222話 襲撃者(※)
「あはっ。やりがいありそうだなぁ。けど、俺たちの方が強い」
「ちょっと、油断しないでよ!」
武器を構える男女の二人組に、一番最初に襲いかかったのはハイドだった。
女の背後から奇襲をかけるが、残念ながら、それは男の素早い反応で防がれてしまう。だが、ハイドの上に乗っていたシヴァが、何かを女目掛けて振りかけた。
そして、魔法を放とうとする女プレイヤーは、放てないことに僅かに動揺する。
「!? 魔法が封じられてる!」
「へぇ。そんな薬あるんだ。ってかさ、前から聞きたかったんだけど、お前ら、何? そんじょそこらのプレイヤーよりも強いし、けど、イベントには参加してるみたいだし? お前らって結局なんなの?ただの魔物じゃないのはわかってても、知りたくなるんだっつーの」
男の方が、手にした剣でハイドに斬りかかった。ハイドの硬い皮膚が容易く切り裂かれる。
「「「「「「!?」」」」」」
「何驚いてんの? 物理攻撃力を高めてたら、こんなこともあるだろ?」
一番的がでかいからか、ハイドに狙いを定めて、連続攻撃を決めようとするが、それは槍と弓矢によって防がれた。
「調子こいてんじゃねぇよ、若造がぁ!」
サイガが槍を操りながら、男に肉薄する。そこに、アシストの弓矢が入ると、男も防戦一方だ。だが、男の方には余裕がある。何故なら。
(こいつ、スキルをまったく使ってねぇ!スキルを使う時を計ってやがる)
驚嘆すべき戦闘力だった。剣術だけならば、相当な腕だ。危なげなく、サイガの槍をさばいていくのだから。
そして、男とサイガとの戦闘が長引くにつれ、汗を吹き出すのはサイガの方となっていった。サイガの動きが鈍り出したのだ。
「やーっと効いてきたか。この剣に何度も切られてるってのに、まるで効果が出ないから、ちょっと焦ったぜ」
「! 剣の特殊効果か!」
「そーいうこと。あと、あっち、止めなくていいわけ?」
バゴンと、ものすごい破砕音が聞こえ、シヴァがハイドを呼ぶ声がする。
「俺とコンビ組んでるくらいなんだ。あっちも相応にやるぜ?」
「必要ない」
サイガは眼前の男を睨み付けながら断言した。
「この程度でやられるほど、あいつらは柔じゃない。なめるのも大概にしとけ。それと、もう一つ」
サイガは男の剣を槍で防ぐがワンテンポ遅れる。その隙を逃さずに男が追撃を掛けるがそれは、誘い出すためであった。
ドスドスドスドス。
「!? なっ!?」
「スキルをを使いこなせるのがお前らだけだとでも?」
動きを予測された男に、ヤマトの白い羽が降り注いだのだ。回避しようとするがそれは敵わず、足を止めた隙に、ナーガの弓矢が次々と急所を貫く。
「この程度で俺たちをどうにかしようなんて、百年早い。剛旋槍」
サイガの一撃で、男は深いダメージを負った。回復をしようと男が薬を使用しかけた時を狙って、ヤマトの火魔法が発動する。フレイム・ストーム。
男はさらに深刻なダメージを受けていたが、それでもまだ生きていた。そこに、自らの必殺技である十連飛旋をサイガは叩き込む。
「あっけなかったな、案外」
「まぁ、こっちは三人だしな。それも当たり前・・・・・・何!?」
倒れた男に、白い光が集まっていた。そして、満身創痍ながら、倒したはずの男が立ち上がる。
「ちっ。蘇生薬か。かなりの高級品なんだが、持ってたのかよ」
ナーガが悪態をつく。どうやらまだまだ戦闘は終わらなさそうだ。
次→21時




