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106話 フェイマの街 15

 今日はもうクエスト受けるの無理そうだなーと、僕は半分考えていたんだけども。それならそれで時間の使い方はいくらでもあるってことで、スキル大全集でも、読もうかなと思ったんだけども。


「なぁ、テルア! そういや今気づいたんだけど、テルアって弓使えなかったよな!?」

「え、あ、うん。基本的に剣術と武器術だけだね。他も一応覚えてるけど」

 クレストのおじさんとじいちゃんの指導のおかげで、僕かなりのスキル持ちなんだよね。使ってないスキルも多いけど。

「じゃあ、弓の扱い方教えてやるよ! 俺、弓得意だし。冒険者ギルドだから、下で訓練できるしな! ・・・・・・これ以上新しいスキルは覚えさせん」

 後半は小さくて聞き取れなかったけど、別に僕に否やはなかった。だけど、グースが異議を唱えた。

「ちょっと待て! それよりもテルアは符術覚えて間もないんだから、そっちの使い方を覚えんのが先だろ?」

「あぁ?」

 ナーガとグースが睨み合う。

「覚えたスキルは、使用感とか色々あるだろ。そっちを何とかするのが先じゃないか?」

「そんなの、別に今じゃなくても大丈夫だろ。そもそもテルアは別に精霊に頼らなくてもいいくらいに強いんだから」

「それなら、別に弓が先じゃなく、符術が先でも構わないはずだが?」

「信用できないやつにテルアの指導頼むとか、あり得ないだろ」

 空気がどんどん険悪になっていく。それと同時に、高まっていく緊張感と殺気。


「私の弟に喧嘩を売る気ですか?」


 当然、ファミリアはグースの味方をするが、ナーガは怯まず、逆に鼻で笑う。


「へぇ〜。頼りになる姉がいなきゃ、何もできない腰抜けだったのか。ますます、テルアへの指導なんて認められねぇな」

「姉貴は黙ってろ。そうか、そんなに俺の力が信用できないなら、試してみるか、あぁ?」

「結果がわかりきった戦いなんてしたいのか? 物好きなんだな」

「へぇ、自分が負けることがわかってんだな、ダークエルフ」


 二人は同時に黙りこみ、視線で相手を切り刻めるくらいまでに凶悪な表情で佇む。レーラは僕のところに来ると、二人を止めてほしいと耳打ちしてきた。いや、でもこれ、多分僕が出るとかなりこじれるよ。

 僕も困ったな、と思いながらふといい考えが思い浮かんだ。

 そうだよ、なんで気づかなかったんだろ。これを利用すればいいんだ。

「まって、二人とも。二人の気持ちはよくわかった。だけど、こんなところでケンカすると、他の人にもすごい迷惑がかかる。だから、僕が勝負方法を決めてもいい?」

 僕なら、そもそもこの件の当事者だし、二人とも公平に審判できる。

 それに、二人は納得した。

 なので、僕は勝負方法を二人に伝えた。その勝負方法とは。


「もふもふの魔物を見つけてくること! それが勝負の条件だよ!ちなみにもふもふ度合いで、勝負は決まるから!」


 結構公平な条件だと思ったんだけど・・・あれ?ナーガが頭を抱えてる。

 グースは生ぬるい視線を送り、ファミリアは唖然とし、レーラは自分のぬいぐるみをぎゅっと抱きしめ僕から距離を取った。みんな、どうしたの?

 もふもふの魔物、か。いいだろう、その勝負乗った!ってならないの?


「条件があほらしすぎて、やる気削がれた」

「あ、同意」

 えぇー!?なんでそこで、喧嘩してた二人が揃ってあきれた表情するの!? 僕が悪いの、これ!?


「だ、だって・・・もふもふ天国(ハーレム)築きたいんだもん。もふもふの魔物に抱きついたり、なでなでしたりしたいんだもん」

 しょぼんと項垂れる。本当にもふもふの癒しが欲しいんだもん。何が悪いの?

「それなら、代案あるぞ。姉貴、ちょっと」

 グースがファミリアさんを手招きすると、ファミリアさんは喜んでグースの側に寄った。

「姉貴の尻尾をなでなでしたらいいだろ」

 グースは黒い笑みを浮かべていた。


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