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21話 ジョブに就こう!2

「さて次はどっちじゃ?」

ブラッドは目を覚ましてない。必然的にハイドとなるのだが。

「じいちゃん、職業(ジョブ)に就く場合、その水晶に触れて、なりたいジョブを念じるんだったよね?」

「うむ、そうじゃ」

「ハイドが触るってか、体重掛けたら、その水晶壊れない?」

「・・・・・・・・・。」

 たらり。僕はじいちゃんの額に汗が浮かんだのを見逃さなかった。

 あ、やっぱりじいちゃんも壊れるって思うんだ。そりゃまぁ、そうだよね。

 今のハイド、正装とか言って、足に金属の塊を着けたままだし。

 これ、絶対に水晶割れるよ。割れたら、弁償させられるよね、当然。



「さ、先にブラッドの方にジョブに就いてもらうかの。ほれ、テルア。ブラッドを起こすんじゃ」

 壊れた時の保険のために、先にブラッドをジョブに就かせる魂胆らしい。

「ブラッドー。起きてー」

 うーん。ごそごそはしてるが、なかなか目を開かない。ここは、どうやらじいちゃん直伝の最終奥義を使うしかないようだ。

 僕は、すぅ、と息を吸い込むと。

「あーっ! あんなところに可愛い吸血蝙蝠の雌がいる!」

 効果は抜群だった。今まで僕の肩にぶら下がっていたブラッドはかっと目を見開くと、ごそごそと毛繕いをし、身支度を数秒で整えて、さらには僕が指差した方向に向けて、自分をかっこよく見せるポーズを取り、光の角度まで計算したポーズで、牙に装着された指輪をキラーンと光らせた。



 うん、すごい。

 見事に決まってる。これがブラッドの実力だ!

 この光の角度を計算するのに、ブラッドはえらく難しい物理と数学の授業をわざわざじいちゃんから受けていた。

 それだけではない。大きな鏡を自作して、自らを一番かっこよく見せるポーズの練習を、それこそ何時間でもやっているのだ(現在進行形)。僕はここに断言する。

 僕が出会った中でも、ブラッドは一番の伊達(だて)蝙蝠(こうもり)だ!

 すごいよ、ブラッド。

 君のその自分を格好よく見せて女の子にモテモテになりたいって情熱は誰にも負けないものがある!

 睡眠時間を削って伊達蝙蝠の道を突き進んでるから、移動中は基本的に僕の肩にぶら下がって寝ちゃうんだけどね。

 え? 何? 可愛い吸血蝙蝠なんてどこにもいないじゃないかって?

 ごめん、それ嘘だから。

 って、あーっ! こんなところで超音波放とうとしちゃダメだって、ブラッド!

 僕は急いでブラッドの口を抑えたのだった。



 仕切り直して。僕がブラッドに、モテモテになりたいなら、ジョブに就いておいて損はないことを伝えるとブラッドは喜んでジョブに就くことを快諾した。

 ブラッドは、自分の足を水晶に乗っけると念じ始める。



 ブラッドのメインジョブがモデルになった!

 ブラッドのサブジョブが暗殺者になった!



 はい? モデルって何、モデルって。こんなのまでジョブあるの?サブの暗殺者はともかく。いや、いや。ちょっと待て、落ち着け、僕。暗殺者なんてジョブも十分ヤバイに決まってる。

 なんて、僕が考えてると。

「なるほど。モデルはブラッドがモテたいがために選んだジョブじゃが、サブの暗殺者はスキルがテルアとお揃いじゃの。ブラッドもなんだかんだでテルアのことが好きなんじゃのう。良かったの、テルア」

「え? 暗殺者のスキル? そんなの僕、覚えてたっけ?」

 僕は暗殺者なんて就いてないし、就いた覚えもないんだけど。

「ん? 何言っとるんじゃ。テルアの場合、暗殺者が覚える気配察知と危機察知、急所察知に幻惑魔法まで覚えとるじゃろうが」

「あ、なるほど」


 ゼルガさんにしごかれた時に覚えて、さらにスキルレベルもしごきのおかげで上がりまくったっけ。なんだかんだで、このスキルを覚えているかいないかは、戦闘ではかなり大きいアドバンテージになる。

 結構使い勝手のいいスキルだとは思ってたんだけど、暗殺者のスキルだったんだね。

 へえ。・・・・・・って、ちょっと待った。つまり、今の僕の場合、暗殺者に就いてると思われるんじゃない? だって幻惑魔法と、暗殺者が使えるスキル覚えてるし。

 おまけに服装が黒一色。

 まさか。

 僕は嫌な予感がして、じいちゃんに訊ねてみる。


「じいちゃん。僕ってさ、本当は暗殺者に見えたりとか、してる?」

「? 何を言うとるんじゃ、テルア。そんなわけないじゃろう。テルアは可愛い儂の孫で、魔物使い以外に見えはせんわい」

「良かった」

 僕はほっとする。そうだよね、さすがに暗殺者に間違えられたりは・・・

「ま、まさか引退した暗殺者の孫なのか!?」

 ・・・したよ。いや、厳密には間違えられてるのはじいちゃんな気もするんだけどね。

 冒険者ギルド内をいつのまにか見てきた隊長さんが顔色を青くしている。


「失礼なことをいうのぅ。儂は、暗殺者などではない」

 すっと目を細め、じいちゃんは威圧を放った。じいちゃんが、本気で怖いんだけど、これ。

「もっと上位の存在じゃ。今後二度と間違えんでくれ。本気で消したくなるからの」

 こっわー。じいちゃんが怖い。ヤバイくらいに怖いよ。

「じいちゃん、じいちゃん。隊長さんが気絶してる」

「なんじゃ! こんな抑えまくった威圧で、気絶するとは思わなんだわい。根性ないのぅ」

 あれは、気の強い人間でも気絶するレベルだと思うよ、じいちゃん。


「でも、就いてるジョブによって、覚えられるスキルって決まってるんだね。予想はしてたけど、改めて認識させられるとびっくり」

「なんじゃ、テルアはジョブ特有のスキルを知らんのか?」

「まだ、魔物の種類覚えたくらいで、ジョブに関してのスキルとか、僕、全然知らないって」

 僕の言葉を聞いたじいちゃんの表情はとてもいい(・・)笑顔だった。

 出会ってから短い付き合いだけど、僕は知ってる。

 この笑顔は、悪魔の笑みだ。



「つまり、テルアはスキルとジョブに関しての知識はまだ持っとらんのじゃな」

「それがどうかした?」

「いや、なに。ちょっとした確認じゃよ。ふふふふふ」

 不気味な笑い声を発するじいちゃんに僕はひく。絶対に何か企んでる。

 しばらく警戒するしか対抗策はない。

 僕は嘆息した。

 ちなみにブラッドのステータスはこんな感じになった。


名前 :ブラッド(吸血蝙蝠)

メインジョブ:モデル(Lv1) サブジョブ:暗殺者(Lv1)

LV :23

HP :1620

SP :2113(+100) 

力  :126 + 10

敏捷 :404 + 20

体力 :135 + 10

知力 :377 + 20

魔力 :303 + 50

器用 :225

運  :1000

親密度:100

かっこよさ:36 + 30


スキル 超音波Lv8 生命力吸収Lv 8 かっこいいポーズLv 1 忍び足Lv 1 気配察知Lv 3 暗視Lv 5 飛行Lv 7  


装備 暴風の指輪 さざ波の指輪 火鼠のスカーフ 魔石(特上級)のネックレス


称号 蝙蝠王の血筋 魔神の加護 テルアの仲間




 ・・・・・・かっこいいポーズと、ステータスに追加された、かっこよさって、何。


次→25日8時

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