224話 激昂(※)
それは、相手にしてみれば至極当然のことだった。
「光刹連斬」
溜めに溜めた一撃で、サイガに大ダメージを負わせ、サイガが一時的に戦闘不可能の状態に陥る。
「!! サイガ!」
それに合わせて、ナーガを葬ろうとした男性プレイヤーは、ギクリとした。
止める気のなかった足が止まる。
「・・・・・・・・・。」
ナーガが、男性プレイヤーを睨んでいた。それだけだ。それだけのはずなのに、踏み込むことを躊躇してしまう。そして、その判断が男性プレイヤーに致命的な隙を生んだ。
「流星連矢」
ナーガは、煮えたぎる憤怒を面に出さないまま、SPの残量や自分のことも気にせずに、男性プレイヤーに大技を放った。一歩間違えれば辺り一帯を吹っ飛ばす超火力の弓矢攻撃だ。天へと放った矢が光を纏い、地上に降り注ぐ様はまさに流星郡のように見えた。
サイガもその攻撃範囲に入っているが、ナーガの弓の腕前は、もはや神がかっている。狙った場所にしか落ちない弓矢は、男性プレイヤーを細切れにした。だが、やはりアイテムで復活する男性プレイヤーに、ナーガの怒りは頂点に達した。
「復活させるか!」
ヤマトが吼えて、羽矢をプレイヤーの頭上から雨のように降らせる。
そして、ナーガは。
「死ね」
降り注ぐ羽矢が収まると同時に、距離を詰めて、それを相手の口に突っ込んだ。
「!? !?」
男性プレイヤーは悶え苦しみ、そのまま倒れてしまう。
「えげつない威力だな。死肉の漬け物」
「それよりも、サイガだって! サイガ無事か!?」
もはや男性プレイヤーのことなど忘却の彼方へと押しやって、ナーガとヤマトはサイガの回復に務めたのだった。
次→8/20 19時
 




