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4 国王の執務室 王女登場〈2〉

 このお話は自分が登場人物のことが大好きで書いているモノで、他人様に読んで頂けるものではないですが、長年自分だけで楽しんできた物語を作ることができる場所ができて、今、本当に幸せだなあと思っています。

 これで文章力があれば…残念!

 美しい王女。イルナエカリテ王国第一王女・ディアナ・エリカ=エカリテ。

 容姿や所作は当然ながら、その振舞いには王族である己の存在価値や存在理由を完全に理解した者の覚悟が窺える。


 ただ美しいというだけでは、その生まれ血筋を誇るだけでは王族の義務は果たせない。

 彼女の多くの知識を得、それらを深く理解する頭脳と活用できるだけの力量。人心を魅了し従えさせる能力。それらは王女(・・)という一王族の範疇を超越しているものだった。

『完璧な王女』

 国の内外ではそう呼ばれていた。


 と、内情を知らない国民や他国の王族関係者等々はその評価をそのまま受け入れている。

 国民は王女を我が国の王女は大陸一の王女だと讃え、他国では自国の王女に手本として見習うようにと奨励までしているのだ。


 一方内情を知るこの部屋にいる王国首脳とも云える面々は、王女の視線の強さ個々其々にお鉢を突き返そうと視線を合わせられないでいた。


「パーバル。お前が言いたいことについてはこの部屋にいる者全てが知っているようだから、お前からは聞かないでおきます」

 くるりと皆を見回した王女はそう下す。

「頭がとっ散らかった今のお前から聴くのは頭が痛くなる」

 物静かに語りかけているのに高らかに宣言されているように聞こえるのは何故だろう。

 きいきいと抗議の声を上げる少年(パーバル)を皆がいないものと扱う中、近衛衛士の長(アルベルト)は思う。


 先述の通り、王女は完璧な方だ。その点では愛国心の強さも合いまり誇りに思う。

 だが、瑕疵など一つも見当たらない王女はたった一つの難点があった。

 王女本人は至って気にしない、周囲が気にしている問題。それは王女が『強すぎる』という点だった。

 

 外見は『完璧な王女』である彼女の内面は『最強の為政者』であった。

 性格は苛烈と言っていい程の現実主義。しかし他人に対しては譲歩・許容できる懐の深さもある。

 人物の鑑定眼は能く、人を動かすことも巧みだ。

 問題があれば叱責よりも早期解決に重きを置き、失敗を自力で解決できるようならば不問とした。

 逆に隠そうとすればその人物は放逐とされた。文字通り首を刎ねることすら『面倒』だそうな。


 肉体面でも王女は異能とも云える天性の才を見せた。

 女性であるからは男よりも膂力は落ちるが、技術に関してはお追従すら出てこない、王国一と言っても過言ではなかった。

 体術然り、剣術もまた然り。特に弓術は並ぶものは大陸には存在しなかった。文字通り『強い』王女だ。


 アルベルトが畏れているのは、そんな『強い』王女の瞳。強い目力ともいうべき視線に、幼き頃より王女と過ごし経験した『アンナコト』や『コンナコト』を思い出すと、情けなくとも構わないと言い切れるほど逃げ出したくなる。

 文字通り、畏怖の対象である王女には近寄りたくなくて国王の近衛衛士になるため血の滲む様な努力をしたというのに。


 それなのに、

「アルベルト、彼方から聴きましょう」

 何故なんだと心から思う。

 声高(ヒステリック)になるでもなく冷静な王女の詰問に、胃がキュウとなることを自覚する。ふるふると首を振り、王女の背後に佇んでいた筆頭宰相に目線と言う名の救助要請をする。

 軟弱者の誹りも甘んじて受けよう、寧ろそう詰ってくれ!

 アルベルトの視線を受け取った筆頭宰相は、やれやれと言いたげに呟いた。


 「もう少し片付けて頂きたい書類があったのですが、仕方ありませんねえ」

 



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