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相談<美夏>

ジリリリリリ・・・

最近懐かしい目覚し時計が鳴っている。

美夏は眠い目を開けた・・

短い針が7長い針が5を指している。

美夏「やばい!寝坊した!!」

出来る限り急いだが交差点に着いたのは8時5分だった。

美夏「ごめーん。寝坊した!」

沙織「いいよいいよ。」

美夏「じゃあ行こうか。」





学校に向かう道を歩きはじめた。

(そういえば最近沙織と遊んでないな・・)

美夏「明日、休みだから一緒に遊ぼ。」

自分でも珍しく誘ってみた。

沙織「賛成!どこ行く?」

美夏「原宿とかは嫌いだから・・・そうだ!この間面白い映画借りてきたんだけど家で見ない?」

沙織「いいね!コメディーとか?」

美夏「秘密。でも最高に良いから。」


そうこう話しているうちにもう学校だった。


沙織は手前の1組、美夏は奥の3組へと入った。





美夏は教卓の真ん前の通称『先生とのお見合い席』というありがたくない名前の席に座った。

「おはよう」

同じ班の友達岩下麻琴(いわした まこと)とあいさつをした。

一緒に部活の後輩の話と先生の悪口を言う。

『お見合い席』を離れて廊下で話していると・・

俊也「よぉ!足の遅い今西とそれから岩下さん!」

麻琴「おはよう」

美夏「おはよう。遅刻魔の中本くん」

俊也「なにを言いますか。今西。」

美夏「そっちこそ。中本。」




今美夏とふざけ合っているのは隣りの4組の中本俊也(なかもと しゅんや)だ。

美夏は彼と軽口を叩き合っているがドキドキものだった。

なぜなら彼の事が好きだから。他の男子ともよく話したりはする。

でも一緒にふざけて笑い合って、バカをして。そんなことをしているうちにあるとき自分の

気持ちに気が付いた。

気が付いたと言うより友達に指摘された。

その時は自分の鈍さに呆れてしまった。

自分の初恋にも気付かないなんて・・

この事は誰にも言っていない。


麻琴「先生が来た!」

急いで教室に戻る。

こうして歌を歌い、授業を受けて、美夏の一日は終わる。

彼の事は誰にも言うつもりはない。

(だって似合わないし。こんなこと言ってもね。)

あの出来事があるまではそう思っていた。





次の日約束の11時きっかりに沙織は来た。

身の回りの整理がだらしないのにこれだけはしっかりしている。

今日はお薦めのコメディーを見ることになっていて実は美夏もどれだけ沙織が笑うのか楽しみにしていた。

沙織は顎が外れるんじゃないかと思うぐらい大笑いした。

美夏「これから何する?」

沙織「ポーカーやろうよ。暴露大会で。」

(暴露大会?)美夏はこういうのは大好きだが、沙織は恋愛とかが絡むこれは好きじゃないはずなのだが。

一抹の疑問を抱えながらも「おもしろそうじゃん。」美夏はそう言った。



沙織「好きな人はいる?」

一瞬俊也のことが頭をよぎったが「いないよ。」あっさり答えた。沙織も深く追求しなかった。

次の勝負は奇跡的なツキで美夏が勝った。



「好きな人はいますか。」


「はい。います。」

あっさりそういう答えが返ってきた。

びっくりしながらも「えっ誰?」聞くのは忘れない。

「同じクラスの寺井昭くん。一年前から好きだったんだ。」

それだけだったが沙織の思い切った行動に驚いてしまった。

・・・そしてある決意が生まれていた。





木曜日の夕方遂に決意を実行に移す時が来た。

(あれだけの事を堂々と言えた沙織ってすごい)

運命の時を迎え、美夏はまた新たに思う。

そうこうしているうちにいつもの階段に着いていた。

沙織は何も言わない。何か重要なことがあると解っているのだろう。

美夏が口を開くまで待っているようだ。




「あのね・・私好きな人がいるんだ・・」

緊張して言葉が途切れる。自分が今何を言っているのか分からなくなってしまいそうだ。

いや寧ろ分からなくなった方が楽・・・・・

そんな気持ちを察してか沙織は美夏の目を真っ直ぐ見ている。何も言わない。




「隣りのクラスの中本俊也くん。一緒にふざけたりしているうちに好きになって・・。」

まだまだ言いたいことはたくさんある。けれどもう限界だった。

「絶対内緒ね。まだ沙織にしか言ってないから。あと・・こないだのポーカーの事沙織が相談したいから言ったでしょ。

照れてゲーム式にしたけど。解ってるからね!」

あわてて言い残して、足が勝手に動いていた。

美夏は夕焼けの道を家に向かって走っていた。

もう何も考えられなかった・・・










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