118話 神を鎮めるために 4
一瞬の内に、風景が切り替わった。それはまぁ、いいんだけども。
僕は真っ暗な森を見て、失敗したと思った。
まず、森の入り口に魔物が潜んでいるのがわかった。
解析を使ってみると、全部で十五頭いるようだ。
ステータスは以下の通り。
名前 森林狼
メインジョブ:なし サブジョブ:なし
LV :9
HP :235
SP :87
力 :25
敏捷 :60
体力 :31
知力 :22
魔力 :27
器用 :34
運 :5
スキル 噛みつきLv 3 気配察知Lv3 急所察知Lv 1 暗視Lv3
狼。すなわち。
「もふもふだー!」
思わず僕が叫ぶと、僕の声を聞いた森林狼の群れは、一様にビクッとして、尻尾を巻いて逃走した。
もふもふを逃がしてたまるか!
と、追いかけようと思ったんだけど。
「待ってほしいんだな! 僕の事を忘れてるんだな!」
あ、ネギボウさんいたっけ、そういえば。危ない、危ない。思わずもふもふとの追いかけっこを始めそうになっちゃってたよ。
「なんだか、ものすごく不安が増したんだな。ここは、きっと彼の出番なんだな!」
ネギボウさんがごそごそとしながら取り出したのは、いつもの小鬼の像。
「かぁ、かぁ、かぁ!」
テルアは鈍足の呪い(最強)を受けそうになった。
ヤタガラスが呪いを防いだ!
「あれ? 防がれたんだな」
「君、僕を見ると呪いを掛けること多くない?」
つんつん、と小鬼の像をつつくと、真似してヤタガラスも小鬼の像をつつこうと・・・って、逃げた!? 小鬼の像が憎々しげにヤタガラスを睨んでる!
あれ? いつのまにか雛から成鳥になってる?
ヤタガラスが成鳥になった!
名づけができるようになった!
ログの報告、遅! でも、ここには名づけできても、加護を行ってくれるじいちゃんはいないんだよね。
どうしよう?
「へ〜。相変わらずおもしろいことになってるなぁ。オイラ、感心しちゃうよ」
「!? え、なんで!?」
聞き覚えのある声に僕が慌てて振り返ると、そこには赤髪の太陽神であるロードがいた。
「ん? オイラがここにいる理由? オイラの眷属と仲のいいしミルカスレーグイに頼まれたんだ。そろそろヤタガラスが成鳥になるだろうから、名づけをした後、加護をしてほしいって。ヤタガラスは案内役には最適だし、自分の代わりにテルアを守ってほしいって言ってたな。ナガバの森の入り口近くから中層までならともかく、人がほとんど足を踏み入れない奥まで行くなら案内役はいた方が迷わないし。ヤタガラスは人を導く力は一級品だから」
うわー。なかなかの説明っぷり。こういうのを聞くと、少年姿でも神さまなんだなぁって納得する。
「ま、オイラが手を出せるのは森に入るまでだから、うまく捕まえられて良かった。で、ヤタガラスの名前なんにするんだ?」
「ずいぶんいきなりな話で正直どうしていいか・・・」
単純な名前の方がいいだろうか? それとも、シヴァたちみたいにちょっと意味を持たせた方がいいか。
あ、あれ? ヤタガラスの視線が僕に注がれてる。これは、下手な名前付けられないんじゃ?
うーん、うーんと唸り、僕はこっそりと外部でヤタガラスの情報も仕入れてようやく名前を付ける。
ヤタガラスの名前はヤマト。
神話からとった。
ちなみに、ヤマトのステータスはこんな感じだった。
名前 :ヤマト(ヤタガラス)
メインジョブ:なし サブジョブ:なし
LV :1
HP :150
SP :180
力 :40
敏捷 :50
体力 :40
知力 :35
魔力 :40
器用 :50
運 :1500
親密度:100
スキル 武器変身Lv 1 火魔法Lv1 光魔法Lv1 気配察知Lv1 危機察知Lv 1 絶対攻撃Lv1 精神防御Lv1
称号 ヤタガラス 幸運なる魔物 導きの使者 太陽神の加護
装備 なし
幸運が僕より高いんだけど!? それに武器変身スキルって、何?
森に入る前から、問題が山積みな気がして、僕は嘆息するのだった。
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