206話 イベント一日目の夜 14 (※多数視点)
ちょっぴり最後に残酷表現が。すみません。何故こうなった。(・ω・;)
「東の巨鬼を倒したじゃと!? この人数でか!」
スレイたちも、魔物組も知らなかったが、毎年現れる森の主の鬼や魔物は違う。その主の中でも巨鬼はかなりの上位に位置する。それ故に驚いたのだが、魔物組は自慢をしようとはまったく思えなかった。
テルアや、ジャスティス、クレストならば、おそらく一人で片がついた。
自分たちは、数に物を言わせて攻めただけだ。
ーーーあんまり、自慢になるようなことじゃないよ? シヴァなんて基本的にハイドの上に乗ってただけだし。一番頑張ったのってヤマトたちだと思う。
「きっ。ききぃ!ききききっ」
「ブラッドも、自分の力だけでは倒せなかったと言ってます。私も同感です。あの程度の敵、師匠なら一人で倒してしまいますよ」
「テルアなら、やってのけそうだよな。俺だって、ほとんど弓を引いてるだけしかできてなかったし」
ーーー主は、強い。私たちより。だから、私は主のことを心から尊敬している。
「あれから、まーた強くなってんのか、テルアは。お前らは、ずっと会ってたんだろ? 俺も早く会いてぇなぁ」
サイガが少し悔しげに笑う。サイガだって、会いたい気持ちが強いのだ。
早く、「ていきてすと」が終わればいいと考えてしまうのも無理はないだろう。
「すごく気になるねぇ、あんたたちがいう、リーダーって輩が。そんなに強いのかい?」
「「「「「強い(です)」」」」」
異口同音の肯定に、鈴音はふっと笑った。それは会うのが今から楽しみだ。だが、そろそろ本当に帰らなければならない。鈴音は名残惜しさ(主にお酒のため)を感じながらも渋々村へと戻っていったのだった。
「さて、鈴音も帰ったところで教えてほしいんじゃが、お主らのいう主はどんなやつなんじゃ?」
鉄斎がテルアの武勇伝を聞きたがると、魔物組は得意満面に、テルアの話をするのだった。
「なぁ、兄貴。俺らおいてけぼりなんだけども」
「今は黙っていた方がいい、ミキ。ほら、ジュースもあるぞ」
「何気にスレイちゃん、ちゃっかり便乗して飲んでるし!?」
「いやー、うまいわぁ、このお酒。おつまみ欲しいくらいや」
「ちょっと! ほりっくわーかー、何自分だけお酒飲んでるのよ! 私にも一口よこしなさい!」
カカシだけは、宴会の様子を見て、「カオスだ」と呟くのだった。戦闘しにいくのではなかったのか、と思ったカカシだったが、それを察した防犯木像がカカシの相手になってくれたのだった。
不気味だがサービス精神旺盛な木像だった。
その頃、森の北では。
「なんだ、なんなんだよ、こいつはぁあああ!」
プレイヤーの一人が半狂乱になっていた。その周囲には、自分の仲間だった存在の、手や足や頭や胴体が転がっていた。恐怖だった。
なんだ、なんだ、なんだ、これは!
あまりの光景に、呆然としてしまい、動きを止めてしまったプレイヤーに、ソレは襲いかかると、あっという間にプレイヤーをバラバラにしてしまった。
「異界人♪ 異界人♪ 叩けば、お肉が飛び散った♪ 頭は何に使おうか? もちろん、漬け物石代わり♪ 胴体何に使おうか? もちろん、漬けて、漬け物に♪ 手足は何に使おうか? いらないものだし、家畜の餌に♪ 気づけば異界人、いなかった♪」
楽しげに歌いながら、ソレは笑っていた。笑いながら、バラバラにしたプレイヤーの体を集めると、歌の通りに、漬け物にし始めたのだった。
次→8/9 19時
お知らせ 多数視点しばらく続くので、※多数視点ではなく、※だけに変更します。長いので。
本編に全然出てこない主人公はというと。
「くっくっくっくっく。覚悟はいいな、輝?」
「あー、もう。正也、悪役みたいになってるから。いくら、勉強嫌いだからって、そこまでならなくても」
「お前が言ったんだろ! 勉強一時間頑張ったら、十分スポチャン(※スポーツチャンバラの略)で対戦してくれるって」
「言ったけどさぁ。まさか、一時間じゃなく三時間ぶっ続けで勉強やって、三十分スポチャンやることになるなんて思わないって」
「くくくくく。長かった。あの鬱憤、思う存分、晴らさせてもらう!」
そして、二人はその後、三十分のはずが長引きに長引き、一時間対戦することになった。
ちなみに三時間勉強追加になった正也は、半泣きになりながらも必死に勉強したという。




