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132話 神を鎮めるために 18

「あの! 頼みがあるんだ・・・ありますんだな、水の大精霊様! 泉の水を、もらっていきたいんですだな!」

 ネギボウさん、言葉遣いが変だよ。まぁ、いつも語尾にだなをつけてるから、仕方ないのかもしれない。

「あら、泉の水を持ち帰りたいの? いいわよ。わたくしが守護してる泉の水だもの。持って帰れば、薬の材料にもなるしね」

「ありがとうございますなんだな!」

「え、薬の材料にもなるんですか?」

 僕は思わず聞き返していた。シヴァが三つ目をきらきらさせている。


「そうよ。精霊の祝福を受けた水は、それ自体が薬と同等の効果を持つの。この水を使ったら、薬の効果を何倍にも高めてくれるわ」

「あの! 僕も泉の水を頂いても構いませんか!?」

 それは、シヴァが喉から手を出しそうなほどに欲しがりそうな水だ。是非とも確保しておきたい。

「もちろん、いいわよ」

 アクアディーネ様は快く了承してくれた。


「あ、それなら、テルアにはこれをあげるんだな」

 ネギボウさんが、ガラスの水差しを僕に渡してくれた。

「ネギボウさん、これ何?」

「それには、たくさん水が入るんだな! 魔法道具(マジックアイテム)の一つなんだな。それで水を汲むといいんだな!」

 どう見ても、ガラスの水差しにしか見えないんだけど。ま、いいか。

 僕が、水差しを泉につけてみると。

 どんどんどんどん、水差しが重くなっていく。

 手放しそうになったので、慌てて鋼糸を巻き付けて、パワーアップも唱えとく。ってか、僕の力でも支えきれない水差しの重さって異常なんじゃ!?


「あら、まぁ。すごいわね。泉の水の二十分の一は入ったんじゃない?」

「忘れてたんだな。その水差し、持ち主の魔力容量に応じて、入れられる量が変わるんだな」

 言い忘れないでよ、そういう大事なことは!

 ぐっと持ち上げようと頑張るけど、本気で重いぃいい!

 あ、そうだ。魔法を使えばいいんじゃ?


 僕は、水魔法で水差しがぷっかり浮かばないか試してみた。

 浮かんだよ! さっきの僕の努力は何!?

 まぁ、水差しを確保できたんだから、いいとしよう。

 僕は、それをシヴァに水差しごとあげた。

 シヴァは狂喜乱舞していた。他の魔物たちはいいなぁとシヴァを見ている・・・あれ? 待った。ヤマトがいない。


「かぁ!」

 僕の頭の上に何かが落ちてきた。って、これヤマトが頭の上に乗ってるような・・・。

「かぁ!」

 ヤマトが頭の上に何かを置くと、いつものように僕の肩へと留まる。

 僕は、頭の上に置かれたものを、手で取った。

 それは、石だった。綺麗な月色と白色が混ざった、魔力を帯びた石。

「あら。よく見つけたわね。百合月の石じゃない、それ」

 アクアディーネ様の言葉にぎょっとする僕。

 元々の僕の目的は、この百合月の石だ。

「まさか、ヤマト。ずっと探してくれてたの?」

「かぁ、かぁ、かぁ!(感謝しろよ、まったく)」

「ありがとう、ヤマト! 本気で助かったよ!」

 感無量で、僕はぎゅっとヤマトを抱きしめた。ヤマトは少し照れくさそうにしてる。

「ひとまず、これで本来の目的を果たせたんだな。そろそろ、入口に戻るんだな!」

「そうだね。明日の夜には、ダークエルフたちの村へ行かないと・・・」

 そう、まだ終わってない。早くじいちゃんと合流しないと。

 それで、ナーガを助け出すんだ。


 僕らはアクアディーネ様に別れの挨拶をして、ネギボウさんの持ってきた道具で、ナガバの森の入り口へと飛んだ。 

 残念ながら、アリさんとはここでお別れをする。

「それじゃ、フェルマの街まで飛ぶ・・・」

「その必要はない」

 ネギボウさんの言葉を誰かが遮った。

 ネギボウさんがびくりと体を震わせる。

 どうして、彼がここに?

 僕らの前に佇む一人の神。しかし、戦闘体勢にいつ入ってもおかしくないほどの物騒な雰囲気を漂わせている。


「しばらく、俺に付き合ってもらうぜ、テルア」

 武神クレストが、にぃっと好戦的な笑みを浮かべていた。


次→6/20 19時

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