194話 イベント一日目の夜 3 (※多数視点)
「ちょ!? さすがにでかすぎ!!」
モッキーが悲鳴のように叫ぶが、みな、気持ちは同じだった。
「ちっ。バフ系最大まで掛けるわ! それまで逃げ切りや!」
「逃げ切れって、なかなか無茶な注文ね!」
ほりっくわーかーが、すぐさま呪文を唱え始める。ここまで来て、ほとんど手ぶらでは帰れない。それに、もはや戦闘は避けて通れないものと、全員が思っていたのだが。
「なぁ、隊長。逃げた方がよくね、これ?」
「そうだな。その方が良さそうだ」
「うーん。ここまで来て後退はちょっと悔しいけど、二人に同感かな」
戦おうとするモッキー、ほりっくわーかー、カルラとは意見を異にする、残りの三人。
三人は、戦闘経験が豊富だからこそ、ボスの存在に対して危機感を募らせた結果だ。
あのボスを相手にするのなら、きちんとした下準備が必要と、考えたのである。
「全員、撤収の準備だ! 殿は俺とカカシが務める! ミキは、俺たちのサポート、ほりっくわーかーは、カルラと自分の敏捷を上げて、ついてこられるようにしてくれ。モッキーは二人の護衛だ。ほりっくわーかーのバフが掛かり次第、ここから離れる」
スレイの指示に、モッキーやカルラは驚いたが、有無を言わさない強い口調での指示に、二人もすぐに従う。近づいてくるプレーリードッグを迎撃していると、巨大なボスが動いた。
「!! 距離を取れ! どでかい攻撃が来るぞ!!」
ミキが警告を発する。ミキの警告とほぼ同時に、プレーリードッグが跳躍した。
そして、当然の如く重力に引かれて、落下してくる。
プレーリードッグが落下した中心から、地面がめくり上がり、巨大な土石流となって、スレイたちへと押し寄せる。
「ヤバ・・・!?」
スレイたちは回避しようと試みたが、回避できず。土石流に呑み込まれるのだった。
「長。呑み込まれちまったぜ、あいつら」
「どうしますか?」
「面倒なことは、できる限り巻き込まれたくないが、見殺しにするのもちょいとな。しゃーねぇ。ちっとばかし手出しするか」
拓けた場所付近の樹上では、そんな会話がなされていたのだった。
次→21時
8月1日~6日までは一日一回更新に減らさせてもらいます。m(_ _)m




