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第22話 新たな来訪者

最近思った。長く纏めようとするからダメなんだと……


うん、取り敢えず22話です

前回までのあらすじ……



 地底。そこに落ちた俺は、勇儀さん、空、さとり、こいしと戦い……もとい、弾幕ごっこをして勝ち、地上に戻る事が出来た。思えば戦ってばかりではあったが、ここに来て早3〜4日経ったのだろうか? とても長い時間を過ごしてる気がする。1週間、いや1ヶ月……


 まぁ、それはともかくとし、これから先如何するかを考えつつ人里へ向かう事にした俺だが、その間に、新しい外来人が幻想郷(この世界)に落ちてきたらしい。俺と同じ世界の気配がする────まさか、な……











 ■■■■■






「…………んッ!?」


(何だ? 此処は何処だ? 夢か? 俺はさっきまでベッドでお休みしてたよな、恰好だってスウェットだ、完全にオネムスタイルだ。屋内だから当然足は何も履いてない……おやおやぁ? 何が起こってるのかサッパリですぞぉ? 俺は突然如何して外に居るんだ? 何故こんなところで寝ていたんだ?

 ────わからん。いや、わかる事がそもそもあり得ないくらいだ。何がどうしたのか知らないけど、これは…………)



「…………楽しい予感!!!」



 ──────彼の名前は桐生 誠(きりゅう まこと)。拳咲 龍神の親友である……


 遡る事、実に1時間程前。朝6時頃に妖しげな謎の物体が彼を呑み込んだ。そして1時間後の7時に彼の今がある。さて、大凡予想は付いたかと思われるが、犯人は八雲 紫だ。

 理由は定かでは無いが、かの龍神の親友は幻想郷に落とされた。何の前触れも兆しも無く……強いて兆しと言うならば、龍神自身が幻想郷に落とされたところから、だが────。


 桐生 誠は明るく楽しい性格で、龍神とは対照的に友人は多く、コミュニケーション能力も高い。そんな彼が龍神を、龍神自身も彼を親友と互いに称するのには、語るべき事柄が大変多い。


 故に、この話はまた別の機会とさせて頂く……



 さて────幻想郷に落とされて早速並大抵の反応をしない彼だが、これから先に一体どんな事が起こるのか?

 恐らく、大体察しが付く人も居るのではと思う。



「奇妙な感じだぜ! 普通こういう時パニックになるんだろうけど、違う。俺は今、特別な場所に立ってるんだ! そんな、奇妙な感覚が、俺を支配している! これはいわゆる、異世界転生ってヤツかぁーーー!!」


 正しく称するなら、異世界転移である。


 誠は両拳を天に突き上げ、自らも天を仰ぎ、元気一杯に伸びをした。これからきっと楽しい事が起こる……彼はそう思っているに違いない。

 そんな、彼のワクワクを噛み殺さんばかりの殺気と獰猛な牙が、誠の背後へゆっくり迫る。


 今更ながら彼の立つ場所を伝える。

 そこは背の高い木々が沢山ある薄暗い森の中、『魔法の森』の中だ。真上を覗けば青空は見えるし陽光だって差し込む。だがそれでも、この森は暗く陽光が地面まで届きにくい事から森全体の湿度が高く危険な動植物……もとい、化け物の如き茸が生息している。


 化け物茸の放つ胞子が宙を舞うので、それを呼吸の度に吸う事で体調を崩してしまうなんて事が多々有る様子。幸いなのが、この森は化け物茸の所為もしくはおかげで、人間も、妖怪すらも、容易に立ち入ろうとはしない。因って茸の胞子に耐性を持つ者には隠れ蓑にすらなり得る場所なのだ。


 不幸なのが、その耐性を有したり獲得するのが、人間だけでは無いと言う事。



 誠の背後約15m。正にその"不幸"の体現が、直ぐそこまで迫っていた。


「〜〜〜〜〜!!!」


 それは駆けた。勢い良く、疾風の如く、宛ら振り下ろされる鎌の如く。何も知らない誠の首に牙を突き立てようとした。




 ────その瞬間。




「■■■■■■ッッッ!!!!????」


「うぉ!? 何だ?」


 彼の首に肉薄する顎目掛け、誠の右腕から彼の腕では無い半透明の筋骨隆々の碧い腕が分かれるように動き出し、飛び掛かる凶刃を振り抜いた強固な裏拳で砕いた。今の今まで声すら発さなかったそれは、自らの顎が粉々にされた事で甲高い悲鳴を上げ、森の奥深くへと高速で直進、もとい弾き飛ばされた。

 当然その悲鳴に驚いた誠が後ろを振り向いたが、何も無かった。


 いや、正確には『在った』。だが、それを在ると称して良いのか、彼には解らないのだ。


「……え? どちらさま? 何か透けてない?」


 目の前の身の丈2m近い半透明の"それ"に、彼は問い掛けた。すると直後、"それ"は誠を指差した。彼の問いに対し、目の前の執った"それ"の行動は、一体如何な意味があるのか? 誠が頭上にハテナを浮かべる前に、"それ"の意識が彼の脳内に流れ込む。



 "我は汝、汝は我"



 その時、彼は突拍子も無い思考に行き着く。


「ぺ、ペ○ソナ??」



 "違う、そうじゃない"



「あ、受け答えるんだ。しかも結構マジメに。おたくかなりノリ良いでしょ?」



 "我はお前のスタ○ドだ、察しろ"



「え、怒った? ねぇ怒った? ねぇねぇ怒ったの? ねぇちょっと────」


 緊張の糸が張り詰めた状況が一変、少しおもしろい掛け合いになったその時……突然森に集まる殺気に、半透明の"それ"は気付き、誠も"それ"の様子を見て周囲を見回して身構える。


「ん? なになに、これ何かヤバイ感じ?」



 "命令を、誠。そして我の名を呼べ"



「命令……名前か……」


 誠は腕を組んで暫し考える。その明らかな隙を牙を持つ群が見逃す筈は無く、無防備な全身に疾風の如く駆けて飛び掛かる。刹那、彼は、誠は、口の端を吊り上げ、振り返りながら叫んだ────



「ここの化け物全員ぶっ飛ばせ! 大空(ザ・スカイ)ッ!!!」


 "応"



 大空と呼ばれた"それ"は突然誠の前に身を乗り出すと、半透明の身体を完全に実体化させ、碧く逞しい身体をハッキリを見せる。同時、低く構えた右拳を振り上げて殺気の一つを殴り飛ばした途端、超高速で誠の周囲を回りながら殺気の集団を恐ろしく速い拳の連打、連打、連打に次ぐ連打!


「"ソラソラソラソラ!!!"」


 一撃一撃の全てが骨を砕き臓腑を潰す破壊力を有する大空が、それを毎秒2000発の速さと数で突き出し、相手の悉くを容赦無く肉塊にする。

 気が付けば誠の周囲には殺気の集団の色々な破片が飛び散る始末となった。


 先程誠を襲ったモノの仲間であろう。数にして50は跋扈していたが、仕返しのつもりが無残な返り討ちとは、相手が悪過ぎたとしか言いようが無い。


「────これ、すっごい今更だけど、やり過ぎじゃない?」



 "命令通りだ"



「いやぶっ飛ばせとは言ったけどミンチにしろとは言ってないじゃん……あぁぁ、でもやっちまったモンは仕方が無い。取り敢えず正当防衛と言う事にして、逃げるぞ大空」






 斯くして、龍神の知らぬ間に幻想入りを果たしてしまった桐生 誠は、突如発現したスタ○ド『大空(ザ・スカイ)』で自らに降り掛かる火の粉を払い、魔法の森を裸足で駆け抜けるのだった。








続く

新たな来訪者、それは拳咲 龍神の親友、桐生 誠であった。

魔法の森を駆け抜け、抜けた後の彼の行動は、果たして……



次回、東方龍神録、復活版──第23話 邂逅、天子。破壊者、誠 です。お楽しみに

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