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第24話 無限の大空

龍神の親友vsわがまま総領娘、決着


24話、どうぞ

前回までのあらすじ……



 龍神が地底から出て人里へと向かう数時間前、彼の親友である桐生 誠が幻想入りを果たした。無論、犯人は言わずもがな……


 昨今流行りの異世界転移を果たしたと思った彼が燥はしゃいでいると、彼を獣が襲い掛かる。しかし、突如発現した能力で彼はこれ等を一掃。森の中を駆けて行くのだった。

 それから色々あって空を飛ぶ事が出来た誠は、偶然にも天界に辿り着き、そこで天子と衣玖に遭遇する。侵入者と見做された誠は衣玖に排除されそうになるも、大空で迎撃して返り討ちにした。次は、天子の番だ────








 "大空"。それは、無限に続く景色。地球に存在する地平線にも水平線にも平等に存在する天上の彼方。彼、桐生 誠の【大空】は、まさにそのもの……


 天界────嗚呼。なんとお誂えか。


「じゃあ早速ぶちかますわ! 地符『不譲土壌の剣』!」


 天子はこちらに向けていた緋想の剣の切っ先を地面に突き立て、そこから自分を中心に地面を隆起させ、面で攻める。地面の隆起は目測で10〜20m程あり、人の背丈など優に越していた。


 だが誠は焦らない。戦闘のセの字も知らない少年だが、彼の相棒【大空】がサポートしてくれるからだ。



"焦るな誠。地面が飛び出してるだけだ。なら飛び出しのタイミングに合わせて高く飛び上がる。いけるな?"



「あ、あぁ……やってやるさとも!」


 誠は大空の言葉で落ち着きを有すると共に、心中に確かな勇気を抱いた。ならば、後は意気を以て踏み出すのみ。



"……来るぞ。合図で我の脚を意識して飛べ。3、2、1、今だ!"



「【大空】!!!」


 サポートの通り合図と同時に大空の脚を自身の脚に纏い、強く地面を蹴って飛び上がる。誠が飛び上がった僅か0.7秒後に地面の隆起が発生し、誠を追従する……が、その伸びは止まった。

 地面の隆起が誠に追い付けない。それどころか、誠はどんどんと上昇し、やがて彼の位置する高度は天界の地面から換算して400mに及んだ。


「ちょちょッ!!? これ飛び過ぎじゃないかぁ!?」



"すまない。一応加減は努力したが、なにぶん我はス○ンドだ。お前の力加減に左右されるのは言うまでも無い"



「それ率直に俺が思い切り飛んだから思い切り高くなったって言ってるよね」



"まぁそうだ。理解が早くて助かる"



「あ!? こちとら初心者ぞ! 思い切りやるくらい必死になるに決まっとろうがね!」



"それは何処のホウゲンだ? お前は東京出身東京育ちだろ"



「気にすんな! 気分を紛らわしたり気持ちを作る為にはこう言うアソビが要るんだ! それより、こっからどうすりゃ良いんだ?」



"なるほど、強ちデタラメでも無いらしいな。ならやる事は変わらない、先の復習だ。飛行、跳躍、我の打突。ここまで来て後に残すは空の大前提だ。空は何処にある?"



「空? 空は、上だろ?」



"なら、その空には触れるか?"



「そんなの触れるワケ無いだろ」



"それだ。空とは其処にあるのに其処には無く、見えていても触れない。お前は、我は、空そのものだ"



「空、そのもの────わかったぜ!」


 空高く跳び上がった誠は【大空】と僅かな時間言葉を交わし、自身の力の極意を伝えられた。それを理解した誠は、飛行能力と跳躍を駆使して空中で弾けるような軌道で急降下し出した。降りた先は、勿論……


「……来たわね」


 地面から剣を引き抜いた直後、誠の接近を察知した天子が再び橙の刀身を振り回してから剣を構え直す。誠は知る……天子の扱う剣は気質を操る剣。その能力から、相手の気質を読み取り、最適の攻撃属性を発する言うなれば属性キラーの剣。

 そのような剣なら空の属性である【大空】にも最適の攻撃を用意出来る筈だ。だが、そんな剣だとして、そもそもの気質が読み取れなかったら? 気質が読み取れたとして、その攻撃が敵そのものに触れなかったら?


 この問答の答えは、実に簡単だ────


「気符『天啓気象の剣』!!」


 空中を跳ね飛びながらこちらに向かう誠を捉えた天子は緋想の剣の切っ先を誠に向けて突き出し、緋いエネルギーを光線の如く撃ち出した。天子の放った光線は不規則な軌道で飛ぶ誠を見事に捉え、貫いた。


「貫通か、存外呆気ない……ん? 待って、あの光線って気質の波動だけど、貫く威力じゃないし、何よりそんな貫通力無いのに────」



「すげぇぜ、今の光線。まるで何も無いかのようにすり抜けたぞ。これが、空ってヤツなんだな。【大空】!」



"さぁ行け。今のお前は誰にも触れられない。お前からは触れて、あちらからは触れない完璧な防御と攻撃の両立、今ここに完成だ"



「あぁ、やってやるさ。俺とお前で、最強の、最高のコンビだぜ!!!」


「まさかそんな、外れてなければあの攻撃、すり抜けたとしか……天符『天道是非の剣』!!!」


 天子は自身の攻撃が、しかも緋想の剣にて導き出した最適の属性に依る一閃が、事もあろうか貫通、もとい透過したであろう事に驚く。それに攻撃を受けた筈の誠が勢い衰えずに未だにこちらに向かって飛んで来ている。


 ならば、直接緋想剣で一撃を加える他ない。天子は剣を構え直して誠に向かって飛び上がり、剣を真っ直ぐに突き出して緋いエネルギー体を纏って光の帯を引く。

 剣に依る突進刺突攻撃、対空としてはまさにうってつけの攻撃だろう。これ以上無く、間違い無く、最適解の技……



 それがまともな相手ならば、通用しただろう────



「これも通過出来るのか、凄いな。もはやチートだろ……」



 "当然だ。空とはそう言うものだ。雲を掴むような話という言葉は、あまりにも不明瞭である事から来た、それはまさに空そのままだ。今のお前を触れる者は、どこにも居ない"



 誠に一直線で飛んだ天子の突進は、何の抵抗も、感触も、干渉もせず、ただ()()()()()()()()()()()()()()かのようにすり抜けたのだ。

 天子が感じ取ったものは、虚無。対して誠の感じ取ったものは、勝利の予感。絶対に勝てると言う余裕、あり得ないようであり得る確かな典型。


「……うそでしょ」


 彼女から飛び出したその一言に、一体どれだけの感情や思考が込められているかは測りようも無いが、解ることとすれば、それは目前で起きる理不尽に向けて己が体現出来る精一杯の否定だった。


「悪いな天子、どうやらこれが真実みたいだぜ」


 誠自身も驚いていた。まさかここまで自身の能力が強力だとは夢にも思わなかった。以前、獣を前に圧倒的破壊力を見せたのだから確かに期待はしてた。だがそれはあくまでも物理的能力の話であって、こんな空想的能力などでは断じて無かった。

 そんな自らの現実を見せつける結果となった天子に対して、侮辱行為になってしまうかもと思いつつも口にせずにはいられない言葉を、彼は口にした。


 次の瞬間、彼は『大空』の硬く重たい拳を振りかぶり、途轍もない速さで打突を繰り返した────────






「"ソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラッ!!! ソォォォォッラァァァァァァッッッッ!!!!!"」






 ガードすら叶わぬ速度で突き出された拳の大群は、天子の全身を満遍なく打撃し、肉と骨をめちゃくちゃに破壊した。トドメの一発を受け、真っ直ぐに天界の地面に激突し、天子は意識をそのまま失い、誠は素直に喜べない勝利を収める事になった。


「なんか、好きなキャラじゃないとは言え、ズタボロになるまでブッ飛ばすのは、色々と気が引けるな……」



"戦いにおいてそのような気づかいは命取りだ。障害や火の粉は構わず払い除けろ。何より抵抗しなければお前は死んでたかも知れんのだからな。安心しろ、我も手加減した。お前が気が引けていたなら、この手加減も必ず効果がある"



「逆に気持ちが入ってたらその手加減も意味を為さないんだろ……? つくづく思うよ、お前は俺のスタ○ドなんだなって」


 誠は『大空』と会話をしながら、天界を後にし、地上へと降りていった。降りて行った先で、親友と出会う事も知らないままに…………











続く

友との再会、あり得る筈の無かった奇跡に、彼は涙する。

再会も束の間、誠はホンの興味から龍神に手合わせん願うのだった……



次回、東方龍神録、復活版──第25話 龍神は大空をも掴む です。お楽しみに

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