179話 イベントの参加者たち 12(※多数視点)
ヤマトは、他の大カラスたちを率いながら、上空から標的を探した。だが、先程の場所まで戻ってみても、標的である先程の巨鬼は見当たらない。
ヤマトは、探した。あんな魔物を放置などできない。あれは危険すぎるのだ。
必死に探していたヤマトは、不意におかしなことに気づいた。
ヤマトたちのほぼ真下に、魔物が近寄らないのだ。ヤマトは目を凝らした。そして、その一帯の中心が不自然に盛り上がっていることに目を留めた。
ついてきていた大カラスたちにさらに、高度を上げて待機を命じる。
まさか、と思いながら自らのほぼ最高速度で盛り上がりに近づくと、危機察知スキルが反応した。それと同時に再び上空へと飛び上がるヤマト。
そのすぐ下では、不自然な盛り上がりから先程の巨鬼の腕が突き出ていた。
「あそこだな。奴が潜んでるのは」
「間違いありません。あれです」
「獲物が来るまで、ああして待っているのか?」
観察を続けていると。
膨らみは移動し始めた。ヤマトたちは納得する。地中に潜みながら、ああやって獲物が近づくのを待ち構えて、獲物が現れなければ、移動を繰り返す。
「見失わないように、カラスたちを三羽ずつのチームにわけて、一時間毎に交代しながら見張ってくれ」
「わかりました。すぐにチーム分けをします」
(あんな奴に勝てるのか?)
ハイドを軽々と掴み上げた腕力といい、攻撃力も防御力も高い。何か弱点が見つかればいいのだが。ひとまず、ヤマトは一度情報を持ち帰ることにした。
くれぐれも見張りの大カラスたちに無茶はしないように伝えておく。
待機チームを引き連れて、一度アジトに戻るのだった。
次→7/22 19時




