱屈とした感情は綺麗に消え去っていた。
「ありがとうございます、マサヤ殿。おかげで、目が覚めました」
チャップがふっと微笑む。他の魔物たちも、全員が覚悟を決めた顔をしていた。
「私たちは、まだまだ甘かったようです。この程度でめげて、すねていてはいけませんね」
「俺もちょっと力をつけた程度で調子に乗ってたみたいだ。すまん」
ヤマトが頭を下げる。シヴァが何かアピールしている。
「シヴァも、謝っています。ハイドも同じ気持ちです。私たちは、今から師匠を探しに行ってきます。私たちでしかできない連携も、あるかもしれません。考えてみます」
魔物組は、迷いが吹っ切れたようだ。マサヤはほっとする。
本当に、テルアもテルアの魔物組も世話が焼ける。
(あいつらも、こんな感じだったな)
あぁ、今も昔もテルアに従う魔物の悩みは同じなようだ。
本当に、世話が焼ける、と心中で毒づきながら、主を探しに行く魔物組を見送ったのだった。
次→9/7 19時




