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178話 イベントの参加者たち(※多数視点)

(・・・炎蓮を出すんじゃなかったわい。やれやれ、わしも耄碌してきたのかのぅ)

 つい、お金回収をしようと相手が気に入りそうな武器を出してきたのがそもそもの間違いだったかもしれない。

 とてつもない量の素材を前にして、これを全て鑑定するのか、と遠い目をしたくなる。


 今はお客がいないからまだ助かっているが、これがどどっとお客が入ってくる時間帯であれば、翌日に持ち越したに違いない。さっさと鑑定してしまおうと、鉄斎は気合いを入れ直す。


 とにかく、ささっと種類別に手早く分けて、鑑定を始めるが、ここでも驚くべきことがあった。

 素材の半分以上が、特殊(ユニーク)個体のものだったのだ。特殊個体の物は、通常の値段よりも高く取引される。何故なら、特殊個体の素材を使用すると、武器や防具に特殊な能力が付加されたり、数値が高くなったりするのだ。

 鉄斎は完全に相手を見誤ってしまっていたことを恥じると共に、これ以上のミスはするまいと気を引き締め直すのだった。


 半時間後。驚異的な集中力と経験とを総動員した鉄斎は、一仕事やり終えた者特有の満足感が表情に出ていた。


「全部で、368万1125ギルじゃな。ここから炎蓮の代金を差し引いて、残りは118万1125ギルじゃが。今なら、この辺りの魔物全種類の情報と生息域分布の地図の購入をするなら、十万ギルに、おまけアイテムも付けるが、どうするかの? おまけアイテムは、情報が重複するのが少し不憫だからじゃ」

「では、そちらもお願いします」

 チャップが迷わず即答する。

「ふむ。それでは、こちらが地図と情報じゃ。それと、おまけアイテムと、分布生息域の図はこっちじゃ」

 分厚い辞典のような物を渡されるが、チャップは普通に受け取った。


「まぁ、せいぜい死なんようにな。お主の様な存在は狙われやすいからの」


「気を付けます。いい武器を、紹介してくださり、ありがとうございました、ご老体」


 チャップが頭を下げると、鉄斎はしまったと思った。


「そういえば、名乗っておらんかったの。わしは鉄斎(てっさい)じゃ。また何か欲しいものがあれば立ち寄ってくれ。薬の買い取りならば、いくらでもするからの」


「名乗られて名乗り返さないのは礼儀に反しますね。私はチャップです。そうですね、またうちの薬師が薬を作りすぎたときは持ってきます」


「気をつけての。まぁ、あんまり心配はしておらんが」

 口許だけ笑みを返し、チャップは店を出ていった。

「やれやれ。今年の大祓いの豆まきは初日から波乱の予感じゃのう」

 まぁ、自分が楽しければそれでいい。

 鉄斎は、次の客が来るまではしばし休憩しようと、自身でお茶を沸かすのだった。


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