表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/11

Before・the・episode

神の最高位にあたる龍。

そしてその龍の神、“龍神”


拳咲 龍神の中の龍神が生まれた理由…そして生まれ変わるまでの全て…


Before・the・episode…



伝説は始まる…




【前書き】

今回は特別話!


龍「本当にやるとはな…」


作者「今回は特別ですよ!

今回特別話は龍神の過去のお話ですよ!」


龍「俺か…まあいい…」


「俺が生まれ変わる前を知ってもらうのも悪く無いな…」


作者「でしょ!なので…」


「ゆっくり視ていってね!」








【始まり】






今回の龍は…

また作者の気まぐれから作られた特別話…

今度は龍が生まれ変わる前の話だとさ…






チャン…チャラララララン♪



龍「明けましておめでとうございます。」


「今回の特別話を視て頂き、誠にありがとうございます。」


「僕も何故か今回ばかりは和服に着替えております。」


「いやそれはいい?ですね…」


「とりあえず今年初の東方龍神録は…」


「龍の過去のお話ですね。皆さんも気になったと思います。僕も気になりましたよ。」


「龍は何故に生まれ変わり、俺になったのか…

そして何故にあそこまでチートに強いのか…」


「そんな龍の過去のお話です。

ではどうぞ。」






東方龍神録……

Before・the・episode…






さて…


さてさて…


今回は俺の過去の話なわけだが…


どこから話そうか…


まあいい。


俺の生まれたとこから話すとしよう…



俺はとある伝説に載っている胴長龍だった…


だが、そんな俺がある日…


姿が変わった…


いわゆる…進化だ。


俺の姿は人の形になった。


頭、手、足、尻尾がある以外は普通の人間と変わらない。


まぁ…皮膚の色だけは別だが…

深い海の色…つまりは青


身長は2mいくつか…


・・・


自分の体を測定するのは気持ち悪いな…



龍「…ここは何処だ?」



まず気にすべきは此処だ…


気がついたらここだ…

すると、俺は気配を感じた。



龍「誰だ?」



俺は気配を感じた後ろへと振り向いた。


そこには…



龍「!?」



そこには元の俺の姿があった。


緑色の体に長い胴…


間違い無く俺の体だ。


だけど一つ違った…それは…



?「我はお前…お前は我…」



俺の元の体が実際に動いていると言う事だ。


何がどうなっているかはわからない…


聞いてみない事には…



龍「お前が俺…どう言う事だ?確かに俺の元の体はそれだ。だからと言って、お前が俺と言う事は無いだろ。」



俺がそう言うと元の体が返してきた。



?「確かにそうだ…だが、一つ言うと…」


「お前は我の心の闇だ。」



龍「闇…だと?」



?「我は龍神。神の最高位である龍の頂点なり…」


「お前は我の心の闇…つまりは元々一つだった…」



龍「納得できないな… もうちょっとわかりやすく説明してくれ。」



龍神「我は神…世界は全て我によって動いている…」


「だが、ここ最近で我の体に異変が起きた…」


「それは龍神…闇のお前が我の心にできたからだ…」



龍「俺が闇ねぇ…んで、その続きは?」



龍神「我の心に闇が誕生した瞬間、我の周りの同士達は皆闇に染まっていった…」


「人間も闇に侵され、罪を犯すようになった…」


「我もお前の闇によって体を蝕まれていた…

“このままでは我だけで無く、他の同士や人間達も闇に支配され、滅んでしまう…”とな…」


「我はそれを避ける為に自らの心の半分を取り除き、お前を創り出した…」



今の話でほとんど理解できた。

俺が闇である事もわかった。


ただ……



龍「じゃあ、闇である俺が何故闇の力が出ない。」


「闇の俺が力を使うとすればその力は闇…

詰まりは触れただけでお前達を闇で侵してしまう。」


「だが今の俺が力を使おうとしても闇の色が見えない…何故だ…?」



すると龍神は微笑みながら俺に言った。



龍神「案ずるな、お前の闇の力を我の光で覆っている…お前が使う力は全て光だ…」



龍「何?」



闇である筈の俺が何故に光の力を…



龍神「お前自身がそれ程邪気を持っていなかったお陰で、闇を光で覆う事に成功した…」


「お前が我と同じ"優しさ"を持って生まれたからだ…」



優しさ…


そうか…闇の力は強かったものの、邪気が無い"優しさ"を持って生まれたから俺は光の力を…



龍神「お前に我の名をやろう…お前は今日から…」


「龍神…だ…」



龍「龍神…俺の名前…」



龍神「今日からお前は人間の世界に降りて、人間の為に戦う龍の神だ…」


「頼むぞ…」



龍神はそう言って、空高く飛び去った。


人間の為に…戦うか…



龍「おもしろい…やってやろうじゃねぇか…」



俺は微笑みながらそう言った。


すると、俺の体が突然浮き、地面に青い光が溢れ出した。


これが人間の世界の入り口…


俺はそのまま光の中に吸い込まれ…


気がついたら…森林の中に居た。


見渡す限り木、木、木。


下は土。


青空の先に山々が連なっている。



龍「なかなか良いとこじゃねぇか。」



俺がそう言うと…


何者かの気配が…


俺は気配を感じた瞬間、木に隠れた。


木に隠れた俺は顔を出し、周囲を見回してみる。


すると俺の視界に小さな子供2人が入った。


1人は幼い少年、もう1人は少年より背の高い少女の姉弟か…



少年「ねぇお姉ちゃん…怖いよぉ…」



少女「…どうしよう…迷っちゃった…」



姉弟はどうやら道に迷ったようだな。


好奇心だけで動くとロクな事が無いのを知らないのは怖いな全く…


と…そこに怪しいバケモノが突如姉弟の前に現れた。


何だこのゴツいだけのザコ野郎は…



少年「うわああああ!!!妖怪だあああ!!!お姉ちゃぁぁん!!!」



少女「嫌ッ!!!来ないで!!!」



バケモノに対して姉弟は恐ろしい程に驚いた。


仕方ねぇな…



龍「おい、バケモノ。」



俺は木から現れると同時にバケモノにそう言った。


それに対しバケモノは俺の方向を向いた。



龍「俺はなぁ、おめぇみたいな奴が嫌いなんだよ。」



俺がバケモノにそう言うと、バケモノは俺に向かって跳んで来た。


俺に勝てると思っているのか?



龍「死ね…」



俺は手を拳に変え、跳んで向かって来るバケモノの腹を目掛けて拳の一撃を繰り出した。



ドゴォォォッ!!!



拳はバケモノの腹に見事命中。

その状態からそのまま拳を内側に捻り、力を加えるように拳で更に打ち込む。


するとバケモノの体を巨大なトルネードが突き破る。


バケモノは拳の一撃により体が大きく貫通し、トルネードの勢いに呑み込まれて消えた。



龍「ザコが…」



俺は腕を降ろし、手を思いっ切り払った。


おっと…忘れていた…

子供の姉弟っと…


とは言え、今ので逃げ出しちまったかもな…


そう思い、俺は横を向いた。


するとそこには、座り込んだ姉弟が居た。



少年「よ…妖怪さん…妖怪さんが…僕とお姉ちゃんを……助けてくれた…」


「凄いや妖怪さん!!!凄かったなぁ…妖怪をこの一撃でバーンってやっつけちゃった!!」



龍「おい待て、俺は妖怪じゃない…

俺は龍神だ。」



少年「龍神⁉もしかして…龍神様の龍神⁉」



龍「それがどうした…」



少年「じゃあ神様なんだね!!!龍神さんって!!!」



龍「ん…まあな…一応、神と言えば神だが…」



少年「凄いよお姉ちゃん!!!龍神さん神様なんだって!!!!」



少女「あの!あなたは他の妖怪とは違うのですか!?」



龍「俺をあの妖怪と一緒にするな。」


「俺の名は龍神…名の通り、龍の神だ。」



少女「龍神…?神様…」



俺はしゃがんで姉弟の目線に合わせて喋った。



龍「とりあえず、大丈夫か?お前ら。」



少年「うん!大丈夫だよ!」



少女「助けてくれてありがとうございます。」



龍「お前ら、名前何て言うんだ?」



少女「私は、(あかり)と言います。」



少年「僕は(しん)だよ!」



龍「何度もすまないが、俺は龍神だ。」



辰「龍神って名前、凄くカッコイイなぁ!!!」



燈「本当に助けてくれてありがとうございます!」



龍「おいおい、俺は別にお前らの為にやったわけじゃないぜ?

まあ、困って居る奴は見過ごせないけどな…」



こんな事言うのは、恥ずかしい気もする。



龍「そうだ、お前らどうせ帰れないだろ。」



辰「うん…」



燈「はい…」



龍「んじゃ、お前らの家まで送ってやるよ。」



燈「えっ?良いんですか?」



龍「あぁ。」



辰「本当に?」



龍「本当だ、ほら乗れ。」



辰「わぁ~い!!!」



辰は俺の背中に飛び付いた。



燈「失礼しますね。」



燈も俺の背中に掴まった。



龍「んじゃ、しっかり掴まって居ろよ!」



俺は背中に掴まって居る辰と燈にそう言って、飛び立った。




俺は今二人の姉弟を背中に乗せ、空を飛んでいる。


場所としてはかなり高い所を飛んでいる。



辰「わぁ~!!凄い高~い!!」



燈「気持ちいい!!」



どうやら喜んでいるようだ。

よし。



龍「ならもっといい物を見せてやろう!」



辰「本当⁉」



龍「ああ!しっかり掴まれ!」



俺は二人を腕で抱え、一気に上昇した。


雲を抜け、到達した場所…


そこは…



辰「わぁ~…龍神さん…ここは…?」



龍「ここは成層圏。お前達の知らない場所だ。」



燈「成層圏…」



成層圏…


普通、ここまで人間を連れて来る事は不可能だが、俺が二人の周りに気を張っておいた。


これで上昇時のGや急激な気圧の変化を消せる。


地上と全く変わりは無い。



龍「どうだ?雲がほとんど無いんだぜ?」



燈「空って…こんなに綺麗だったんですね…」



龍「あぁ。」



辰「ねぇ…龍神さんは、いつもこの景色を見ているの?」



龍「いつもじゃ無いけどな、たまにだ、たまに。」


「んじゃ、そろそろ行くか。」



俺は成層圏から一気に急降下し、森のスレスレを飛んだ。



龍「ところで、お前達の家は何処だ?」



燈「私達の家は…遠くてわかりません…」



龍「そうか、なら実際に降りるか。」



二人の家を探す為だ、降りて探すしか無いだろ。


俺は二人の家があると思われる真下の里に降りた。


里の反応はと言うと…



里人「うわああああああああ!!!ばっ!バケモノだああああああ!!!」



やはりな…


勿論、覚悟はしていたが…


ここまで驚かれるとは思っていなかったからな…



龍「辰、燈、ここにお前達の親が居るか?」



辰「う~ん…居ないなぁ~…」



燈「何処に居るかは大体わかります。」



龍「そうか、なら案内してくれ。」



俺は辰と燈を肩に乗せ、里の中を歩き始めた。


歩くと同時に里の人間が腰を抜かしたり、怯えて大声をあげたりして大変五月蝿かった。


俺の尻尾を突つく子供まで出て来たから尻尾で振り払ってやった。


暫らく歩いて居たら…



燈「あっ!父と母です!」



辰「お父さん!お母さん!」



龍「何処だ?」



俺の言葉に対し、燈が指を差した。


その方向を見ると、二人の男女が立っていた。


男の方はざんぎり頭、歳はかなり若い。


女の方は長髪の垂らし髪、こちらもかなり若い。


この二人が辰と燈の親か…?


すると突然辰が二人の親に向かって声を掛けた。



辰「お父さん!お母さん!ただいま!」



すると二人の親は…



父「辰!!」



母「燈!!」



辰「お姉ちゃん行こ!」



燈「うん。」



龍「じゃ、降ろすぞ。」



俺は辰と燈を肩から降ろした。

そして辰と燈は親の方へ駆け寄った。


親も二人の方へ駆け寄った。


そしてひしと抱き締めた。


しっかりと抱き締めた後、二人の親は辰と燈に聞いた…



父「辰、燈、大丈夫か?怪我は無いか?」



辰「大丈夫だよ!龍神さんが妖怪から僕達を助けてくれたから!」



母「龍神さん?誰の事?」



辰「あの人!」



辰が俺の方を向いて指を差した。



母「あの妖怪が?」



燈「違うわ!龍神さんは妖怪じゃない!」


「龍神さんは私と辰を助けてくれた優しい人よ!」



父親は立ち上がり、俺にお辞儀をした。



父「僕達の子供を助けて頂き、ありがとうございます!」



龍「ちょ、おい…わざわざ礼をしなくても…」



母「いいえ!助けてもらったのに、礼もしないのは余りにも失礼ですから!」



母親も揃ってお辞儀をした。



龍「そこまでされる程の事はしてないぜ?

ただ妖怪が気に食わなかっただけだ。」



辰「お父さん、それだけじゃ無いんだよ!龍神さんはね、あの龍神様なんだって!」



辰のその言葉を聞いた瞬間、父親、母親から周りで見ている里人までもが驚愕した。



里人「龍神様って言えば、この世界の神様って聞くが、本当か⁉」



龍「まあな、俺はお前達人間を守る為に、天からやって来た。」



そう言った直後、里人は凄まじく騒ぎ出した。


まあ、里人からしたら結構凄い事なんだよな…


すると群がる里人の中から一人の老いた爺さんが出て来た。


爺さんが手を挙げたら騒いで居た里人が全員一瞬で静まり返った。


誰だ?この爺さん…


すると辰と燈の父親が爺さんに近づいて行き、こう言った。



父「龍神さん、このお方はこの里の長…」


「最長老様です。」



なるほど、長老様な…



長老「貴方が、龍神様でいらっしゃいますか?」



ヨボヨボな口で喋られるとずっこけたくなるな…


とりあえず返すか…



龍「あぁ、そうだ。」



長老「おぉ!貴方様が…!!!

触らせてはくれぬか?」



龍「あぁ、構わないが…」



俺は片方の手を爺さんに差し出した。


すると爺さんは俺の手に触れた。


その瞬間…



長老「おおぉ!!!」



まるで爺さんに雷が落ちたかの様な反応をした。

しかも目が開いた…



長老「こ…この神々しい力は……!!!」


「伝説の龍神様そのものじゃぁぁぁーーー!!!」



おいおい…

ヨボヨボな口で騒ぐな…


長老が発狂したと同時に里の人間が一斉に騒ぎ出した。



長老「皆のもの!今宵は宴じゃ!!!」



里人「うおおおおおおおおおおお!!!!」



龍「おいおい…」



里の人間がどうやら宴の準備をする様だな。



父「さあ、やるぞ!」



母「私も!」



辰と燈の親はそう言って準備に行ってしまった。



龍「あぁ…たく…」



残されたのは俺と子供達だけだ…


と、そんな事を思っていたら一人の子供が…



子供「龍神様、一緒に遊ぼう!」



龍「へっ?」



子供「遊ぼうよ龍神様!」



龍「おいおい、遊ぶって何で…」



子供「何でも!」



龍「・・・」



辰「いいから龍神さん遊ぼう!」



燈「お父さん達の宴の準備が終わるまでですから。」



龍「そうか、なら…」


「お前達が疲れ果てるまで遊んでやるよ!!」



まずは鬼ごっこ…



辰「じゃあ龍神さんが最初に鬼!」



龍「おいおい、俺を鬼にして良いのか?」



辰「空飛んじゃダメだよ!」



龍「わかってるわかってる。」



辰「よし!みんな逃げろ!」



龍「1.2.3.4.………」


「10!」



数え終わると同時に音速で子供の一人に近づき、体に触れた。



子供「えぇ⁉そんな!」



龍「空は飛んで無いだろ?」



辰「ズルいよ龍神さん!速く走るのもダメ!」



龍「…わかったよ。」



辰「みんなもう一回逃げろ!」



龍「たく…1.2.3.4…」



すると燈が横に現れた。



燈「どうですか?人間の遊びは?」



龍「なかなかおもしろいな…」



そう言った俺は燈の肩に触れた。


この意味はと言うと…



龍「お前が鬼だ…」



燈「えっ⁉あっ!」



龍「ははっ、油断するからだ。」



俺はそう言うと走り出した。



燈「もう!…うふふ、1.2.3…」



まあ、速く走らない鬼ごっこは面倒くさいが、なかなかおもしろかったな。



次にやったのはけん玉…



燈「できますか?」



龍「まあ、できない事も無いが…」



とりあえず俺はやってみる事に…


玉を垂らした状態から持ち上げて、けんの先に突き刺す…


俺は玉を引っ張って浮かせた。


と、その時気づいた。


玉…遅く見えるな…


俺の動体視力を使えば何も問題無い事だった…


そして俺はゆっくり動く玉を見てけん先に通した。



龍「よっと…」



燈「わぁ~…いきなり玉の穴に通すなんて…!」



子供「凄い!!!」



龍「あぁ…まあな…」



何故か凄いと言われる…

まあ…いいか。


と、そんな事を思って居たら…



辰「龍神さん、お父さん達が宴の準備できたから来てくれだって。」



龍「やっとか…」



俺は はぁ… と溜息を吐き、辰の案内に付いて行った。






で…



里人「かんぱ~い!!!!!」



龍「あ~…乾杯…」



何かよくわからないが…凄い盛り上がりだ…


この俺も流されてしまいそうな勢いだな…


しかし、この里に大宴会場があるとはな…

驚いたぜ…



長老「龍神様!今宵は飲み明かしましょうぞ!」



龍「あっ?あぁ…」



爺さん凄え元気じゃねぇか!


一体何があったんだ⁉

さっき見たヨボヨボの爺さんとは別人だぞ!


心の中でびっくり仰天した俺に辰と燈の父親が話し掛けてきた。



父「どうしたんですか?龍神さん、飲みましょうよ。」



龍「あぁ…そうだな。」



母「元気が無いみたいですけど、どうしたんですか?」



龍「いや、元気が無いわけじゃ無いんだ。」


「ただこの空間に慣れて無いだけだ。」



父「なんだ、そうなんですか。」



母「大丈夫ですよ、流れに身を任せてください。自然と慣れて楽しめますから。」



龍「そうか、わかった。」



流れに身を任せるか…

よし、流されてみるか…


俺は言われた通りに場の雰囲気に流される事にした。



龍「うぉ~し!!!今夜は飲んで飲んで飲みまくるぜぇ!!!!!」



一気にテンションが上がった。



里人「おぉ!龍神様!どんと飲んでください!!!」



龍「おう!」



俺は杯に並々入った酒を飲み干した。


調子に乗った俺はこう言った。



龍「こんな杯じゃ足りねぇ!タルごと持って来い!!!」



里人「合点だ!!!」



そう言った里の人間の一人が何処かへ行き、そしてすぐにタルを抱えて戻って来た。



龍「よぉ~し…」



俺は目の前に置かれたタルを持ち上げ、ガバガバと浴びるように飲んだ。


それを見た里人達は歓声を上げた。



龍「プハァ~!じゃんじゃん酒を持って来~い!!!」



そんなこんなで凄まじい盛り上がりを見せた宴…



さすがの俺も疲れた…


体は疲れない…疲れたのは精神だ。


今日は誰かの家の屋根で寝る事にした。



龍「はぁ~…」



夜空には美しい星々が光り輝いている。


星座がはっきり見えるな。


元々夜自体を知らなかったこの俺が、この世界に来て初めて星と言うのを知り、その美しさに魅了された。


何て美しいんだ…


心で俺はそう呟いた。


今夜はとても良く眠れそうだ…






俺はその後も里に居続け、仕事を手伝い、妖怪から里人を守り続けた。






それから何年か経った…



辰は心優しい立派な青年に成長し、燈もお淑やかな大人の女性に変わった。


辰と燈の父親や母親は大分歳老いた。


長老もこの世を去り、新しい長老が決まった。


里の人間が世代交代に入って来た頃だ。


俺はいつものように薪の為の木を根っこから引き抜いて、里に持ち帰っていた。



龍「これだけありゃ大分持つだろ。」



何本か引き抜いておいたから、里の人間全員が一ヶ月持つのは確実だ。


いつも通りに仕事を楽々こなす俺に…


突然……



龍「ん?」



?「マスタースパーク!」



気配を感じた瞬間誰かの声が聞こえた。


気配を感じた方向を向くと…



青白い巨大波動砲が俺の目の前に存在した。


反射神経を最大限活用して、俺は巨大波動砲を避けた。


避けた波動砲は木々を消し飛ばし、地面に巨大なクレーターを創った。


誰だ…?俺に向けて波動砲を放った奴は…


俺は波動砲が放たれた方向を見た。


そこには…



龍「誰だ…?」



緑髪の長髪に、月の絵が入った帽子を被った女が居た。

手には月のロッドを持っている。


女は俺の問いに答えない。



龍「誰だと訊いているんだ…!」



少し強く訊いてみた。


すると…



?「私は魅魔(みま)。」


「これでいい?」



女の返しに対し、俺は怒りを覚えた。



龍「はっ?人にいきなり波動砲を撃っておきながら何だその態度は…?」


「お前の所為でな、折角取った木まで消し飛んぢまったじゃねぇか!」



俺の言葉に対し、魅魔とか言う女はこう言った。



魅「木なんて置いといて、貴方は…」


「龍神様…よね?」



龍「それがどうした?」



魅「貴方が人里で神様だって言われてるのを小耳に挟んだのよ。」


「ひょっとしたら、と思ってね。」



ただそれだけの為に…?


こいつ…ムカつくな…!


俺は溢れる怒りの力を抑える。


だが、それでも口の中に生えてくる牙は隠せない。



龍「ただ…それだけの…それだけの為にか?」



魅「まあ、そうね…それだけね。」



その言葉に対し、更にムカついた…


今度は瞳が赤く染まった。


視界が若干赤く滲む。



魅「何?何か明確な理由が欲しかった?なら…」


「貴方が龍神だと言うなら、その力を試しておきたいと思ってね。」



龍「そうか…」



試す…?


こいつ、とことん逆鱗に触れる奴だな…!



龍「理由…もうそんなくだらねぇ物要らねぇよ…何故かわかるか?」



魅「貴方が戦う理由?何かしら?」



龍「それはな…」


「お前が俺を怒らせた…それが戦う理由だ…!!!」



そう言葉を放ったと同時に俺は魅魔の目の前に現れた。


俺が目の前に現れた瞬間、魅魔は驚いた。


驚いた瞬間に俺は魅魔の顔面に拳を叩き込んだ。


魅魔は殴られた勢いそのままで吹っ飛び、地面に直撃し、巨大な地割れできた。


俺は魅魔に近づいた。



龍「どうした?俺を怒らせたなら、怒らせたなりに力を見せてみろよ…?」



すると、魅魔が口から血を流しながら立ち上がる。



龍「ふっ…あの程度で既に血を出すか。

今の拳は全力の100分の1だ、次は90分の1で行くぞ。」



俺の言葉に対し、驚きを見せる魅魔。


この程度で驚いて居ると、死ぬぜ?


俺は間髪入れずに拳を魅魔の目の前に突き出し、寸前で止めた。


魅魔が驚き、目を瞑った。



龍「何をビビって居る?次はお前の攻撃だ…」



俺は拳を降ろし、魅魔に攻撃を譲った。


すると魅魔は攻撃を始めた。


弾幕の攻撃を…


弾幕か…なかなかおもしろい攻撃をするな…


だが…



龍「雑魚いんだよ…」



怒りを解放した俺に弾幕のようなヤワな攻撃は…



龍「効かないんだよ!」



俺は魅魔に親指で止めた中指を額に当て…


弾く!


見事な程の綺麗な音が鳴り響き、魅魔は木々をへし折りながら吹っ飛んで行った。


俺は吹っ飛んだ魅魔にゆっくり近づき、こう言った。



龍「どうだ?俺の攻撃は…?」



すると魅魔は額から血を流しながら答えた。



魅「なかなか…痛いわね…特に、さっきの指弾き…」



龍「ははっ…デコピンがそんなに効いたか?

お前弱いだろ?」



魅「はっ⁉何ですって⁉」



龍「聞こえなかったか?よ・わ・い と言ったんだ。何ならもう一回言うが…」



魅「……十分わかった…なら…」


「私の本気を見せてあげる…!!!」



魅魔がそう言った瞬間、強い力を感じた。


ほぅ~…なるほど…


仕方ねぇ…長引かせてやるか…



龍「来いよ。」



俺は指で魅魔に 来い と言う風に動かす。


すると魅魔は弾幕を容赦無く大量に撃って来た。


俺は弾幕を見切り、かわしながら潜り抜ける。


敢えて攻撃はしない…

あいつの本気を存分に見させてもらうとしよう。



龍「どうした?弾幕とは言えない隙間だな!こんなんで俺を試すだと?ザコが!」



魅「黙れ!」



魅魔は両手を合わせ、力を溜め始めた。


青白い光が中心に集まり、強く輝いた瞬間…



魅「マスタースパーク!」



魅魔は合わせた両手から青白い巨大波動砲を撃ち出した。


またあの波動砲か…


一度やった技が二度通用すると思って居るのか?

まあ、一度もくらって無いがな…


放たれた波動砲の真横に動き、俺は一瞬で魅魔の目の前に現れた。



魅「なっ⁉」



龍「お前…マジで弱いな。

ガッカリだ…期待した俺がバカだったな。」


「モーションに無駄がある技程、避けやすい物は無いんだよ!」



俺はそう言い、魅魔の腹に拳を打ち込んだ。


打ち込んだ瞬間に凄まじい音が鳴り響き、周囲に衝撃波が広がった。


魅魔は拳の一撃により、激しく血を吐いた。


俺は静かにこう言った…



龍「まだ、血を吐くのは早いぜ?

こっから吐く血が無くなるかもしれないからな…」



そして瞬間俺は腕を素速く振りかぶり、裏拳を魅魔の顔を叩き込む。


それで勢い良く吹っ飛んだ魅魔を光速で追い越して先回りをし、回し蹴りで真横にすっ飛ばした。


直後再び先回りし、拳で先ほど居た場所まで吹っ飛ばした。


この時点で既に魅魔はグロッキー状態だが、致命傷にならない程度に俺は殴って殴って殴り殺す。



龍「こんな弱攻撃で死ぬなよ?」



俺は静かにそう言い、魅魔の到達する場所まで先回りし、膝蹴りを腹に見舞う。


魅魔は膝蹴りで再び吐血。


今度はさっきより量が多い。


ここからどうなるかな…?


俺は魅魔の頭を掴んで引き寄せ、頭突きをくらわせる。


これにより魅魔の額が更に血の色に染まった。


更にこっから上方向に蹴り飛ばし、ある程度距離が空いたら魅魔の到達地点まで先回り。


上半身の捻りを活かし、下半身を自然体で動かして魅魔に右脚の回し蹴りを与える。


こっから上下の繰り返しだ。


魅魔が下に吹っ飛んだと同時に、先回り。

そっから真上に蹴り上げ、吹っ飛ばす。


ある程度進んだらまた先回りし、両手を合わせて握り、ハンマーのように振り下ろし、腹に叩き込む。


そして再び魅魔が吹っ飛び、魅魔が吹っ飛んで行く場所まで先回りをし、拳を振り上げて真上へ吹っ飛ばす。


そして真上へ魅魔が来る前に先回りし、トドメに回転踵落としを魅魔の腹に叩き込んだ。


凄まじい勢いと速さで魅魔は地面に真っ直ぐ直撃し、地面の破片を撒き散らし、巨大なクレーターを出来上がらせた。


遠目からでもわかる程魅魔は血を吐いた。


口周りを血だらけにし、そのまま…



龍「死んだか?」



俺は魅魔の側まで近づき、脈を調べた。


・・・


どうやら生きて居るようだ。


だが、このままじゃ命が危ないな…


俺は魅魔を抱え、里まで光速で戻った。






魅「ん~…あぁ…」


「此処は…?」



龍「起きたか。」



魅「あっ!貴方!さっきはよくも……」



龍「その身体で暴れられると思うなよ。」



魅「くっ!何故トドメを刺さなかったのよ!」



龍「トドメなら刺した。ただお前がそれで死ななかっただけだ。」



まあ、力はほとんど入れて無いからな…



魅「ふん…」



龍「まあ、そう云う態度を執られても仕方ないとは思っている…」



魅「貴方は、一体何者なの?」



龍「俺か?」


「俺の名は龍神…名の通り、龍の神だ。」



そう言ったら魅魔は少し驚いた顔をしていた。


そしてすぐにその顔が元に戻った。



魅「改めて良くわかったわ。貴方が本当の…龍神様だと言う事が…」



龍「そうか、怪我が治ったらすぐ帰れよ。」


「あまり長居されても困るからな。」



魅「それの心配には及ばないわ、すぐにここから出て行くから…」



そう言うと魅魔は立ち上がり、家を出た。


魅魔が家を出た後、俺も後を付いて行き、家を出たら…



既に魅魔は居なかった。


何処を見回しても魅魔の姿は無かった。


するとそこに…



燈「龍神さん、どうしたんですか?」



龍「おぉ、燈か、どうした?」



燈「魅魔さんの具合を見に来たんです。」



龍「あぁ、あいつならもう此処には居ないぜ?」



燈「えっ?何でですか?」



俺は暫らく空の一点を見つめ続けた。


燈も俺と一緒に一点を見つめた。


すると…



辰「龍神さ~ん!」



龍「何だ?」



辰「いいから来て来て!」



龍「おいおい…」



辰がかなり強く引っ張る為、俺は少しバランスを崩しかけた。


とりあえず引っ張られるまま付いて行った。


そして辰が足を止め、ある方向を指差した。


そこには…



龍「何だこりゃ?」



燈「凄い!」



俺の目の前には 何と俺が居た。


しかもかなり俺の姿と酷似しているな…

腕組みの仁王立ちとは…なかなかおもしろい…


石像はかなり細かく造られている。


俺は石像と同じポーズを執ってみた。



里人「うわぁぁぁぁぁぁぁカッコイイぞ龍神様ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



龍「あぁ?そうか?あははははは!!」


「ところで、これを造った奴は誰だ?」



里人「はい、あっしです!」



里人の群がりの中から一人出て来た青年。

俺はその青年に近づき、こう言った。



龍「いい腕を持ってんな。その才能、これからも人の為に使えよ。」



里人「はい!!!ありがとうございます!!!」



俺は青年の肩をポンと叩いた。


そしてその瞬間俺は強力な敵の気配を感じた。



辰「龍神さんどうしたんだよ?そんな真剣な顔して。」



燈「そうですよ、この石像のお祝いをしましょう。」



龍「いや、すまないがそれはできない。」



辰「えっ?何でなんだよ?」



龍「凄え力を持つ奴が、此処に向かって来ているんだ。」



すると辰と燈が心配そうな顔をした。


俺は微笑みながらこう言った。



龍「大丈夫だ、必ず帰って来る。

お前達のこの里に必ず…」



俺はそう言い捨て、黄昏の空に向かって飛び立った。



龍「さて、何処に居るか…」



里が完全に見えない場所まで離れ、俺は敵の捕捉を行った。


するとその気配は真上からだった。


俺は真上を向いた。


するとそこには紅白の巫女らしき者が居た。



龍「誰だお前…?」



?「・・・」



無視か…?


だとしたら無理矢理でも口を開かせるしかねぇな。


そう思い、俺が動こうとした時…



俺目掛けて札が投げられた。


俺は投げられた紙の札を手に取り、グシャグシャに握り、捨てた。


こんな物で俺を倒せると思って居るのか?


バカな奴だ…



龍「考えが…」


「甘いんだよ!」



俺は瞬間に拳を巫女の顔面に打ち込んだ。


すると良い音が巫女の顔から鳴り響いた。


どうやら今の一撃で口から血か…



龍「何故、俺を狙う。

大方、妖怪と間違えたんだろ?」



?「違うわ。」



おっ?要約口を開いたか。


さて、どんな言葉がでるかなっと…



龍「んじゃ、何が理由だ?」



?「巫女として、退治するべき相手だからよ。」



龍「…まあいいや、ただ一つ言っておく…」


「お前のヤワな攻撃じゃ、俺は倒せない。」



?「じゃ、それなりの技で対応しないといけないわけね…わかった。」


「夢想最終奥義!!!」



最終奥義か…


受けて立ってやるよ…


俺は空中で仁王立ち状態で巫女の攻撃を待った。


そしたら…



?「[夢想天生]!!!」



巫女は両腕を広げ、無数の弾幕を放った。


弾幕の一つ一つの密度がかなり高い。


隙間も無ぇじゃねぇか…



龍「くらってみるか……」



俺は仁王立ちのまま無数の弾幕を…


受けた!






凄まじい勢いと威力…


それに加え絶対的な数の弾幕…


全身に走る想像を絶する痛み…


ここまで痛ぇとは知らなかったな…



龍「ウゥアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」






・・・



?「私の勝ちね。」



……はっ?


勝ちだと?



龍「………おい…まだ勝ちだと決めるのは…早いぜ…?」



?「…!!!」



巫女は凄く驚いて居るな…

無理も無い…


何せ俺は傷だらけ血だらけで空中に仁王立ちしているんだからな…


俺は黙ったまま右手を拳に変え、力を溜める。


右拳に白い光が集まり、やがて白い光が黄金の光へと変わり、光が龍の顔に形を変えた。


そして右腕を思いっ切り引き、腰も使って溜め…



溜めた力を一気解放し、腰、腕を最大限使い拳を巫女に突き出した。


すると拳の黄金の光が超巨大な黄金の胴長龍へと姿を変え、巫女に向かって飛ぶ。



黄金龍は口を開け、巫女をくらった。


黄金龍はそのまま巫女を貫いた。



?「あぁ…!!!くあぁ!!!!!」



巫女は全身を俺以上にズタボロになり、森の中へ落ちて行った。



しかし…


これはひでぇな…


かなり血だらけじゃねぇか…


意識も遠くなってきた…


死ぬって言うのはこう言う事だったんだな…


めちゃくちゃ虚しいな……


・・・


ゴメンな…辰…燈……


必ず帰るとか言っておいて…結局帰れなくて……






………ゴメン……な…………








・・・



ん?何だ?


何処だ此処は…?



?「龍神よ…」



その声は…龍神…!



龍神「龍神よ…お前は死んだのだ…」



あぁ…知ってる…


あの時の事はしっかりと覚えている…



龍神「どうだった?人間の世界は…」



なかなかおもしろい世界だったぜ…


いい思い出にもなったしな…



龍神「そうか…それはよかった…」



龍神…この後、俺はどうなるんだ?



龍神「案ずるな…お前は百年後、人間に生まれ変わる…」



生まれ変わる?


何でだ…?



龍神「お前は…まだやる事がある…

それに、まだお前はこの世を知ってみた方が良い…」



ふふっ…

そうか…



龍神「お前にその時が来るまで…」


「暫し休むが良い…」



わかった……






こうして、俺は…


百年後…


拳咲 龍神 として…



新たな人生を歩んだ……











龍「どうでしたか?」


「これが龍の過去だったんですね…」


「もう今日は龍の過去を知る事ができて満足ですよ。」


「では皆さん…さようなら~!」








特別話 完

次回より新たに本編を書き進めます!


御楽しみに! (何かハードルが上がった)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ