249話 エクストラバトル 11
遅くなりました。すみません。(´・ω・`)
嘆息が口を突いて出てしまう。ここから先は、純粋に時間稼ぎくらいにしかならない。
僕はミルカスレーグイに声を掛けた。
「耐久勝負だけど、大丈夫?」
頭を甘噛みされる。ミルカスレーグイに感謝しながら、僕は再び集中力を高めた。
手にするのは、じいちゃんお手製本の『魔物大辞典』と『魔法大図鑑』。
本当は、一つはきちんとした剣が欲しいところだけど、贅沢は言ってられない。
払い、薙ぎ、斬り伏せる大太刀。
本で、さばき、防ぎ、かわしていく。
あぁ、本当に防ぐだけで手一杯。
集中を切らしたら、その瞬間、喉笛に喰いつかれるだろう。
生死ギリギリの闘い。
あーもう、きっついなぁ。
苦しくて、届かないことが悔しくて。
なのに、楽しい。
ほとんど勝ちめのない相手に、自分の力がどこまで通用するか。
鋼糸も使用してみるけど、あ、通用しなかった。いよいよ打つ手がなくなる。
でも、せめて一撃はいれたい。
隙ができないのは理解してる。ならば、攻撃の癖から次の手を先読むしかない。一手、二手など、ちんけなことはしない。やるならば、最低五手先までは読みたい。
情報を、蓄積していく。どんな攻撃パターンを使用しているか。分析していく。
まだだ。まだ、まだ足りない。
確実でなくても、せめて五割は欲しい。
「防いどるだけでは、わーには勝てへん」
温羅さんが大太刀を僕目掛けて投げつけた。しまった、一瞬反応が遅れた!
僕は大太刀を避けるのに精一杯で、伸びてきた拳打を顔面に受けてしまう。さらに、足払いで体勢を崩されてしまった。
「終わりじゃ!」
僕の体からミルカスレーグイが離れた。
びゅぅぅううう!
僕は咄嗟に息を止めた。
「うぐっ!? 臭ぁ!?」
ミルカスレーグイの吐く息は臭く、怯ませるには十分だ。その間に僕は体勢を立て直す。
「なんでや。なんで、倒れん!? どこまでしぶといんじゃ!!」
「しぶとさは、害虫並だって言われてるんで!」
反論しながら、僕は飛龍のナイフを構える。
「花烈大破!!」
「小賢しいんじゃぁあああ!!」
距離を置き、仕切り直しだ。
いつまで続くのか、か。温羅さんには悪いけど、あと、一時間は持たせないと駄目なんだ。温羅さんには退屈かもしれないけど、付き合ってもらうよ。
だけど、僕の予想よりも早く、僕の能力は確実に少しずつ底上げされていっていた。それは、あまりにも長い時間、戦いが続くことを意味していたのだった。
だけど、長々と続く闘いは、唐突に中断された。乱入者が現れたからだ。
リングの上に着地したそのプレイヤーは。
「マサヤ・・・・・?」
「こんの、アホ! バカ、マヌケ、スカポンタンの考えなしがぁぁああああ!!」
僕は、泣きながらがくがくユサユサとマサヤに揺さぶられるのだった。
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