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204話 イベント一日目の夜 13 (※多数視点)

 スレイたち六人は特に何事もなく、建物に到着した。建物の中に、入ってみると。

「ん?」

「へ?」

「あら?」

「うぉっ」

「あれれ?」

「こりゃまた、なんというか、宴会中みたいやなぁ」

 六人が眼前の光景に少し呆然とした。何故なら、そこでは酒盛りが行われていたのだ。

 既に酔い潰されたのか、鬼人の若者が二人、床にうつ伏せになって転がっている。

 六人が頭を整理しきれないうちに、その出来事は起きた。


「・・・なんでお前がここにいるんだ」


 地を這うような、低い声。そこに込められた敵意に、スレイは反射的に剣を抜きかけるが、すぐにやめた。


「おう、気づいたか。なかなか強いな」


 白銀色の毛皮を持つ狼の獣人の手には、いつのまにか槍が握られていた。もし、抜剣していれば、ただではすまなかっただろう。そう思わせる、熟達の動き。戦いに身を置いてるものの身ごなしだ。

「んで? こいつらが何かしたのか? 事情次第では手助けしてやるぜ、ナーガ」

「必要なら、手を貸してもらう」

 すぐに話が物騒な方向へと転がった。

 事情を知らない魔物組から、訝しげな視線を送られる中、ナーガは答えた。


「始まりの街、アールサンの冒険者ギルドにいたやつだよ。身の程知らずにも、テルアにちょっかい掛けたやつらの親玉だ」


 途端、スレイたちは極寒の吹雪よりもなお寒々敷く思えるほどの殺気に晒されたのだった。


「殺すか? 生け捕りか?」

 ーーー殺した方が後腐れないと思うよ?

「きぃっ! ききっ!」

 賛成とばかりに吸血蝙蝠が騒ぎ立て、それと平行してハイドが六人の背後に陣取っていく。

「ちょ、ちょっと待って! 落ち着いて!」

 カカシが必死になだめすかそうとするが、それは無駄だ。魔物組は既にスレイ達を敵とみなしている。

 そんな中スレイが一歩前を出た。


「一つ、聞きたい。お前たちはテルアのなんなんだ?」

 その言葉に、魔物組は胸を張りながら答える。


ーーーシヴァたちは、主の使役魔物だよ。

「テルアは俺の信頼できる仲間だ!」

 ナーガが吼える。その言葉に、スレイは薄い笑みを浮かべた。


「ならば、別に敵対する必要はない。テルアに襲い掛かったやつらは既にギルドから除名済みだ。この間の件は謝罪して、解決している。これ以上お前がわめきたてれば、それはお前たちの主であるテルアの顔に泥を塗ることになるぞ」


 全員が黙りこむ。ナーガはきっとスレイを睨んだが。

「やめとけ、ナーガ」

「サイガ、止めるな!」

「俺の知ってるテルアなら、襲いかかられたくらいじゃ揺らがねぇよ。気が済まないのはお前なんだろ? 自分の八つ当たりにテルアの名前を出すのもどうかと思うぜ」

 ちっと舌打ちし、仕方ないとばかりにナーガは殺意を引っ込めたのだった。



次→8/8 19時

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