214話 イベント五日目 4 (※)
※魔物言語翻訳済みでお送りします。
そこは、拠点の建物内でも奥まった場所にあり、関係者以外は立ち入り禁止の札まで部屋の入り口に掛かっていた。
その室内には、今七つの影がある。
天井近くには、魔法で産み出された灯りが煌々と灯り、室内を照らしていた。
「と、いうわけで。おじいちゃんからメールが来たんだけど。シヴァ以外にもメールもらった?」
「僕ももらったよ。北の主の漬け物をなんとかしないとダメなんでしょ?」
ブラッドの言葉に、ハイド、ヤマト、チャップの三体も頷く。
「あー、悪い。ちょっといいか?」
サイガが挙手し、話の流れを止める。申し訳なさそうに訊ねた。
「シヴァの言ってたおじいちゃんって、誰?」
魔物組とナーガはシヴァのおじいちゃんが誰を指すのかわかったが、サイガは魔神ジャスティスとは面識がない。わからないのも無理はなかった。
どう説明したものかと思っていると、ナーガが呆れながらも教えてくれた。
「シヴァの言ってたおじいちゃんっていうのは魔神ジャスティスのことだから」
「・・・・・・・・・は?」
ナーガの言葉を咀嚼するのに、かなりの間が空き、さらにサイガは間抜けな声を出してしまう。耳を自分で抑えて、首をひねりながらもう一度訊ねた。
「悪い。今のは俺の聞き間違いか? 魔神ジャスティスとか聞こえたんだが・・・」
「いえ、間違ってませんよ。魔王の治めるワグナー大陸。そこに住んでる魔族が信仰しているのが魔神ジャスティスです。シヴァが言ったおじいちゃんは魔神ジャスティスのことです」
「はぁぁああああ!? ちょ、本当なのか!? 俺の聞き間違いでなく!? なんで、魔神と知り合いなんだよ、お前ら! 神のお気に入りってかなり特別だぞ!? 俺だって数人しか会ったことねぇよ!」
「? 何驚いてるんだ? サイガ、テルアの知り合いなんだろ? テルアがじいちゃんと知り合いなのも知ってるんじゃないのか?」
普段、どんな物事にもあまり動じないサイガの額から、たらりと汗が流れる。
まさか、という思いでさらに詳しく聞いてみて、即座に後悔した。
「まさかのクレスト神との個別訓練とか、どこから驚けばいいんだ、本当!?」
「えー? 驚くほどのこと? だって僕の主だよ?」
「そうですね、私の師匠ですし」
「だって、テルアだしな。そこまで驚くことはないと思うって。ティティベル神泣かせたくらいだし」
魔物組+ナーガが全員揃って頷くのを見て、サイガは色々驚くのをあきらめた。驚きすぎて麻痺したのだが、もう、どうでもいい。
「あー、とにかく、大体わかった。これ以上はもういいわ。で、話を戻そうか。どうやって、北の主に近づくんだ?」
「あ!それならこれ使ってみない? シヴァが開発したんだけど!」
シヴァが出した薬は、見た目からしてヤバかった。赤色から薄汚い灰色、まっ黄色と、色の変化もヤバイ。ごぽごぽと泡立つそれに、全員が怯んだ隙に、シヴァが蓋を開け・・・。
場は、一瞬で阿鼻叫喚と化したのだった。
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