208話 イベント二日目 2 (※)
二日目の朝、森の南部。
「よっしゃああああ! ようやく倒したぜ! わらわらと、面倒なやつらだったけど!」
「ようやくレベルが上がった〜。やった〜!」
「我々の手にかかれば、この程度造作もないということだな。しかし、めでたい」
「そうですね、良かったです。倒せてほっとしました」
「にゃー、にゃー、それはいいとして、この語尾なんとかならねぇのかにゃー」
彼らは同じギルドに所属する、パーティーだった。ギルド名は、「天月」。とんでもなく課金しまくっているが故の、上位プレイヤーである。
僧侶、魔法使い、忍者、盾師、剣士と、バランスもいい。彼らは、南を治める主、プレーリードックを倒し、有頂天になっている。
イベント一日目には撤退を余儀なくされたが、二日目はかなり情報が出揃っているのだ。対策を怠らなければいけると踏み、彼らは南の巨大プレーリードックに挑み、見事に勝利を納めたのだった。
これでようやく、南の探索ができる。
「天月」のメンバーは、喜びを噛み締めながら、本格的な南の探索に乗り出したのだった。
その頃、森の西では。
「なんだぁ!? そのへなちょこ攻撃は! ちっとはまじめにやれよ! ほらほら、あたんねぇぞ、下手くそ!」
骨の蜘蛛に鬼の顔を付けたような魔物、鬼蜘蛛が、一人のプレイヤーに翻弄されていた。鬼蜘蛛は、そのプレイヤーの並外れた速さについていけず、仕方なしに目標を変更しようとするが。そのプレイヤーがそれを許さない。そうこうしているうちに、もう一人が鬼蜘蛛に上位の火属性の攻撃魔法を放つ。
火は鬼蜘蛛の苦手属性だ。しかし、巨体のために、鬼蜘蛛はその魔法をかわせなかった。
鬼蜘蛛の口から、絶叫が迸る。
「まだまだみたいだな」
「手強いけど頑張りましょうか」
そう言いながら、鬼蜘蛛に立ち向かい、彼らは勝利するのだった。
二日目になって、森の主が次々と倒される中、北の主だけは倒されることはなかった。
三日、四日と日を重ねるうちに、北の主に挑もうという、無謀なプレイヤーははほとんどいなくなったのだった。
次→ 8/10 19時




