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245話 エクストラバトル(※) 7

(なんじゃ、これは・・・どういうつもりなんじゃ!?)

 今の温羅とやりあえるのは、おそらくテルアのみだ。それなのに、下手をすれば足手まといになりかねない他の魔物らを使うというのは、まったく理解ができない。

 そう、考えていたが。

「怒ってるのは、僕だけじゃないから」

 ぞくり。温羅の背筋に戦慄が走る。

 魔物組が、全員温羅を睨んでいた。

 何かある。何が・・・。

「そんなに突っ立ってていいの、温羅さん?」


 背後から聞こえた声に、思わず反応してしまった。大太刀を振るった温羅の手に何かが張り付く。

 がしゅ、と浅く傷を負ったが、それよりも問題があった。

 ブラッドの攻撃によって、毒状態になる温羅。


(!? 毒攻撃を持ってるのは・・・)

 動揺が押さえきれない。心の乱れは、そのまま動きに直結する。

 温羅がここまで動揺するのは、ある意味仕方がないことだ。

 温羅が本気で戦いをしたのはもう何百年も前の話なのだ。それ故、思い上がりが知らず知らずのうちに出ていた。

 それが、心の動揺に直結する。温羅の動きが元の状態に戻っていることにさえ気づけない。


 そして、ここから温羅はさらなる悪夢のような時間を過ごすことになる。

「うぉぉおおお!」

 サイガが突っ込む。この戦いに懸ける思いは強い。

 テルアの戦いの邪魔にならないよう、退かざるをえなかったことが、悔しくて、情けなくて仕方なかった。

 自分に怒りがこみ上げる。吐き気と目眩で、どうにかなりそうだった。

 それなのに。

「SPが切れそうだから、鋼糸で僕を引いてくれないかな?」


 風魔法で、なんでもないようにそう言われて。

 その言葉がどれだけ嬉しかったか。認められてると思えることが、どれだけ幸せなのか、きっとテルアはわかっていない。

 槍の技量には、自信がある。確かにステータス自体はレベルが低くなっているが。歴戦の激闘を制してきた勘と槍の技量をさらなる高みへと上り詰めるために、常に努力をしてきた。その努力の結果をここで、見せずにどうする!


百連(ひゃくれん)速連豪雪槍(そくれんごうせつそう)!!」


 スキルレベルを上げて、会得した今できる最強威力の技が炸裂する。

 普通ならば、サイガの攻撃力ならば微々たるダメージしか与えることはできないだろう。だが、別にいい。自分は囮なのだから。

 囮の役目を果たせれば、それだけでいいのだ。

 だが、ここで偶然と幸運が起こる。

 

 温羅の使用していた大太刀の炎が、サイガのスキルによって威力を弱められた。それを確認したテルアがパチンと指を鳴らすと、大太刀から炎が消える。

「さすが師匠です」

 温羅の首に、糸が巻き付く。そこに、超長距離の射撃が首に当たる。

 針の穴を通すような射撃だ。

 クリティカル判定が出る。

「俺のこと、忘れんな」

 不機嫌なナーガは、弓に魔力を流すのだった。



次→9/1 19時

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