213話 イベント五日目 3 (※)
「わー、すげぇ!兄ちゃん、めっちゃ高いよ!?」
「そりゃ、巨鬼の上だしな」
「びええええ! ちょ、怖い怖い怖い!おーろーしーてぇぇえええええ!!」
鬼人の子どもたちが、シヴァたちの拠点で巨鬼の上に乗って遊んでいた。
監督してるのはナーガだ。落ちたときように、大カラスらも待機している。
「きゃはははは! すごい、すごい!」
「えい、それぇっ!」
「うわっ、やったな!?」
巨鬼から少し離れた位置では大きな温泉で泳いだり、遊んでる子鬼たちがいた。みんな、水着着用である。そこは異界人たちにも解放されており、中には側にあるハイドが売り子をしている水着屋で水着を購入するものもいる。
温泉ではプレーリードッグの親子がのんびり泳いでおり、女性プレイヤーたちがワーキャーいいながら、スクショを撮っている。
鬼蜘蛛、巨大プレーリードッグ、残った魔物組メンバーらは、拠点から少し離れた、森を拓いた場所で異界人らと希望する鬼人に実践形式の稽古をつけている。急所の察知のしかたや、狙いの付け方など、サイガやチャップは教えるのが上手く、いつのまにかサイガやチャップに教えを乞う者が増えている。ちなみに不気味防犯木像もちゃんとこちらに入って役に立っていた。
「すまないねぇ。今は森が物騒だから、子どもらの相手ができなくて、つまらない思いをしてると思ってね。あんたたちに頼んで良かったよ」
様子見に来た鈴音が満足そうに案内役であるヤマトに話す。
なぜ、こんなことになったのか。
魔物組は別にここをレジャー地にするつもりなど毛頭なかったのだが、監視をさせられたギルドのサブリーダーがあまりの非常識さにぶちギレし、八つ当たり気味に掲示板に情報を載せたために、北を攻略できなかった異界人らが続々と来るようになってしまい、こんな騒ぎになってしまったのだった。
今では小さな市が開かれることもあり、とても繁盛している。と、いうのも、彼らは自分らが造った施設を、一人につき、一日一万の使用料を取っているからだ。そのお陰で、魔物組の懐具合はぬくぬくである。そのお金で、欲しい素材を鉄斎から買い取ったりしている。
北に関しては、魔物組も気になっているものの、様々な情報を鑑みて、焦って攻略せずともいいだろうとの判断から少し放置気味である。
だが、その日届いたメールに、魔物組は全員が終結することになった。
メールが届いたのはナーガとサイガを除く、魔物たち全員。送り主は、彼らに様々なことを教えてくれている、魔神ジャスティスからだった。そこには短く一文が書かれていたのみだった。
『課題:北の主が漬けた漬け物を処分すること』
その難題とも呼べる問題に、彼らは頭を悩ませるのだった。
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