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 街は炎に包まれた。

 一体誰がやったのかと言えば、俺がやった。反省は全くしてない

 だってこの場所はウツシヨの影であって、いくら壊してもそのうち再生するから問題ないって聞いたらさ。

 やるしか無いだろ!

 そういうわけで、ゲーム脳ギュンギュンで街を好き勝手に破壊しました。

 もちろんただ破壊している訳ではない。化神操作の練習も兼ねている。練習のためだから街の一つや二つ抹消するのもしょうがないね。

 自分が幽霊であり、魂だけであると言われても体感的には肉体があるときと何も変わらない。

 つまりゲームと違って感覚としては現実世界と一緒! 二次元なんて要らなかった!


「そういう感じでやればおっけー! もう私から教えるような事は無いね。免許皆伝おめでとう」


 幸はゆっくりと拍手する。音は出ないので自分でぱちぱちぱちと発音している。


「にしても随分地味だね」

「えっ?」


 家は残骸になっっていて、元の形が全然解らない。家どころか、アスファルトで出来た道路もところどころ凹凸が出来ており、シャウトの凄まじさが見える。

 宇宙人が侵略してきたような状態なのに、じみ?

「私、これの半分ぐらいの時間で倍ぐらいの規模破壊したよ。練習のために、で、大体更地にしてた」

「……」

 幸を怒らせるのはやめようとカミちゃん以外の神に誓った。


 シャウトは近距離の肉弾戦に特化している。ツリー表で確認できるもので、筋力強化や、反射神経強化、周辺視野強化などなど、完全に殴りあう事前提だ。

 俺より圧倒的にぶち壊していたらしい幸のイノセントブルーは調べたり複製したりなどのあくまで補助的な能力だ


 何でこんなに差が出るの?


「あ、でも私の場合は精神石の練習も兼ねてやってたからその差かな?」

 精神石をコンピューターと例えていたが、こんな世界に干渉しまくりなコンピューターがあってたまるか、さしずめコンピューターの世界を現実にまで持ってくる道具って認識のほうがまだ近いのかもしれない。

 にしても、カミちゃんの屋敷に出てから体感30分も経過していないのに化神でできることは大体やったってことなのか?


「化神は、魔法を簡単に使うためにできた方法だからね。その代わりに細かい範囲指定はできないし、使う魔法も魂によってかなり範囲が限定的になってる」

「攻撃ってわざわざ言わなきゃダメか?」


 さっきまでは興奮も相まって派手に叫んでいたけど、さすがに街中で叫ぶのは恥ずかしいと思うぐらいの良識はある


「言った方がイメージしやすいだけ」

「あと、使い方がわからない能力があるんだけど」

 身体能力の強化がシャウトの能力の大半を占めている中で、1つだけ浮いている能力がある。

 チューリング完全。

 内容は完全な演算とだけ書かれている。

 数学が苦手な俺としては生前の内に覚えておきたかった能力だけど、死んでしまった後にわざわざこの能力を使って計算するタイミングがあるかどうかが疑わしい。

 計算能力の強化といえば、それまでな話ではあるけれど、まずどうやってイメージをすればいいのかがわからない。計算を実際に行えばいいのだろうか?


「そういう能力ってけっこうあるよ。他の能力を使う時に同時に行う能力だったり、まだ自分が扱えてない能力とセットで使う能力だったり。魂の性質的にあった方が便利ってだけなのもあるし。わたしなんかほら」


 そう言って左手を俺に見せつける。

 幸の左中指には指輪がはめられている。青く光っていて、通常の物質では無いことがわかる。


「特に意味はないけど、イノセントブルーを使う時は指輪が装着されるの。後、髪の毛だって」


 ショートカットだった髪の毛が急激に伸び始め、最初にあった時と同じようにロングヘアーの毛先が青く燃え上がる幻想的な髪型に変貌する。

「あと、私の第六眼球の位置だって、変なところにあるし」


 幸はブレザーをたくしあげる。


「ほらおへその右下あたりに目が生えてきてる。

 幸の第六眼球はエメラルドグリーンの色をしていた。いや、それよりも、お腹のラインが、色っぽく見える。

 直視しちゃ悪いと目を背ける。


「ちゃんと見てよ」


 いや、もう凝視してしまったよ。今だって脳裏には真っ白な肌が焼き付いてしまっている。普段日にも目にも晒されないお陰で、凄く滑らかで柔らかそうな肌に見えた。


「……そういえば、俺の学校の制服来てるけど、学校内で会ったこと無いよね」


 思わず俺は話題を逸らした。可愛い子にそんな事をされる免疫なんてあるわけが無い。


「峰高の制服が可愛いから勝手に着てるだけ」

 赤をアクセントに加えたブレザーの制服でこの制服目当てに入学してくる女子生徒もいるらしいけど、俺にはイマイチわからない。


「そんなに可愛い制服かな?」


 ついでに男子は普通のブレザーだ。デザイン目当てで入学する奴はいない。

 別にいいけど、納得はいかない。


「えぇ~、とってもかわいいよ!」


 そこから幸の力説が始まった。会話における地雷ワードってどこにあるか本当にわからない。


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