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220話 唖然とする出来事がもはやこいつらの定番(※)

すみません。遅れました。

「なんでこうなったんだ!? っていうか、あいつら何!? もはや、常識はずれ通り越してるんだけど!?」


 たまたま拠点にやって来たカカシは、その光景にぴきんと固まった。それは、そうだろう。

 そこに、プレイヤーから恐れられた、森の北の主によく似た青年がいた。

 その青年よりもしなやかな筋肉質の体躯を惜しげもなく晒している男から発される覇気で、周辺はぽっかりと穴が空いたようになっている。


 ただし、やはりプレイヤーたちも鬼人も気になるのか、遠巻きに野次馬が多数見ている。その中心にいるのは、ここにいるプレイヤーたちが知らないものはいない、この拠点を運営する魔物組が全員揃っていた。


 三つ目蛞蝓・シヴァ、吸血蝙蝠・ブラッド、黒岩大蜘蛛・ハイド、悪魔兵兵隊長・チャップ、ヤタガラス・ヤマト、ダークエルフのナーガ、そして、白銀の狼獣人・サイガ。

 この拠点の中でも、誰か一人であっても目立つのに、全員集合だ。

 さらに、対峙するのが普通の相手ではないとすると、注目度も上がるというものだ。


「なんで僕が見張りについた時に限って、何かしら起こるかな!?」

「まぁ、カカシちゃん。色々あるのが人生だから」

 モッキーがポンポンと肩を叩くが、そのモッキーは水玉模様のツーピースの水着姿だった。

「温泉入ってたモッキーに言われたくないんだけど」

 恨めしげな視線を向けられて、モッキーは顔をそらす。

 しかし、今は見守るしかないだろう。下手な手出しは相手を刺激させかねない。

 だから、二人は見守った。

 そして、事態は二人が思うよりも賑やかに動くのだった。


「おう、ここの拠点をしきってる魔物らじゃな?わーの名前は、温羅。気軽に温羅と呼んでくれりゃあいいんでの。こっちは酒呑。」

「これはご丁寧に。私はチャップです。こちらがヤマト、反対の肩に留まってるのがブラッド、そちらの三つ目蛞蝓がシヴァ、大きな蜘蛛がハイドです。ダークエルフの少年がナーガ、そちらの獣人がサイガです」

 チャップが紹介をした。そして、目を細めながら、本題を切り出した。


「それで、こちらにどんなご用でしょう? まさか、我々と敵対するためにこちらに来たなどとは仰いませんよね?」


「おう、そんなことわーは、言わんよ。ここに来たんは・・・おいしい酒を売ってもらうためじゃ!!」

「は?」

「酒だぁ?」

「おう! お主ら、有楽月にお酒を売ったじゃろう? それで、お主らの話を聞いたのよ。わーは、お酒が好きでなぁ、少し売ってくれんかの?」

 チャップはシヴァの方をへと目配せをした。シヴァは特に文句なさそうである。

 ただ、気になるのは。

「ところで、お訊ねしたいのですがそちらは森の北の主殿ではありませんか?」

 びくっと酒呑が体を震わせた。それに気づかない魔物組ではないし、他のプレイヤーもざわざわとざわめき始める。

 それを打ち消すかのように、ガァンと轟音が響いた。

 温羅と名乗った鬼人が、大太刀を地面に突き立てた音だった。

 そこから、地面がすさまじい勢いで割れていく。広範囲を一瞬で様変わりさせた。


「おう、そうじゃ。これは、わーの眷属じゃ。何かあったらわーが責任を取るわ。じゃから、ここで滞在させてくれんか?」

 端的に力を示し、何かあれば自分が手を下すと宣言した温羅に、チャップはにっこりと微笑みながら。


「わかりました。受け入れましょう。それと・・・ここの後始末は一人(・・)でよろしくお願いします」


「え? あの、わーが一人で?」


「はい、きちんと全て元通りにお願いします。それが受け入れ条件です。あと、そちらの酒呑殿は手伝い禁止です」

 初めて温羅が顔を青ざめさせたのだった。

次→7/16 19時

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