159話 大いなる野望? 3 (※多数視点)
ヤマトのレベルは既に二十を越えているので、職業に就くのはまったく問題がない。
問題は、別のところにあった。
ヤマトが早速、職業に就きたいと言い出したので、三体でフェルマの街まで行くと。門前払いされてしまったのだ。三体は唖然とした。自分たちが魔物なために、主と一緒でなければ街に入れないなど、初めて聞いたからだ。空から行こうにも、残念ながら結界が張ってあるらしく、どうやっても街の中に入れない。
仕方なしに戻ってきた三体だったが、ヤマトの落ち込みはかなりのものだった。気持ちはわかる。せっかく職業に就こうと息巻いていたのに。ふたを開けてみれば、職業に就くどころか、街に入れさえしなかったのだ。運悪く、今日は魔神ジャスティスも指導には遅れて来るという。踏んだり蹴ったりとはまさにこの事だろう。
三体がため息をつく中、響いたのは高すぎず、低すぎない声音。
「どうしたの、みんな。ため息なんてついちゃって」
三体が振り向くと、そこには予想通りの主の姿があった。
一応、言っとく。三体とも危機察知や気配察知スキルはきちんと持っているのだ。それなのに、それが反応しなかった。主の実力の一端を垣間見た気がした。
「俺たち、フェルマの街に行ったんだけど、門前払いされて・・・」
「あのね、僕たちヤマトを職業に就かせてあげたかったの。それで、街まで行ったんだよ!」
「・・・でも街に入れなくて。それで、戻ってきた」
三体の話を真剣に聞いていた主は、にっこりと笑った。
「なんだ、それなら僕に言ってくれれば良かったのに! 僕も一緒に行けばいいんでしょ? どうせ今日はじいちゃんも遅れるんだし。シヴァー、チャップー!街に行くけど、付いてくるー?」
魔神ジャスティスの授業がない中で、主の誘いを断るなんて魔物はいやしなかった。
ハイドの背に主とシヴァとチャップが乗り、主の肩にはヤマトとブラッドが留まっている。
一見すると、魔物が街に攻めて来たようにも見えたのだろう。慌てて、出てきた街の守備隊に、主は説明をして、魔物軍団は街に入った。
街の中に入ると、大通りを進んでいたので、ぎょっとした人々が、悲鳴を上げながらあちこちへと駆け回る様が眼下に広がった。ただし、主は風魔法で声を拡散したために、騒ぎにはなったものの、混乱は起きなかった。さすがは主だと、自分たちの主のすごさに魔物たちは改めて嬉しくなった。
そうこうしてるうちに、街の中でも目立つ大きな建物、冒険者ギルドに到着した。ハイドたちはここで待機しているように頼まれたので、主とヤマトとだけが中に入ろうとしたのだが。シヴァがついていきたがった。
理由は、いい薬の素材がないか見たかったのと、自作の薬の売却をしたいとのことだった。それなら、自分たちも行きたい!と、全員が言い出したので、主は苦笑しながらハイドに小さくなる魔法を掛けて、全員で冒険者ギルドの中に入った。
様々な視線があちこちから飛んでくる。大半の視線は警戒と興味だ。
主は、子どもの姿なので、さらに奇異なものを見る目付きで視線を投げてくる者もいた。
ただし、その視線も主が魔法を使うまで。
ぱちん、と主が指を鳴らしたかと思うと、視線は三々五々に散っていった。
「お見事です、師匠。幻惑魔法と光魔法の同時行使はこういう使い方もできるのですね!」
主は、魔神ジャスティスにはまだ敵わぬものの、相当の魔法の使い手だ。
素直にその強さに感服する。
ヤマトはそのまま、主と一緒にジョブ水晶のある部屋まで行き、シヴァは薬の売却、ハイドは鋼糸の売却、ブラッドは自身のはえかわった牙の売却でそれなりのお金を手にした。
それぞれの用事が済むと、主はせっかく街まで来たのだからと、行きたいところがないか、全員に訊ねて、それぞれの行きたい場所に連れて行ってくれたのだが。大半はもう店が閉まっていた。そのため、主は、今度また魔物たちを街に連れて行ってくれると、約束してくれた。
その約束に、魔物たちは当然喜び、後に控えてる課題も頑張ってこなそうと、やる気を出すのだった。
名前 :ブラッド(吸血蝙蝠)
メインジョブ:モデル(Lv31) サブジョブ:暗殺者(Lv23)
LV :41
HP :2035
SP :3216(+100)
力 :204 + 10
敏捷 :635 + 20
体力 :182 + 10
知力 :441 + 20
魔力 :363 + 50
器用 :257
運 :1000
親密度:100
かっこよさ:236 + 30
スキル 超音波Lv22 生命力吸収Lv18 かっこいいポーズLv 30 忍び足Lv17 気配察知Lv 27 危機察知Lv20 暗視Lv 12 飛行Lv 33 毒攻撃Lv9
装備 暴風の指輪 さざ波の指輪 火鼠のスカーフ 魔石(特上級)のネックレス
称号 蝙蝠王の血筋 魔神の加護 テルアの仲間
名前 :ハイド(黒岩大蜘蛛)
メインジョブ:服飾師(Lv26)
サブジョブ:盾師(Lv18)
LV :49
HP :4259
SP :1421
力 :505 + 160
敏捷 :368
体力 :813 + 120
知力 :197
魔力 :337
器用 :608
運 :1000
親密度:100
スキル 幻惑魔法Lv21 鋼糸Lv 34 毒攻撃Lv 23 毒耐性Lv 15 挑発Lv 22 縫製Lv 29 隠密Lv20 消音Lv11 気配察知Lv17 危機察知Lv19
装備 巨人マクアのつけ爪セット 魔弓×2 称号 ユニーク個体 大蜘蛛 魔神の加護 テルアの仲間
名前 :ヤマト(ヤタガラス)
メインジョブ:錬金術師(Lv1)
サブジョブ:彫金師(Lv1)
LV :28
HP :1515
SP :1836
力 :319
敏捷 :403
体力 :481
知力 :311
魔力 :386
器用 :509
運 :1500
親密度:100
スキル 武器変身Lv 3 火魔法Lv11 光魔法Lv13 気配察知Lv12 危機察知Lv 17 絶対攻撃Lv10 羽矢Lv6 精神防御Lv9 錬金術Lv1 彫金Lv1
称号 ヤタガラス テルアの仲間 幸運なる魔物 導きの使者 太陽神の加護
装備 なし
次→7/6 19時




