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第23話 邂逅、天子。破壊者、誠

どうしても長く書く癖がある上に面倒くさがりと気紛れが悪さをする……


取り敢えず23話です

前回までのあらすじ……



 龍神が地底から出て人里へと向かう数時間前、彼の親友である桐生 誠が幻想入りを果たした。無論、犯人は言わずもがな……


 昨今流行りの異世界転移を果たしたと思った彼が(はしゃ)いでいると、彼を獣が襲い掛かる。しかし、突如発現した能力で彼はこれ等を一掃。森の中を駆けて行くのだった────








「────さて大空(ザ・スカイ)、お前の能力を教えてくれ。具体的にどう言った事が出来るのか詳しく頼まっ!」



 "了解だ。我の能力は【空に関する事全て】だ。お前の趣味趣向に合わせて称するなら、【空を司る程度の能力】となるだろう"



「程度って東方の知識引っ張って来たのか……まぁ好きだからわかり易いし良いんだけどさ。じゃあすると、空を飛ぶなんてどうって事無いんだな?」



 "愚問だな"



「よし、大空! 俺を空を飛べるようにしてくれ!」


 誠が大空に対して強く発言すると、それを命令として受け取り、直ちに誠に空中浮遊の力を与え、その身を青空へと羽(ばた)かせた。突然空を飛べるようになった誠は、驚く以上に喜びが溢れて来た。夢にまで見た空を飛ぶ事。

 それは彼の叶わぬ夢の一つだった。


「あ、スゲェ……やべ、泣きそ。絶対叶わないだろうなって夢が叶っちまった」


 半ベソを掻きながら彼は徐々に高度を上げ、広大な空を堪能する。そんな時、彼の視界に入る"何か"。無限に広がる空に雲では無い謎の巨大な物体が違和感全開で浮いているではないか。


「何だありゃ?」


 物体を見て彼が連想したのは某映画の天空城だが、スピードを上げて近づいてみると、天空城とまではいかずとも、とても広い土地が存在した。草原が在り、木が在り、建物が在り……明らかに人が住んでいる空中都市? だった。


「凄い……ラピ○タは本当にあったんだ!」


 "具体的な理解は出来ないが、()()()()()()()()()()気がするな、その発言は"


 さておき、誠は早速空中都市に近づき、そっと降り立ってみた。裸足の感触ではあるが、何の変哲も無い草の感触だ。サワサワとサラサラとして実に足裏がくすぐったい……宙を浮いた場の自然でも、下の地面とは変わらないようだ。


 ────が、奇妙だ。ふざけて興奮してる誠は何も気にしてはいないが、この空中に浮かぶ大地は一体どんな原理で浮いているのだろうか? それこそ正に何処ぞの天空城が如きオーバーテクノロジーか、特殊なアーティファクト若しくはナチュラルプロダクトが必須なモノだ。


 しかし、そんな事など露知らず、誠は呑気に陽光と草原を満喫していた。


「うーーーん!! なんてーん(なんて言うん)だろうな、とても気持ちが良い……! ああダメ、語彙力が死んでる」


 実に現代の若者らしい言葉遣いで感想を一人で述べてると、こちらに近づいて来る声が彼の耳に入る。耳を澄ましてみると、声で性別と人数が判明した。女性だ、しかも二人。話声で具体的な内容は把握出来ないが、何となく少し言い争ってるように聞こえる。


「だーかーらー! ちょっと野暮用だって!」

「総領娘様! いい加減にしてください! 博麗の巫女にたっぷり絞られて、総領様にも叱られて、1ヶ月の外出禁止を受けて尚懲りないのですか!?」

「ひとつきも籠もっていられるもんですか! それに神社が壊れたのは私の所為じゃないわ、頑丈に作らなかった巫女が悪いのよ」


 ん? おや? 何だか聞いた事のあるフレーズが……彼の記憶領域にフックのあるフレーズが引っ掛かり、"総領娘"について深く掘り下げようとする。誠は身を屈めてもう少し聞こえて来る会話に耳を傾けてみた。


「本当にいい加減にしてください!! あなたの勝手な行動で私やその他天人達が方々に頭を下げた事を知りませんか! もし今から本当にまた下界へ降りると言うのなら、もう私は止めません。この事は総領様に報告して、無期限外出禁止にしてもらいます。最悪、勘当もあり得ますね」

「う……そ、それは……」


「もう決めた事です。さぁ、下界なり何なり、お好きな場所へお出向きください。次に戻ってくる時が最期です」

「ちょ! 待って衣玖! 冗談! ホンの冗談だってば〜!」


 その時、誠の記憶領域がフックに因って開かれ、"衣玖"と言う言葉で全て繋がった。また、今自分の居る場所、今居る世界すらも理解した。そう、つまりここは、この場所は────






「東方projectじゃねーかおいいいいいいいいいいいいいいい!!!」






 ────一応告げておく。彼、桐生 誠は、東方が大好きな少年である。


 誠が立ち上がりながら放った大声は20mほど離れた二人の女性にも届き、それに因る暫しの静寂が訪れた。一方は突然の情報と真実に驚き、一方は突然の大声に驚き、静寂から10秒が経過した時、やっと双方動き出した。


「え、誰?」

「つまるところありゃ、比那名居 天子と永江 衣玖じゃねーか! やべぇ〜! 俺、ついに幻想入りしちゃった感じかよおいおいおい! 死ぬわオレ、感動で死にそうだわオレ!!」


 総領娘と呼ばれてた女性が後退りながら相手の女性に問う中、誠は感動と興奮で飛び跳ねまくっていた。人は憧れの相手に一目会った時、差異はあるものの、嬉しさの余り狂気にも似た状態に陥る。

 さて、彼の嬉々とした歓声も束の間、この瞬間から嫌な雰囲気と予感を直ぐに察知する事になった。


「総領娘様、これはあなたの日頃の行いの悪さであるかもしれませんね。こうして現に侵入者を許してる時点で、天人の威厳がやや薄れてるものと私は思いますが、どうでしょう? 私の意見に間違いがありますか?」

「……な、無いわ」

「素直で大変よろしい。では、一仕事させていただきます」


 彼、桐生 誠は直感した。あれ? これってヤバいんじゃないか? 東方の世界……もとい、彼の見えてる幻想郷の面は綺麗な部分だけに、この建前と本音の差(ギャップ)には驚きを示した。事実は小説よりも奇なり────どこの誰が言ったか、今正にその現実と言う名の凶器が彼を殺す。


「ざ、【大空】! 俺を守れ!」



 "出番だな。任せろ"



 身の危険を感じた誠が大空を呼び出し、それに応えて蜃気楼の如き体を持つ筋骨隆々の存在が現れた。大空の出現直後、ヒラヒラとした長い布を纏う帽子の衣玖と呼ばれる女性が目を見開いて驚愕した。


「んな……!? 何だ!? まさか式神? いや、霊術使いか? どちらにせよ、途轍もなく強い力を感じる……」


「……ん? 何か見えてるっぽいけど、ス○ンドって同じ使い手じゃなきゃ見えないんじゃ無かったっけ? ここの場面は常識に囚われないべき?」



 "いや、単純に我が強いだけだ。どうやら使い手でなくても見える程の存在を獲得しているようだ。誠、これはお前の才覚だ、誇ると良い"



 衣玖の異様な驚きを見て誠は彼女が大空を視認出来てる事に疑問を抱く。そも、彼の目覚めた力は一定のルールが存在する上、同能力者でも無い限り見る事叶わず、触る事能わずなのだが、それが通用しない様子を見て一旦自身の凝り固まったのかもしれない常識をかなぐり捨てようか考えた。


 が、その選択肢を大空が取り払う。単純な事、力がスタ○ドの内に収まらないだけの事。


 なるほど。と、考えても解らないので取り敢えず誠は納得しておき、目前の敵意に臨戦態勢で応える。大空が握り拳を作って真っ直ぐ衣玖を見詰めた瞬間、衣玖は何かを察したように一枚のトランプカードサイズの厚紙札を取り出し、全身に紫色の稲妻を走らせる。



「…………ふっ、これは負けですね。私が」



「ん、あれは多分スペルカードか。最初から本気とは辛いな全く。こちとら寝巻きだぜおい」



 "案ずるな。自分を信じて相手を打て"



 彼の心配とは裏腹に、衣玖当人は自身が敗北する事を確信していた。それでも、意志は絶やさず、立ち向かう事を選んだ。そして迸る電流は苛烈に暴れ回り、天高く真上に伸びると、一瞬で誠の頭上に降りて来た。

 気が付けば衣玖は右手の人差し指を天高く突き上げ、既に攻撃を完了させていた。


「雷符『エレキテルの龍宮』!」


 必殺の(いかづち)は誠の頭上、僅か数ミリの位置。微動だにしていない今の彼では身構えているとしても雷が降りて来てるのに気付けず、今から動けたとして感電は免れない。なら、彼の、誠の自信に満ち溢れた表情は、一体どう説明しよう?


 彼の表情と彼自身の状況の矛盾に気が付く者は居ない。そして、その矛盾は彼女に取っての敗北に切り替わる。


 刹那。それすらも超えた遥か先の速度での出来事。誠は落雷を恐ろしい速さで躱した後、右拳を構えた大空が既に衣玖の背後で拳を振り抜いていた。意識が追いつかない速さ。大空はそれを実現し得たのだ。


「……申し訳ありません、総領娘……様」


 衣玖の攻撃から1秒後、立っていたのは誠だった。落雷を放った本人である衣玖は腹部に衣服の上からでも判るほど拳の痕が付いており、彼女は総領娘と呼ばれる青髪の子、天子に謝罪をして倒れた。


 自分でも何が起きたかわからない誠は、20m以上先で拳を構えて背面から覗き込むようにこちらを見る大空を凝視した。宛ら"言っただろ? 案ずるな、と"と言っているようだ。ほら、今にも大空の声がここまで、耳元と勘違いするほどの近さで聞こえて来そうだ。


「────え……えぇ……? ちょっと、衣玖? まさか一瞬で……」


「どうやらその推理で当たってるみたいだぜ天子。俺は今衣玖を倒した。お前の近くで佇む【大空】がな。次は、お前を倒す。構えろ、比那名居 天子。お前が戦う意志を見せなければ、俺はこの天界を破壊し尽くすだけだぁ!」


 何かいける気がする……そんな軽い気持ちで誠は天子を挑発し、剰え何処かで聞いた事のある破壊者の台詞を口にした。破壊する気持ちなんてこれっぽっちも有りはしないが、天子と戦う流れを持ち込むにはこれしか無い。


「そう……おもしろいじゃない、あんた。緋想剣!」


 天子は誠をおもしろいと称した後、右手を真横に翳して名前を叫んだ。彼女の呼び掛けに応じてものの数秒で一本の剣が天子の右手の前まで飛んで来た。飛んで来た剣はまるで鉄が高熱を有したような橙色の刀身をしていて、誠はその剣を見た瞬間に興奮し始めた。


「ぐお! その剣は、緋想の剣じゃねーか! 本物見れたぜやったー!!」

「くぅ、本当よくわかんなくて調子狂うわね。破壊し尽くすとかも嘘なんじゃないの? そんな破綻した人間に見えないわよ!」


 誠の興奮状態に調子を狂わされるものの、天子は冷静に誠の真意を見抜く。そう、今の誠は好奇心で動いている。天子と弾幕ごっこをしてみたい……そんな興味で動いているのだ。


「さすがにわかるか」

「当たり前よ。天人様をなめんじゃないわよ。でもおもしろいから乗ったげるわ、ついでに名乗る事も許してあげる。あんたの名前を言いなさい!」


 興が乗ったのか、天子は誠の名前を尋ねてきた。上から目線が鼻に付くが、知った事じゃないと誠は鼻から息を吸って、大空を自身の真横に呼び出して大声で名乗った。


「俺は桐生 誠! そして横のこいつは【大空】! 俺の力であり、相棒だ!」

「私は比那名居 天子! 天界を統べる者よ! さぁ、私を愉しませなさい、人間!!!」








続く

空を飛び、天界に至り、天子と戦う事になった誠。

そこで彼は、自身の"大空"に目覚めていく……



次回、東方龍神録、復活版──第24話 無限の大空 です。お楽しみに

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