170話 イベントの参加者たち 3 (※多数視点)
「それで? カカシ、お前、何を知ってるんだ」
教えてもらった建物に入ると、すぐさまカカシは建物の隅に連れて行かれ、スレイに尋問された。周囲には、ミキ・ナラムやモッキー、ほりっくわーかー、さらにカルラもいた。
「あー、もう。わかったよ話すから」
降参の証にカカシは諸手を上げた。
「簡単に言えば、あの宿はぼったくりバーだよ。どうも、経営してる鬼がやり手かつ、えげつないらしくて。被害者多数」
「え!?」
「それ、ほんまかいな!? あ、だから最初、変な連中が寄って来たん?」
「多分ね。あれ、ぼったくりにあったプレイヤーだと思う。できれば、近寄らず関わらずがいいと思うよ。多分、ろくな目に合わないだろうから。と、いうか女将のNPCに挑んだ奴ら、高レベルプレイヤーも含めて全員返り討ちにあってるから」
嘆息しながら、女将のすごさと怖さを語るカカに、カルラが手を上げて訊ねた。
「でもさ、それなら、野宿とかってことなのかしら? 野宿とか、大変だと思うのだけど・・・」
「あ、それについては・・・」
「何かお困りかのう?」
唐突に場に入ったのは、にこにこと朗らかな笑みを浮かべた鬼の翁だった。
全員が一様にビクッとするが、翁はカラカラとその反応に笑った。
「さっきから、カウンターに全く、来てくれんから、声を掛けようかどうしようか、迷ったんじゃが」
「あ、いえ。こちらこそすいません。気を遣わせたみたいで・・・」
「なぁーに。構いはせんさ。お前さんら、宿屋を探しておるのかのぅ? 情報料をくれるならば、寝泊まりしやすい場所を教えてやっても良いが」
その話に、全員が飛び付く。
満場一致で翁にお金を支払うと、きちんと教えてくれた。ついでに、ぼったくり宿屋が何故あるかも。
「あそこの女将は、この村の村長の妻でな。この村には今女子ども、老人しかおらんから、それを逆手にとって、自分たちの力を見せつけるために、あのような宿屋を始めたんじゃよ。治安が悪くなれば対処が大変じゃからの。あえて、嫌われるよう仕向けとるんじゃ。子どもに乱暴するものも、過去にはおったでな」
「そうですか。貴重な情報、ありがとうございます」
「いやいや。それで、この辺りの地図はいらんかね? 情報量に寄って値段が違うんじゃが」
・・・・・・・・この村の鬼人たちは、なかなか商魂がたくましいようである。




