(6)少女、楽屋にて.
小曽根凛のちっぽけな声はファンの声とcolor6の歌で打ち消された。
「あのッ・・・!」
「あんた邪魔。」
「キャッ!」
小曽根凛が舞台の方に手を伸ばすと、近くに居たファンに足を蹴られた。だが、小曽根凛は諦めなかった。小曽根凛は約束した。誓った。『皆を守る』と。そして『戦いに勝つ』と。
「あの!このLIVEをやめて下さい!お願いします‼」
「だから邪魔なんだよ、お前!」
「キャッ!..」
叫んでは足を蹴られ、叫んでは足を蹴られの繰り返しだった。でも、小曽根凛は諦めなかった。約束は
守らなくてはいけないから。そして犠牲者を出さない為にも。
―――――――そして、小曽根凛の足がグダグダになった頃に―――――――
(♪)「でももう戻らない恋さよならまたいつか会....」
とまった。
「やめてッ・・・・・下さい!・・・LIVEを・・・やめて下さい!・・・ここに居る皆さんが危険・・・なんです・・・ッ」
すると、会場がざわつき始めた。
「スタッフさん、音楽とめて下さい!」
気付いてくれた。
気付いてくれた事に小曽根凛は嬉しかった。すると間もなく会場にアナウンスが流れた。「申し訳ございません。少々お待ち下さい。」と。
「そこのワンピース着てる女の子、こっち来て。」
「へ?」
メンバーの一人に無理矢理腕を引っ張られて楽屋へ向かった。
――――――――楽屋。
「足、大丈夫?...僕、君の事見てたんだけど何言ってるか分からなくて・・・。ファンの子だと思ってスルーしちゃったけど違ったんだね・・・」
「だ、大丈夫ですよ・・・この位・・・・。」
「それでなんや。」
「は、はいっ・・・」
自分が城ヶ白学園に通っている陰陽師である事、そしてこのLIVE会場に妖怪が居る事を一生懸命かれた声で伝えた。するとメンバーは..
「「ふ~ん...だったら僕達も協力するよ。」」
「....協力する...」
「なんや....分かったわ。特別に協力してやるわ。」
「分かった。僕、頑張るね!」
「あ、ありがとうございます‼」
すると小曽根凛はメンバー全員に作戦を伝えた。そして、全員が理解した所でスタッフを呼び、この事を全て伝えた。アナウンスも流した。「只今、機械故障がございました為にお客様にはご迷惑をおかけしますが―――――」と。アナウンスが流れると、ぞろぞろとファン達が外へ出ていく。
一安心した小曽根凛を含む全員は次の行動にうつった。