253話 蘇生
遅くなりました、すみません。(´・ω・`)
「と、いうわけで、蘇生お願いします」
「いきなり来て、蘇生とか。金は大丈夫なのか?」
南神殿へと行った僕は、マーラフさんを捕まえて、蘇生を頼むと、あきれたような顔をされた。
「え、一人当たり、一万でしょ? 余裕」
魔物組+サイガとナーガの二人で計七万の出費だ。僕にとっては、財産の2%程の出費でしかない。
「一人一万で、ペナルティもあるから、結構面倒だぞ? それでいいのか?」
「もちろん。それじゃあ、お願いします」
僕が頭を下げると、マーラフさんは、ボリボリと頭をかいてから、すぐに蘇生の儀式を行ってくれた。
神殿には様々な魔方陣がある。部屋によって、使用用途が異なる。そのため、僕はある一室に案内されていた。
「偉大なる主神、メーサデガー様、死を司る冥神アルミリト様、どうか我が呼び掛けに応えたまえ。我が前に力尽き倒れし者たちに、再び命の息吹を与えたまえ」
魔方陣が光る。光が収まったところ、僕のよく知るみんなの姿があった。
良かった。僕が近寄ると、みんながばつの悪そうな顔をしながら、僕の様子を伺う。
「みんな!! 良かった、本当にっ!!」
僕は、僕から顔をそらす彼ら一人一人に、抱きついた。
「本当に、良かったよ」
万感の思いを込めながら、僕が呟くと、何故かみんなが泣きそうになってる。
「みんな、どうかした?」
「テルア。俺らに失望したりしないのか? あんなに簡単にやられちまう。俺らはお前と違って、弱い。お前と一緒にいれば、俺らはお前の足手まといになるんじゃないか?」
サイガが、耳と尻尾をぺたんと力なくしながら、問いかける。
「ならないよ。それはない。だって、僕さ、みんなと一緒がいいんだもん。冒険も、みんなと一緒にやりたいから! それだけなんだよ。僕の理由なんて大したものじゃないかもしれないし、みんなにとっては、色々悩むかもしれない。でも、僕はみんなが一緒にいてくれれば、嬉しいし、笑顔になれるんだ。足手まといとか、絶対に思わない。みんなで強くなればいいんだよ。僕は、みんなが僕に頼るだけじゃないって知ってる。みんなが、ちゃん努力してることを知ってる。期待はずれだなんて、思うはずがないよ」
僕は、一気に言葉を募らせた。笑顔になる。
「行こう、みんな。イベントはまだ終わってない。僕、まだじいちゃんの課題についてもできてないんだから! みんなに手伝ってもらう気満々だからね!」
ナーガがその言葉に苦笑した。
「本当に、お前は・・・」
「あとさ、強くなりたいなら、これからいくらでも強くなれるよ。あ、そうだ!今、鉄斎さんと鈴音さんのエクストラバトルが始まってるんだ。それ、みんなで観に行こうよ。君たちが始めたことだから、きちんと最後まで責任持つのは当たり前だよ?」
僕は、照れ臭くて早口になってしまった。
「あぁ、そうか。そうだな。お前は、そういうやつだな」
サイガもナーガと同じく苦笑だ。
僕は、後でフォローも必要だろうなと感じながら、ひとまずみんなで闘技場に戻ることにしたのだった。暗い顔をしてても、後でなんとかなると、そう信じきっていた僕は、バカだった。
これが、みんなとの間の亀裂になるとは、思わなかったのだ。
次→9/5 19時




