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180話 イベントの参加者たち 13 (※多数視点)

 ヤマトがテントに戻ると、まだチャップは帰ってきていなかった。

「おーい! 一旦帰ってきた」

「あ、お帰り〜。早かったね、チャップはまだ戻ってないよー」

 出迎えてくれたブラッドが教えてくれた。ヤマトはひとまず、テントの中に入ろうとしたが、ブラッドから忠告された。


「入るなら気を付けた方がいいよー。僕、臭いに耐えきれずに出てきたから」

「わかった」

 忠告を受けて、ヤマトが中に入ると。確かに一言では形容しがたい臭いが、テント内に充満していた。


「・・・・・・・・・。」

 ヤマトは何も言わずにテントを出た。正しい判断だろう。あのままいれば、臭いが体に染み付く。それは嫌だった。

 シヴァは臭いがついても、粘液を分泌してしまえば、そこまで臭わなくなる。そんなところで種族特性を活かさないで欲しいとヤマトは思う。


「そういえば、ハイドは?」

 話題を変えようと、ヤマトはブラッドに問いかけた。ブラッドはそれね、と言い話し始めた。

 ハイドは森の中で肩を落としてとぼとぼと歩く半裸のプレイヤーたちを見るに見かねて、服を届けに行ったらしい。


 鋼糸で作るとさすがにSPが枯渇してしまうので、素材は採取した綿だ。案外色んな繊維がこの森では採れる。天然ゴムとかも確かハイドは嬉々として採取していた。

「ハイドもほっときゃいいのに。お人好し・・・いや、お蜘蛛良しだな」


「ぷ。変な造語作らないでよ。ま、ハイドは見るに見かねてもあるけど、作りすぎた服をさっさと処分できるから喜んでるみたいだけどね」


 とにかく、職人系の職業は、職業に見合ったものを作らなければ職業レベルが上がらない。シヴァ然り、ハイド然り、だ。ブラッドは、一日どんなに短くても三時間は鏡の前でかっこいいポーズを研究している。

 その他には超音波等のスキルの練習だ。一応、ブラッドも目に見えないところで努力はしているのだ。

 でなくば、とっさに巨鬼に向かって、超音波を発することなど、できないだろう。

 話がずれた。

 つまり、何が言いたいかと言うと。

 職人系の職業は、職業レベルを上げていく中で生産される大量の品をどう処分するかも一つの問題になってくるのだ。


 だが、魔物組は基本的には自分達だけでは街に入れないことの方が多い。

 シヴァの方は薬なので、まぁ、他プレイヤーと直接交渉したりもできるが、ハイドの方はなかなかそうはいかない。


 余った服は処分していかないと、かさばってアイテム袋を圧迫してしまう。

 だが、普通の服を欲しがるプレイヤーはあまりいないし、鋼糸の服を広めるのも魔神ジャスティスから待ったが掛けられている状態だ。故に、服の処分は結構悩みになっていたりする。


「だから、幻惑魔法と消音を使って、天から降ってきたみたいにするって言ってたよ、ハイド」

「へぇ、なるほどな。よくわかった」

 ヤマトとブラッドは知らなかった。ハイドの作った服は、以前、三体で話をしていたときに出たロゴマーク、カラスの羽と、蝙蝠の羽が交差し、真ん中に糸巻きという図柄の刺繍が施されていることを。

 

 それにより、知らない間にブラッドが立ち上げる予定のブランドのロゴマークが広まっていくのだった。





次→ 21時

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