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128話 神を鎮めるために 14

 祈り終えた僕は、閉じていた目を開こうとして、くらり、と目眩がした。

 急いで自分のステータスを確認すると、SPが1%程になってた。

 慌てて、はい・えすぴーぽーちょんをアイテム袋から出して飲むと、すぐに目眩が収まる。

 と、いうより。


 あれ? ここ、さっきまでと同じ場所・・・だよね?


 僕が懐疑的になったのも無理はないと思う。

 小さな光が周囲を乱舞しているが、それはよく見ると小さな小さな精霊のようだった。その小さな精霊たちは、笑顔を浮かべながら、切り株から生えてきている枝に嬉しそうに頬擦りしたり、遊んだりしている。

 小さな精霊の楽園と言われたら信じてしまいそうな光景だ。

 さっきまでは精霊もいなかったし、この場はとても寂しい場所だったのに、今は全然そう見えない。


 巨木の切り株は、活力を取り戻したように若枝を天に伸ばそうとしているし、何より、ここが聖域だと信じられるくらいに空気が綺麗で澄んでいた。


「ありがとう。こんな光景を、また目にすることができるなんて、思いもしなかった。まだまだかつての聖域には及ばないが十分だ」

「シル様?」

「本当に、心から感謝する。赤き髪の少年」

「えっと、僕はただ、祈っただけでたいしたことはしてないんですが・・・」


 本当に、祈っただけだ。この光景は素直に素敵だなと思えるが、自分が何かしたと言われてもよくわからない。

 祈ってる最中、なんだか魔法使ってるみたいにSPが減ってくな〜とは感じたけども。


「その祈りが、きっとみんなに届いたんだ。だから、聖域は復活した。あぁ、本当によい日だ。私はこの事を翁に知らせて来よう。おっと、その前にしなければならないことがあったな。テルア・カイシ・クレストに我が祝福を与えん」

 さわり、と気持ちのよい風が僕を取り巻いた。


 称号・風の大精霊の祝福を手に入れた!

 風魔法のLvが上がった!


 うぉう。称号がまた増えたみたいだ。このまま増え続けると、軽く五十個くらいになりそうだね。まぁ、何か便利な機能が付いてたらいいんだけど。


「ありがとうございます、シル様! それでは、まだ探し物が残ってますから、そろそろ行きますね」

「あぁ。翁の聖域はさすがに禁足地だが、ここの切り株の地までなら、君が自由に入れるようにした。また、いつでも遊びに来てくれ」

「はい。あのすみません。それと、百合月の花が咲いてる場所をご存じですか?」

 シル様は、それならば、とここから近い泉の場所を教えてくれた。何でも、ものすごく綺麗な泉で、僅かに魔力も含んでるとか。その泉の近くならば百合月の花を採取できるだろうと言うことだった。

 シル様に辞去の挨拶をし、僕らは泉に向かった。

 もう、夜の10時前だ。百合月の石が早く見つかるといいんだけど。



 アリさんとヤマトに案内されて辿り着いた泉は僕のそんな期待を見事に裏切ってくれた。


「か、涸れてる?」

 そこには泉などなく、干からびた植物の群生があるだけだった。


次→ 6/18 19時

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