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236話 再会は賑やかに

 ※魔物言語翻訳済みでお送りします。


 チャップたちに大きな建物へと案内されて、僕らはあまり人が来ない部屋で腰を落ち着けた。

「主! いつこっちに来たの!? シヴァたちに教えてくれれば良かったのに!!」

 シヴァが今にも歯軋りせんばかりに(当然歯はないが)、悔しげにしている。

 ブラッドとヤマトは、僕の肩を留まり木代わりにしてるし、ハイドは僕を背中に乗っけたまま勝手に降ろさないためか、鋼糸で僕の足をきっちりと固定している。別に逃げたりしないのに。

 サイガとついでにいつのまにかナーガも姿を見せた。ハイドの側に二人並んで座ってる。こんだけ大勢だと、部屋がちょっと狭く感じる。そこまで小さい部屋じゃないのに。


「師匠! 実はですね、師匠がいない間に・・・」

「あー、ちょっと待って、チャップ。とりあえず、最初にやること間違えてるから」

 僕は、手を上げて、チャップに制止をかけた。不思議そうに首を傾げてるから、本当に最初に何をやらなきゃいけないのか、わからないらしい。

「そっちの人たち、まず紹介してくれる? その後で、報告を受けるから」

 僕は所在なさそうにしていた鬼人たちを指したのだった。


「私としたことが。あまりに師匠に会えた喜びが大きかったので、すっかり忘れていました。師匠、こちらはおにーちゃん寄ってって村で宿屋を営んでる女傑、鈴音殿です。その隣の翁は、鉄斎殿。鉄斎殿は、集物所を営んでいます。ちなみに、集物所は冒険者ギルドの代わりのお店ですね。そして、あとの二人は鈴音殿の娘さんで、小さい方が六花殿、大きい方が秋菜殿です。鈴音殿、こちらが私たちの主である、テルア様です。私の師です」

 さらりと紹介をされたけど、それだけではそっけない。僕は笑顔で、ひとまず初めましての挨拶をすることにした。


「初めまして、テルア・カイシです。一応、シヴァたち魔物組の主です。僕が不在の間、魔物組の面倒をみてくれてたみたいで、すいません。諸事情で、こちらに来るのが遅れました。短い間ですけど、今日からよろしくお願いします」


 僕が頭を下げると、しばし放心していた鈴音さんが慌て出した。


「やめとくれ! あんたみたいないい男に頭を下げられちゃ、かなわないからさ!でも、そうかい。あんた・・・って呼ぶのはさすがに失礼だね。テルア殿とお呼びしても?」

「構いません。あと、僕も普段の口調に戻してもいいですか? 敬語は慣れてなくて」

「もちろん、普段通りしゃべってくれればいいさ。遠慮なんてされたら、あたしらの方が身がもたない」

「ありがとう」


 僕は口調を余所行きから普段のものに戻した。

 

「じゃあ、チャップ。さっきの連中の後始末をどうしたか、聞いていい?」


「ええ、もちろんです、師匠。まず、先程鈴音殿に襲いかかった奴らはもれなく全員に止めを刺しています。消えましたから、師匠はご存じですね。闘技場イベントの中止の声も上がりましたが、それなら形式を変えればいいと、今現在、温羅様VS本線出場者との対決が行われています。もしも勝ち残れたら、ランキングポイントをゲットできると本人が言われましたから。それと、鈴音殿らを襲撃した異界人に関してですが、こちらは問題ありません。森の北の主が話を聞いて激怒し、自主的に村で警戒をしてくれてます。防犯木像に騒ぎを起こした異界人らの情報を取り込んでいますから、間違えて犯人以外を襲うこともないかと思われます」


「防犯木像? チャップ、そんなのも作ってたんだ。すごいね」

 素直に感心すると、チャップが恥ずかしそうに顔を伏せた。少し耳が赤くなっている。

「お褒めに預かり、光栄です、師匠」

「主! あのね、あのね、シヴァもね、頑張って色々と研究してる最中で・・・」

「シヴァ! 抜け駆けはずるくない!?僕だって主と話したいんだから!」

「そうだって! 俺だって、主の話が終わるまで待ってたんだ、初手をかっさらわれて黙ってられるか!」


 ヤマトとブラッドが抜け駆けをさせまいと、シヴァを牽制する。

 それにナーガとサイガまで加わり、場は一気に賑やかになる。

 その喧騒を、僕は心地よく感じた。

 ああ、やっぱりみんな揃うと騒々しいけど退屈しない。

 ふふっと、小さく笑みをこぼす。

 乱闘にまで発展しそうなので、そろそろ止めておこう。

 僕は息を吸い込んだ。


次→22時

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