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238話 エクストラバトル 2

 僕は、みんなと一緒に作戦会議をしていた。生半可な相手ではないから、きちっと作戦は考えておいた方がいいからだ。とはいえ、僕は温羅さんと戦うのは初めてだ。つまり、相手の情報が絶対的に少ないし、即席の連携が通じるほど簡単な相手ではないだろう。と、なると。

 僕はみんなに一つの提案をした。

 みんな、最初は驚いていたが、誰も反対はしなかった。

 じゃあ、そういうことでひとまず頑張るかな。

 僕は役割分担を決めると、温羅さんが待つ闘技場へと向かったのだった。


「大変長らくお待たせいたしました〜。まもなく、エクストラバトルが始まりまーす。司会は私、春がお送りします」

 にこっと可愛く微笑んで、春さんは闘技場の隅へと移動する。一辺二百メートル四方のリングに上がった。思ったよりも、観客が多い。つい、感慨に耽りそうになる。

「懐かしいな」

 以前プレイしていたゲームを思い出して、苦笑した。あのゲームのアカウントは完全に削除されてしまったし、もう二度とあのゲームに戻ることもない。

 今、ここは「ファンタジーライフ」のゲーム世界なのだ。

 僕は前を向く。


「さて、今回のバトルの相手をご紹介しますね〜。まずは、本選出場者をちぎっては投げちぎっては投げして、勝利した、温羅様です〜。温羅様は典型的な肉弾戦に特化してます。対して鬼術には少し弱い傾向がありますから、そこをうまく突けば、体力を削れるかもしれませんね〜」

 春さんの紹介に多少ブーイングが上がるが、歓声の方が大きい。


「対するは、この拠点を造り上げた立役者である魔物組でーす。改めて、魔物組のメンバーを紹介します〜。拠点の監視者であるヤタガラスのヤマトさん、様々な怪しい薬を造り出す驚異の三つ目蛞蝓シヴァさん、無口な服職人である、黒岩大蜘蛛のハイドさん、かっこよさを追求する吸血蝙蝠ブラッドさん、顔は怖い拠点の相談役、悪魔兵兵隊長チャップさん、もはや神がかっているといえる弓の腕前を持つダークエルフ、ナーガさん、頼れる兄貴分の狼獣人、サイガさん、そして彼らを束ねる異界人、その実力は未知数ながら、今回のエクストラバトルの提案は彼が自らしたそうです。異界人、テルア・カイシさんです!」


 うわぁ、なんか派手な紹介されちゃったよ。目立たずというのは、提案したからわかってたけど、これは。

 闘技場がまさか満員御礼状態とは思いもよらなかった。

 まぁ、観客(ギャラリー)が幾らいても、どうせすぐに目に入らなくなるのだから、別にいいか。

 割りきりすぎとは自分でも思うが、そんな観客に構っていられるほど、多分甘くはない。


「最初に礼を言わせてもらうわ。わーも本当は戦ってみたかったんじゃ」

 大太刀をしまったままで、不敵に笑う温羅さんに、僕は表情を変えずに、頭を下げるだけにしておいた。

「あ、そうだ。僕は最初、あまり手を出さないんで、手加減お願いします」

「ん? つまりは見学いうことかいの? そう甘いことは言うてられんとわーは思ちょるが」

「まぁ、好きに解釈してくれれば。あ、そうだ。本当の名前を(・・・・・・)名乗り忘れてた(・・・・・・・)

 僕は名乗る。このゲームでの本当の名を。

「僕はテルア・カイシ・クレスト。以後、お見知り置きを」

 膨れ上がった覇気に、温羅さんも同じく覇気をぶつけてくる。名乗らずに覇気が出せるのは、ちょっとうらやましいね。

「テルアも相当負けず嫌いじゃの」

 僕は、司会役にすっと視線を送った。覇気に当てられていたようだが、我に返ると、司会役が咳払いをする。

「そ、それでは双方の準備が整ったようです。・・・エクストラバトル、始め!」

 試合開始の合図と共に、僕ではなくみんなが動いたのだった。

 




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