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244話 エクストラバトル 6

 それは、十日以上前の出来事。

「ねぇ、じいちゃん。あのさ、ちょっと見てほしいんだけど」

 僕からじいちゃんに何か頼むのは珍しいことであり、じいちゃんは二つ返事で頷いた。僕がやった動きに、じいちゃんは目を見開く。


「前にやってたゲームで使ってたスキルの動きなんだけど、ここから魔法を組み合わせれば、似たような効果になるんじゃないかなって思って。できるかな?」

 基本的に、ゲームのスキル、特に魔法は似たような効果を持つものが多い。それを組み合わせて、以前やったゲームのスキルを再現しようというのは、酔狂と言う他ないだろうが、じいちゃんは反対しなかった。


「テルアの頑張り次第じゃろうが、今見た限りでは、できんこともないじゃろう。じゃが、何故わざわざこの世界のスキルをやろうとせんのじゃ?」

「うーん。この世界のスキルだと、相手に攻撃を読まれることもありそうだから、かな。それなら、相手が知らない動きの方が撹乱できるんじゃないかって思って」

「そうじゃな。確かにあの動きは、見たことがないパターンじゃった。不意打ちくらいには使えそうじゃ」


 じいちゃんのお墨付きに、僕は嬉しくなって、その動きをたくさん練習した。

 それが今、効を奏している。


「ぐっ! ちょこまかと!!」

 大太刀が本来ならあり得ない速さで振られる。一撃の威力に秀でてるが故に、その取り回しには繊細な技術が必要となる。しかし今、温羅さんの心には動揺が走っている。故に、本来ならば乱れない太刀筋も乱れている。それなら、かわせる。


『動体視力良いよな、お前』

 昔、正也にそんな風に言われたっけ。なつかしい。

 だけど、見えていてもかわせなければ意味がない。そこは、クレストのおじさんと戦ってて鍛えられた。

 相手を良く見て、次の攻撃を予測し、その攻撃を回避する。

 振り上げと降り下ろし、そして薙ぐことぐらいしかできないのであれば、効率の良い攻撃パターンは半分決まってくる。

 だけど、温羅さんの大太刀は熱くなってる。刃がかすれば、それだけで大ダメージをもらうだろう。

 後少しだな。時間を稼ぎながら、僕は思考する。

 SPがもうすぐ切れそうだ。強い反面、両手両足に常に魔法を掛けて持続するのは、かなり消費がすごい。

 さてどうしたものか?


「威勢がいいのは最初だけじゃのう!」

 温羅さんが挑発してくるけど、僕は乗らない。温羅さんのSPも目に見えて減っていってるからだ。まぁ、僕よりもまだ余裕あるのが悔しいけど。

「!!」

 僕の両手両足に掛けた魔法が解ける。それと同時に、僕の速さも元に戻ってしまった。迫る太刀はかわしきれない。

「これで終いじゃあ!!」

 僕は。

 僕の体は床を滑るように移動していた。

 轟音。

 さすがに、全ダメージを無効とはいかなかったようだが、助かった。

 ナイスタイミングだ。

「!?」

「頭に血が上って、忘れちゃってた? 一人で戦うなんて僕は一言も言ってないよ」

 僕の体に巻き付いた鋼糸。それを引くことによって、僕は自分の速さ以上の動きができたのだ。足の裏に薄く氷も張ってる。

 鋼糸を使えるのは、僕とハイドのみ。

「ハイドの回復、ありがとう、ヤマト、ナーガ」

 僕は、後ろを振り向かずに礼を言う。

 そこには、大怪我を負ったものの、今は全快したハイドがいることが、見ずともわかった。



次→21時

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