124話 神を鎮めるために 10
僕が動くよりも先に、小鬼とヤマトが動いた。
ヤマトはばさりと翼を広げて飛び立つと、一直線に岩のゴーレムに突っ込んだ。そのまま、岩のゴーレムを貫通し・・・大ダメージを与える。
ヤマトの攻撃! ロックゴーレムの急所を直撃! ロックゴーレムを倒した!
小鬼の即死の呪い(最強)が発動! ロックゴーレムはHPがなくなった! ロックゴーレムを倒した!
僕が出る間もなく、岩のゴーレムたちは瞬殺されてしまった。
この二体、こわ! まったく容赦ってものがなかったよ!?
僕がうわぁ、と思っていると二体がちらりと僕の方へと流し目を送るんだけど。相手が同じく流し目を送るのは気に入らないらしく、ケンカになる。
「かぁ、かぁ、かあ!(おい、俺のマスターだぞ! 何意味ありげに視線を送ってんだ!?)」
「ギィ! ギギィッ!(はあ!? ほめてもらうのに、マスターかどうかなんて関係ないだろ!)」
あ、うん。副音声でケンカしてんのはすぐにわかった。この二体、どうやら、とことん相性が悪いらしい。
僕は二体の頭の上にぽん、と手を置き、二体をほめた。
「すごいね、ロックゴーレムを瞬殺しちゃうなんて! こんなに強いなんて思わなかったよ。ありがとね、助かった!」
あえて別々ではなく、両方まとめてほめておく。こうしておかないと、厄介なことになる気がしたからだ。
「かぁ!(まぁ、いい)」
「ギィ!(そうだな。少なくとも目的は達した)」
ふん、とそっぽを向きながら二体はケンカをやめた。今度、ネギボウさんと行動するときは気をつけよう。
「すごいんだな。ここに来るまで、ずっとケンカしっぱなしだったんだな。あっという間にケンカを止めるとは思わなかったんだな」
ネギボウさんが感心すると、僕はネギボウさんに耳打ちした。
「止めるには、コツがあるんだ。二体ともまとめてほめとくと、案外おとなしいよ」
「勉強になるんだな」
ひとまず、二体の扱い方の心得については置いておいて。
ロックゴーレムを倒したからか、僕らの前には岩でできた門が出現していた。大きい。
スケルトンからもらった鍵を試すと、門が開いた。
「とりあえず、先に進むか、それともみんなとの合流を優先させるか、か」
なかなか悩ましいところだなぁ、と考えてしまう僕に、ヤマトが任せろ!とでも言いたげに鳴いた。
「かぁ、かかぁ!(全員見つけ出して、連れてくる)!」
僕の返事も聞かずに飛び去っていくヤマト。どうやら、相当自信ありげだ。それなら、ここでみんなを待ってようかな。
僕は簡単な魔法の練習を始めた。
次→6/16 19時 ちょっと安定しないので、更新は明日にさせてもらいます。
(´・ω・`)




