239話 日常が帰ってくると(※)
息が切れて、体が重い。今すぐ、床にへたりこみたいが、まだ練習は終わってない。
全員で正座をし、最後に精神統一をして、ようやく部活の練習が終わる。
ふいーっと、正也は息を吐いた。
「あー、久々の練習はきつい」
ぼやきながらも、正也はこのあと自主練をするかどうか迷う。
「よし、ちょっとだけ残ってやってくかな」
一人ごちながら、正也は今、何時かを知るために、時計を見遣るが、そういえば時計は壊れていたはずだ。
仕方なく、携帯端末の電源を入れると、途端に全てが吹っ飛ぶほどの衝撃が走った。
「ふ。ふふふふふ。ふふふふふふふふふふふふふ」
不気味に笑い始めた正也から、他の部活員がさりげなく距離を取った。
「なにやっとるんだぁ、あいつはぁああああ!!」
正也の怒号に反応したのは、慣れていない者だけで、先輩はどこふく風だった。
携帯端末の画面には、エクストラバトルの模様が映し出されていたのだった。
その後の正也の行動は早かった。マッハで帰宅準備をして、帰宅。シャワーを浴びずに着替えだけ済ませて、「ファンタジーライフ」にログインしたのだった。
正也はすぐにイベント会場に転移すると、そのまま近くの建物へと急いだ。
そして、闘技場へと駆け込む。
しんと静まり返っている闘技場。
その中心のリングでは、すさまじい激闘が繰り広げられていた。
「あのバカ・・・!」
激闘を繰り広げてる片方は、正也のよく知ってる人物だ。幼馴染みであり、高校までの腐れ縁でもある。
だからこそ、正也は心配だった。
「わかってんのか、輝。目立ったらまた、あんなことになりかねねぇのに!」
正也の声は、遠すぎて、リングにはとても届かなかった。
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