231話 伝言
予選の時間は一応決まっている。そして、ちゃんと間に昼休みが挟まれていた。
僕は一旦ログアウトして昼食を食べてから、再び闘技場のある建物に戻ってきた。だが、昼休みがまだ終わってないため、僕はミルカスレーグイを召喚してからぶらぶらと辺りをうろつくことにした。
闘技場の周辺は、どうやったのかは知らないけどかなり拓けた場所となっている。そこに、なんとなく見覚えのある、不気味なオブジェクトが屹立している。
あれって、なんかチャップが作ったみたいな木像だなぁ。
僕は腰でぷらぷらと揺れてるチャップからもらったお守りをまじまじと見つめた。お守りのはずなんだけど、目玉が照れたように、一斉に閉じられて、まだ僕が見ていることに気づくと、徐々に熱を発する。
意外と照れ屋なお守りらしい。見た目は悪いけど、性能は案外いいし。
でも、困った。
みんなどこだろう? 予選から本選出場が決まってから、僕はすぐにシヴァたちに連絡を入れようとした。でも、何故か現在は連絡が取れませんと出てしまい、結局連絡が取れずじまいなのだ。
一応、報告メールは運営に送っといたけど、ちゃんと対応してくれるかなぁ。してくれないと、困るんだけどね。
今回の闘技場のイベントに参加してることくらいは伝えておきたかったんだけど。まぁ、みんな強いし、そう簡単にやられたりはしないよね、多分。
僕は、森の探索をするか、それともこのまま予選や本選の観戦をするか、悩んだ。
本選に進むのがどんな人物か見ておきたいのは山々なのだが、明日は森の中でのイベントだ。下見も兼ねて一度森に入っときたい。
「ミルカスレーグイ。森の下見に行くか、このまま本選の観戦するか、どっちがいい?」
困った時のミルカスレーグイ頼み。ミルカスレーグイは迷わず、森の方を指差した。
森の下見か。
ミルカスレーグイの判断を信じて、僕は森の中へと入ったのだった。




