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216話 イベント五日目 6 (※)

 彼らは息を殺しながら、目標(ターゲット)と思われる気配に少しずつ近づいていた。

「・・・あれだな」

 サイガが声を潜めながら目標を見つけると、彼は振り返り、猛烈に嫌な予感に突き動かされてその場を振り向くことなく前方へと大きく跳躍した。


「あー、避けられたぁ。あはは♪」

 

 舌足らずな口調とは裏腹に、目標(ターゲット)である少年は笑っていた。

 心底、愉しげに、嬉しげに、手にした小刀に舌を這わせる様は恐ろしいほどに、妖艶だった。

 それ故に、少年の異常さが際立つ。


「なぁ。北の主って、これ、本当にただの鬼人か?」

 誰もが戦慄に震えていた。間近で放たれる強い覇気。森の北の主は鬼人と聞いていたが、これはただの鬼人ではない。

「あれぇ? どうしてぇ。気配が隠れてるぅ? あ、そこだ♪」

 隠密で忍んでいたハイドの位置に向かって、正確に小刀を放ったのだった。

 避けきれず、ハイドの足に深々と突き刺さり、ハイドのからだが大きくびくんと跳ねた。


「ハイド!!」

 このままではまずいとサイガは動こうとした。

「あはは♪ 楽しいな。ねぇ、もっともっと遊んでよ♪」

 笑いながら、鬼は潜んでいたブラッドとシヴァを腕力のみで叩き伏せる。

 このままでは、全滅する。どうすればいい!?

 混乱する頭では、いい考えなど浮かばず。次々と実力でのされていく。今はまだ遊んでいるだけだと、わかるほどの実力差に、湧き上がりそうになる絶望を、強固な精神力でねじ伏せる。


 その時。サイガは鬼人が酒好きであり、酒豪であることを思い出した。

 その瞬間、叫んでいた。

「お前、俺と酒飲み勝負をしろ! お前が勝ったら、俺の首をやる」

「へぇ? 酒飲み勝負かぁ。おもしろい、おもしろいなぁ!いいよ?」

 鬼人は、笑いながら酒飲み勝負を受け入れたのだった。

 


次→7/14 19時

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