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12話 戦闘

 ブクマ、ありがとうございます!(  ̄▽ ̄)

 ブラッドの超音波の攻撃で動きが鈍ってる今を逃して攻撃のチャンスはない。

 僕は一番僕から近いトレントを標的に定めて飛び出した。

 敏捷は高くなくても、危機察知と気配察知スキルが高いおかげで、僕は攻撃を避けつつ距離を詰めた。

 もらった!

「ファイヤーボール!」

 火魔法を、トレントに向けて放つ。

 少しでも怯んでくれたらいいのだ。そしてその隙をついて、僕は相手の弱点である急所、幹に開いていた小さな穴にナイフを突き立てた。

 

 テルアの攻撃! トレントに2のダメージ!


 くそっ!全然ダメージを与えられない!

 トレントが、怒りで枝を振り回すので、短剣をその場に残して、避ける、避ける、避ける。



 現実世界だと、ここまで避けることはできないんだけど。

 ゼルガさんにボコられた経験が実戦できちんと役に立ってるね! 今はありがたいということにしておく。

 でも、ここのトレントは強すぎて、僕じゃ正直相手にならない。



 絶対後でじいちゃんに文句言う!

 あ、ヤバイ。

 僕は一瞬の油断で、トレントの枝に足を捕まれた。

 そのまま、地面に叩きつけられる。


「っ!!」

 視界が赤一色に染まる。視界の端で、こちらにやってこようとするブラッドとシヴァの姿がちらりと横切ったが、それよりも視界を埋める、大きなトレントの枝が僕に降り下ろされるのがわかった。

 ここで、終わりなのか。

 まだ、始めたばかりなのに。

 無念さと悔しさに歯噛みした。

 その時。


 周囲に闇が訪れた。


 何が起きたのか、僕にもよくわからなかった。気づけば僕のすぐ側に大きな毛むくじゃらの物体が横にあった。

 トレントたちの様子がおかしい。

 まるで、驚きのあまり動きを止めてしまったような・・・。



 僕がぼんやりその毛むくじゃらの物体の先を辿っていった。

 僕を守るかのように、僕とトレントの間にいるのは、赤い目玉をギラギラと光らせている、大蜘蛛だった。

 何が起きたのか、全然わからない。



 でも、僕はこれがチャンスと思って、アイテム袋からはい・ぽーちょんを取り出して飲み干した。僕のHPが回復する。



 大蜘蛛は、トレントを威嚇しようとしているのか、ぎちぎちと顎を鳴らしている。本当に、どうなってるんだか。

 僕が困惑気味にトレントと大蜘蛛を交互に見遣っていると、僕の近くに魔方陣が浮かび上がり、そこから見知った人物が現れた。



「無事じゃったか、テルア!」

「じいちゃん!」

 僕はよく知る声を聞いて、これはじいちゃんの仕業だと確信し、どっと力が抜けた。

「すまん! 主神が強制的に儂を自分のもとに呼び出しおったから、別々になってしまったんじゃ! あやつめ!」

 プリプリ怒りながら、じいちゃんはトレントたちを睥睨(へいげい)した。

「立ち去れ。今なら見逃してやる」

 声も、眼光も鋭く、本気で言っているのだと、僕にさえわかった。


 トレントたちが慌てて散っていく。

「あ、短剣!」

 短剣が刺さったままのトレントの姿が、小さくなっていく。

 もう追い付けないかと諦めかけた時。

 黒岩大蜘蛛がトレントに向かって跳ねた。

 大きな黒岩大蜘蛛の体が、宙を舞う。

 ええーっ!? なに、あの跳躍力(ジャンプ力)

 さらには口から糸を吐き出してトレントをぐるぐる巻きにしたかと思うと、大きな足がトレントの体を穿つ。何度もトレントの体に足を降り下ろせば、トレントは動かなくなった。

 僕はおそるおそるトレントに近づき、短剣を抜いた。武器が戻ってきたことに、ほっとする。

「ありがとう、助けてくれて」

 僕が黒岩大蜘蛛にお礼を言うと、黒岩大蜘蛛はぎちぎちと顎を鳴らした。嬉しがってるように思え、僕は苦笑した。


 トレントたちは魔神に恐れをなし逃げ去った!

 黒岩大蜘蛛は魔神の威圧に耐えている!


 黒岩大蜘蛛は、じいちゃんの威圧に怯むことなく、この場に残っている。

 あれ? 立ち去らないの、この大蜘蛛?


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